鈴木出版
新刊情報

2014年9月刊行

わたしの心のなか:表紙 わたしの心のなか


シャロン・M・ドレイパー
横山和江 訳



ISBN 978-4-7902-3294-0
定価 1600円+税



 もうすぐ11歳になる少女メロディは、生まれてから一度も自分で食べることも歩くことも話すこともできません。

 けれど話すことができなくても、成長したメロディの頭のなかはたくさんの言葉でいっぱいでした。

 メロディの声を物語からすこし引用してみます。聞いてください。

 すごく小さかったころから――たぶん、生まれてほんの数か月くらいから――言葉をかけてもらうと、あまい飲みものをもらったみたいで、わたしはレモネードを飲むように言葉を飲んできた。ほんとうに言葉の味を感じてる気がした。言葉は、わたしのもやもやした考えや感情をはっきりさせてくれる。パパとママは、わたしをおしゃべりで包み、小鳥のさえずりのように、小川のせせらぎのように、なんでも声に出してくれた。パパは歌をうたってくれた。ママは耳にささやきかけて、力をそそぎこんでくれた。

 シャープな文体が、よりくっきりとメロディの心の声をうかびあがらせています。

 できないことが多いストレスを抱えつつも、両親の深い愛情がメロディをすくすく成長させています。

 メロディが5年生に進級した時、会話を支援するコンピュータを手に入れることができました。
 エルヴァイラ――その機械にメロディは名前をつけました。
 エルヴァイラの助けにより、メロディは会話のみならず授業の反応も飛躍的に周りから認められていきます。
 そして、クイズの地区大会に向けての練習にも参加するようになり……。



 クラスメート達は、
 障害をもっているメロディをまっすぐ受け止めていたり、
 偏見をもっていたりと、様々ですが、
 みな率直にメロディと向き合っています。

 また、
 通常学級も支援学級もメロディと共に描かれ、
 それぞれが一緒にひとつの授業を受ける様子もあり、
 他の個性豊かな生徒たちの様子もみえてきます。

 そんな生徒たちを指導していく先生たちも様々で、
 読んでいくと、学校における先生の仕事についても考えさせられます。


 詩的な文章で描かれる物語そのものも楽しめ、
 リアリティあるメロディの学校生活では、思春期の子どもに思いを馳せ、
 家族との関わりには、うんうんと共感すること多々あり、
 障害のもった子どもの物語と共に語られる多面性が本作の魅力。

 ぜひ手にとってみてください。


シャロン・M・ドレイパー Sharon M.Draper
米国オハイオ州、クリーブランド生まれ。長年教師として勤めるかたわら、執筆活動に入る。アフリカ系アメリカ人作家に贈られるコレッタ・スコット・キング賞を5回受賞し、1997年には National Teacher of the Year に選ばれた。作品に、『Darkness Before dawn』、『The Battle of Jericho』など多数。
ホームページ(英語) http://sharondraper.com/

横山和江 (よこやま かずえ)
埼玉県生まれ。児童書の翻訳のほかに読み聞かせの活動などを行っている。訳書に、「クマさんのおことわり」シリーズ(岩崎書店)、『サンタの最後のおくりもの』(徳間書店)、『ウィッシュ――願いをかなえよう!』(講談社)、『サラとダックン なにになりたい?』(金の星社)などがある。海外児童書サークル「やまねこ翻訳クラブ」http://www.yamaneko.org/会員。


協力 湯汲英史 (ゆくみ えいし)
早稲田大学第一文学卒業。言語聴覚士、精神保健福祉士、社会福祉士、早稲田大学前客員教授、公益社団法人発達協会常務理事、社会福祉法人「さざんかの会」常務理事。障害のある人たち、とくに子どもの教育・医療・福祉の現場にかかわる。著書に、『子どもが伸びる関わりことば26』『感情をうまく伝えられない子への切りかえことば22』(共に鈴木出版)など多数。

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Last Modified: 2014/09/24
担当:さかな

HTML編集: 出版翻訳ネットワークやまねこ翻訳クラブ