幻戯書房 刊行情報


2003年2月刊行

本は生まれる。そして、それから:表紙 本は生まれる。
そして、それから

小尾俊人


ISBN-4-901998-00-5
定価3990円(税込)

敗戦の年に、友人2人と共にみすず書房を創業。
以来、編集責任者として45年を過ごした著者、小尾俊人――。
この本は、さまざまな違う機会、場所で書かれたり話をしたものを集めたものです。

出版者の内省と記録、そこから深い示唆に富む言葉が、読み手にずしりと手渡されます。

――「閲覧目的の」の周辺から
活字印刷物は人間の記憶の集積所で、関心がなければゴミの山にすぎない。しかし、目的の周辺にとつじょキラキラと宝石が現れる。それが一つの連想で知恵のリングをつくる。ふしぎな錬金術の世界。
そう、本を読む者にとって、この宝石をみつけるのが至福なのだ。

閲覧室で昭和13年4月号の雑誌を読む著者は、この中におさめられた俳句を読み詩について語る。

詩は、リルケもいうように、経験の産物でなくてはならない。一行の句のなかにも、詩人が見たいくつかの憂い、生活体験の結晶が岩塩のようににじみ出る。魂が一つのものとして静かに語るのだ。詩が詩でありうるのは、この象徴性によってである。
――書物共同体の一例
ここでは、昭和28年に出した『変革期における人間と社会』(マンハイム著)を引いている。

著者は種おろしであり、出版者は苗をそだてる人であり、古本屋と図書館とは刈り入れて整理し保存する人である。これを全うするには何よりも書物に対し目をあかるくし、批評眼を養わねばならぬ。


『本は生まれる。そして、それから』は幻戯書房、最初の刊行本です。
幻戯書房の出版理念に、敗戦日を原点に、出版文化の基本に徹した刊行をとあります。
読者のひとりとして、『本は生まれる。そして、それから』の刊行に心から感謝を――。



【著者】小尾 俊人 おび・としと 1922(大正11)年、長野県に生れる。1940(昭和15)年、出版業に入る。(1943年まで羽田書店に勤務。軍隊生活ののち、1945年、山崎六郎、清水丈男とともに「みすず書房」を創業。1990年退職。) 著書に『本が生まれるまで』(築地書館)、編著『ゾルゲ事件』(3巻)、山路愛山『史論集』(みすず書房)など。

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Last Modified: 2004/03/24
担当:さかな
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