●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━      週刊      やまねこ      A C T I V A T O R (FA-TEXT)      やまねこ翻訳クラブ・アクチベーター                       (2003年12月26日)                           No.125 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  編集・発行……やまねこ翻訳クラブ mail……m_acti@yamaneko.org ------------------------------------------------------------------------ 【目次】 ●やまねこ資料室は宝の箱 ●掲示板ア・ラ・カルト ●メープルストリート新刊情報 ------------------------------------------------------------------------ 資料室は宝の箱 ------------------------------------------------------------------------ http://www.yamaneko.org/bookdb/index.htm  やまねこ翻訳クラブ・アクチベーター、掲示板ア・ラ・カルトの読書室掲示板 のコーナーに、ほとんど毎回「資料室:インタビューのコーナーの訳書リストが 更新された」などとあるのにお気づきだろうか?  資料室の中は、最近、「世界の児童文学賞カレンダー」が追加された「文学賞 受賞作リスト」「作家・画家別作品リスト」「ジャンル別」「インタビュー」に 分かれており、それぞれがさらに細かく分かれている。  たとえば、2003年全米図書賞について知りたければ、資料室>文学賞受賞作リ スト>全米図書賞(The National Book Award for Young People's Literature) をクリック。この賞についての紹介記事が読めるだけでなく、1969年〜2003年の 受賞作と候補作を知ることができる。このリストはやまねこ翻訳クラブのメール マガジン「月刊児童文学翻訳」2003年12月号情報編「世界の児童文学賞」でこの 賞を取り上げるのに合わせて作成され、配信と同時に公開されたものである。10 月号でガーディアン賞のレビューを特集した際には、アレックス・シアラーとケ ヴィン・ブルックスとマーク・ハッドンの作品リストが新たに作成され、配信と 同時に公開された。担当者の、丁寧に資料集めをしてリストに仕上げる力量と、 配信に間に合わせてアップするというパワーには、毎度驚愕し、感嘆させられる。  作品リスト作成には、やまねこ会員であれば誰でも参加できる。「作品リスト 作成勉強会」で参加を表明したのち、リストを作りたい作家、翻訳家を決め、資 料を集め、内容を確認し、HTML化してやまねこ翻訳クラブのサイトにアップすれ ば完成する。翻訳家に不可欠な調査力を鍛えられ、HTMLファイルの作り方、アッ プロード方法までを学ぶことができる、実に得るものの多い勉強会なのである。  作家や翻訳家の講演などのために、やまねこ翻訳クラブの資料を使わせてもら いたいという依頼もたびたびきている。資料室はやまねこ翻訳クラブ会員有志の 手で作られた宝の箱なのだ。 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ 非会員で、作品リスト作成勉強会に興味のある方は入会案内ページへどうぞ。 http://www.yamaneko.org/info/guide.htm ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ ------------------------------------------------------------------------ 掲示板ア・ラ・カルト ------------------------------------------------------------------------ @読書室掲示板@ http://www.yamaneko.org/cgi-bin/c-board/c-board.cgi?id=12 ・BBCが募集していた "The BBC Big Read" が、12月13日、発表になった。1 位は『指輪物語』。6年前の1位も『指輪物語』で、この作品がいかにイギリス 人に読まれているかがよくわかる。 【新刊読み物】 ・『二つの旅の終わりに』(エイダン・チェンバーズ作/原田勝訳/徳間書店) :メープルでも紹介されている、エイダン・チェンバーズの一番新しい邦訳作品。 12月1日・2日に行われた国際シンポジウムとスペシャル・トークでチェンバー ズのトークを生で聞くことができたやまねこ会員が多かったせいか、この本を読 んだ感想がいろいろと寄せられている。好き嫌いが分かれるといわれるチェンバ ーズの作品だが、先に邦訳された『おれの墓で踊れ』は苦手だった人も、『二つ の旅の終わりに』は楽しめたとか。挫折した人もこれを機にもう一度挑戦してみ よう。 ・『クリスピン』(アヴィ作/金原瑞人訳/求龍堂):14世紀のイングランドを 舞台に、生まれ育った村を出るはめになった不遇な少年の冒険と感動の物語。 2003年ニューベリー賞受賞作。旅の途中で少年が出会う、旅芸人<熊>の言葉は ずっしり重く響き、読みながら思わず書き留める。 ・『人魚の涙 天使の翼』(フランチェスカ・リア・ブロック作/金原瑞人・小 川美紀訳/主婦の友社):やまねこ会員にもファンの多い、リア・ブロックの作 品。読み終わるとため息しか出てこない。 ・『サイレント・ボーイ』(ロイス・ローリー作/中村浩美訳/アンドリュース ・プレス):『ふたりの星』『ザ・ギバー』のロイス・ローリーの新作。悲しい、 やりきれない物語。 ・『バーティミアス サマルカンドの秘宝』(ジョナサン・ストラウド作/金原 瑞人・松山美保訳/理論社):魔法使いの卵、ナサニエルは、邪悪な魔法使いサ イモンに復讐するため、ベテランの妖霊バーティミアスを呼び出す。なかなかボ リュームのある1冊。 ・『バッドボーイ』(ウォルター・ディーン・マイヤーズ作/金原瑞人訳/小峰 書店):作者が17歳までの日々を綴った自叙伝。 ・『真夜中の鐘がなるとき――宝さがしの13の話』(オトフリート・プロイスラ ー作/佐々木田鶴子訳/スズキコージ絵/小峰書店):プロイスラーによるドイ ツの昔話の再話。一話一話にプロイスラーの解説が入っている。挿絵も魅力的。 ・『駆けぬけて、テッサ』(K・M・ペイトン作/山内智恵子訳/徳間書店): テッサの夢は、騎手になって自分が面倒を見てきたピエロに乗り、イギリス最大 の障害レース「グランド・ナショナル」で優勝すること。絶望的になっても、夢 と馬への愛を胸にテッサは立ち上がる。カーネーギー賞作家ペイトン、久々の新 作。 【新刊絵本】 ・『げんきなグレゴリー』(ロバート・ブライト作・絵/なかつかさひでこ訳/ 徳間書店):文字通り元気なグレゴリーが楽しく、うるさいことを言わずに温か く見守るおばあちゃんがすてき。動物たちもいい味を出している。 ・『うまやのクリスマス』(マーガレット・ワイズ・ブラウン作/バーバラ・ク ーニー絵/まついるりこ訳/童話館出版):クリスマスの美しい絵本。マーガレ ット・ワイズ・ブラウンの晩年の作品。 【話題の本】 ・『大きいカアアと小さいカアカア』(アヒム・ブレーガー作/松沢あさか訳/ 藤尾まり子絵/さ・え・ら書房):リュックを背負った2羽のカラス、大きいカ アアと小さいカアカアのおはなし7篇を含む、短編19作が収められている。日本 版ではより物語を楽しめるように、編集に工夫がされている。 ・『夜の少年』(ミリアム・プレスラー作/中野京子訳/さ・え・ら書房):家 でも学校でも居場所のない少年ヘルベルトと、幼くして息子をなくしたことを負 い目に感じる未亡人クローナヴィッター夫人の物語。重く苦しい話だが、読んで いるといろいろと考えさせられる。書店では手に入らないことが惜しまれる。 ・『シモンとクリスマスねこ―クリスマスまでの24のおはなし』(レギーネ・シ ントラー作/ジータ・ユッカー絵/下田尾治郎訳/福音館書店):収録されてい る話はどれも素朴で、親が子どもにじかにお話をしているという感じがする。今 年11月に福音館文庫にも収録された。 【未訳絵本】 ・"This is New York" (by Miroslav Sasek, St Martins Press):長らく絶版 になっていた絵本が、"This is San Francisco" と合わせて復刊。 ・"Arnie, the Doughnut" (by Laurie Keller, Henry Holt & Company, Inc.) :アーニーはできたてのドーナツ。ビングさんに買われるが、食べられるのはイ ヤ。代わりに、何かピングさんの役に立つことができないかと考える……。面白 おかしいおはなし。 ・"Tadpole's Promise" (by Jeanne Willis, illustrated by Tony Ross, Andersen Press):水中のおたまじゃくしと柳の葉の上の青虫が恋に落ちる。時 の流れとともにおたまじゃくしの体に変化が訪れると、青虫は……? スマーテ ィーズ賞銀賞受賞作。作者 Jeanne Willis は、"Naked Without a Hat" で、 2003年ウィットブレッドのショートリストに残っている。 ・"In the Year of the Boar and Jackie Robinson" (by Bette Bao Lord, illustrated by Marc Simont, Harper Trophy):中国からアメリカにきた10歳の 女の子、シャーリー。英語がわからないため、友達がなかなかできないシャーリ ーの心の支えは、大リーグ初の黒人選手、ジャッキー・ロビンソン。作者のベテ ィ・パオ・ロード自身も中国からの移民で、夫のウィンストン・ロード氏とのお しどり外交でも知られている。 ・"Brundibar" (by Tony Kushner, illustrated by Maurice Sendak, Michael Di Capua Books):病気になったお母さんに飲ませる牛乳を求めて町に出た、ア ニンクとペピチェックの兄妹。お金を作るため、道端で歌を歌おうとするが……。 第2次大戦中にアウシュビッツ収容所で上演されたオペラを元にして作られた絵 本。オペラの作者ハンス・クラサは収容所で処刑された。 ・"The Art of Maurice Sendak: 1980 to Present" (by Tony Kushner): "Brundibar" の文章を書いた Tony Kushner によるセンダックの作品についての 本。Selma Lanes による "The Art of Maurice Sendak" の続編のような作りに なっている。 ・"Der Weihnachtsnarr" (by Max Bolliger, illustrated by Gianni De Conno, Bohem Press):賢くなりたいと願う道化師は、星に導かれて新しい王様を探す旅 に出る……。スイス人作家、マックス・ボリガーが書いたクリスマスにちなんだ 有名な話が絵本になった。 【更新リスト】 ・資料室:インタビューのコーナーの訳書リストが更新された。 ▽金原瑞人訳書リスト http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/mkaneha4.htm @喫茶室掲示板@ http://www.yamaneko.org/cgi-bin/c-board/c-board.cgi?id=13 ・「月刊児童文学翻訳」12月号の html 版と、オンライン書店街12月分を公開。 http://www.yamaneko.org/mgzn/index.htm(「月刊児童文学翻訳」html 版) http://www.yamaneko.org/mgzn/shop/2003/12a.htm(オンライン書店街) ・『夜の少年』(ミリアム・プレスラー作/中野京子訳/さ・え・ら書房)が劇 化された。来年2月25日、銀座博品館劇場にて上演される。 ・『バイバイ わたしのおうち』(ジャクリーン・ウィルソン作/ニック・シャ ラット絵/小竹由美子訳/偕成社)も劇化。来年2月13日(金)〜15日(日)、 名古屋市名東区の劇団うりんこのアトリエで上演される。 ・イギリスに続き、アメリカでも『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』が公 開された。期待を裏切らないすばらしい映画で、特にレゴラス・ファンは必見。 ・映画 "Harry Potter and the Prizoner of Azcaban" の米国での公開は来年6 月4日。 ・『3びきのぶたたち』(デイヴィッド・ウィーズナー作・絵/江國香織訳/ BL出版)がディズニーによって映画化される。 ・児童文学ではないが、やまねこ会員にファンが多い『シービスケット』(ロー ラ・ヒレンブランド作/奥田祐士訳/ソニー・マガジンズ)の映画が来年1月24 日から全国一斉ロードショー。 ▽「映画になった児童文学」(資料室) http://www.yamaneko.org/bookdb/gen/eiga/index.htm ・フィリップ・プルマンの公式ウェブサイトがオープンした。 ・会員のちゃぴさんがお届けするメールマガジン「ちゃいるどぶっく・あっとら んどく」第12号は、クリスマスの美しい絵本『クリスマス人形のねがい』。 http://homepage3.nifty.com/mioyuki/attorandoku.html(定期購読申し込み) http://homepage3.nifty.com/mioyuki/backnumber.html(バックナンバー) @お菓子板掲示板@ http://www.yamaneko.org/cgi-bin/c-board/c-board.cgi?id=15 ・読書室で人気の『げんきなグレゴリー』に、おいしそうなホットケーキが登場。 おばあちゃんが作るおやつは、物語のおやつの定番か? ・『サマーランドの冒険』(マイケル・シェイボン作/奥村章子訳/早川書房) にもホットケーキが登場。死んだお母さんの代わりに毎週土曜日、ホットケーキ 焼き続けるお父さんがすてき。 ・『ザッカリー・ビーヴァーが町に来た日』(キンバリー・ウィリス・ホルト作 /河野万里子訳/白水社)でも、お父さんがお母さんの代わりにホットケーキを 焼く。 ・ポリー・ホーヴァ-トの "When the Circus Came to Town" (by Polly Horvath, Farrar Straus & Giroux) にも、ホットケーキが登場。こちらでも焼くのはお父 さん。 ・『ブリット‐マリはただいま幸せ』(アストリッド・リンドグレーン作/石井 登志子訳/徳間書店)に出てくる、スウェーデンのクリスマスのごちそうが気に なる。同じリンドグレーンの『やかまし村のクリスマス』(イロン・ヴィークラ ンド絵/おざきよし訳/ポプラ社)で、クリスマス・クッキーを焼く場面も楽し そう。 @おはなし小部屋掲示板@ http://www.yamaneko.org/cgi-bin/c-board/c-board.cgi?id=14 ・12月13日(土)、東京、池袋・ジュンク堂書店8階児童書売り場じゅうたんス ペースにて、おはなしこねこの会による12月のミニおはなし会が行われた。1月 は残念ながらこのミニおはなし会は休みで、2月以降の予定は未定。2月には早 稲田奉仕園で、少し大きめのおはなし会を企画中。 ・読書室で話題の『げんきなグレゴリー』は、読み聞かせにもぴったり。 ・読書室に登場した『大きなカアアと小さなカアカア』を夜寝る前に子どもたち に読み聞かせている。自分で読むのと人に読んでもらうのとは違う感触があるら しい。 @広場掲示板@(会員限定) http://www.yamaneko.org/cgi-bin/l2/c-board/c-board.cgi?id=212 ・12月14日(日)、中部地区在住やまねこ会員の悲願だった中部オフが開催され た。 ・12月19日(金)22時〜23時、2003年最後となるチャットが行われた。1月の昼 チャットは、1月14日(水)12:00-13:00、夜チャットは、1月23日(金)22:00- 24:00(2時間!)。 ・12月20日(土)、日本橋丸善にて、安野光雅さんの新刊『青春の文語体』のサ イン会が行われた。 ・2004年元日発行予定の英文季刊誌では、やまねこ会員から家庭のおせち料理の 写真を募集している。 @学習室掲示板@(会員限定) http://www.yamaneko.org/cgi-bin/l2/c-board/c-board.cgi?id=211 ・シノプシス「はじめの一歩」勉強会に参加希望者が10名集まったため、受付を 終了した。勉強会参加3度目の会員が進行役に立候補。進行役としても「はじめ の一歩」を踏み出すことになった。 ・延期となった初級シノプシス勉強会の企画が進行中。 ・中級シノプシス勉強会はリニューアル中。新しい進行役を迎えて、3月に再ス タート予定。 ・いたばし絵本コンテスト事後勉強会には、15名が参加を申し込んだ。 ・来年1月13日から始まる "Lyra's Oxford" の読書会に、10名が参加を申し込 んだ。日程や担当分けなどについて、参加予定者の間で話し合いが進んでいる。 ★現在進行中または予定されている勉強会の情報はこちらでどうぞ★ http://www.yamaneko.org/gakushu/open/index.htm @子どもの本のページ@ http://www.litrans.net/c-board/c-board.cgi?id=05 ・12月18日に発行された「子どもの本だより 34号」で紹介された『ピノッキオ の冒険』(コッローディ作/杉浦明平訳/岩波少年文庫)は、楽しいお話。『不 思議の国のアリス』とともに、心の底をくすぐられているような心地よさがある。 ・チャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』(脇明子訳/岩波少年文 庫)はよかった。ゴースト・ストーリーとクリスマスのとりあわせが妙。 ・待ち望まれていた、ミルンの自伝『ミルン自伝 今からでは遅すぎる』(A・ A・ミルン著/岩波書店)が96歳の石井桃子さんの新訳で刊行された。 ------------------------------------------------------------------------ メープルストリート新刊情報 ------------------------------------------------------------------------ http://www.litrans.net/maplestreet/index.htm <晶文社>new! http://www.litrans.net/maplestreet/p/shobun/index.htm 『チャスとリサ、台所でパンダに会う』(フラン・レボウィッツ作/マイケル・ グレーブス絵/宮家あゆみ訳):ニューヨークシティのアパートに住むチャスと リサは、ある日とんでもないものを見つけた。2頭のパンダ――見つけたところ: 物置、パンダの名前:「パンダでわいわい」と「パンダの通俗化反対」、パンダ の望み:パリに行くこと。こんなシュールな設定についていく自信はあるか? <徳間書店> http://www.litrans.net/maplestreet/p/tokuma/index.htm 『二つの旅の終わりに』(エイダン・チェンバーズ作/原田勝訳):舞台はオラ ンダ。現代のイギリスの高校生と戦時下のオランダの少女ヘールトラウの、人生 という「旅」が交互に語られ、やがて接点を持っていく。イギリスの作者チェン バーズにとっても、異国への心の「旅」をしながらの執筆となった。 『げんきなグレゴリー』(ロバート・ブライト作/なかつかさひでこ訳):元気 な、元気なグレゴリーは、みているだけでこちらまで元気がでてきそうな男の子。 ある日おばあちゃんに用事を頼まれたグレゴリー、二つ返事で引き受けて、でも ちょっと待った! みなまできいていないのに……。ヤッホーと元気なグレゴリ ーもいいけれど、おばあちゃんのホットケーキ、これがまったくたまらない。 『おばけのジョージー』の作者の、眠っていた宝が日本で甦った! 本作品がデ ビュー作となる訳者は、やまねこ翻訳クラブの会員だ。 <主婦の友社> http://www.litrans.net/maplestreet/p/shuftomo/index.htm 『人魚の涙 天使の翼』(フランチェスカ・リア・ブロック作/金原瑞人・小川 美紀訳):完璧な女性である母と彼女の虜である父。万引きとキスとダンス程度 のことしか誇れない少女エコーにとって、親は遠い存在。日々押し寄せる劣等感 と孤独……。だが、背中にぼろぼろの翼をつけた少年とであってから、エコーは ゆっくりと自分をみつけだしていく。リア・ブロックはますます詩人に近づきつ つある。 <アンドリュース・プレス> http://www.litrans.net/maplestreet/p/andrews/index.htm 『サイレント・ボーイ』(ロイス・ローリー作/中村浩美訳):町医者の娘ケイテ ィが気になっている、ひとりの少年ジェイコブ。時に「うすのろ」といわれ、時に 動物にやさしく手を伸べる。時にそっくりな擬声・擬音をやってのけ、だけど全く しゃべらない。ふたりの沈黙の友情の、ショッキングな終末とは? あのロイス・ ローリーが、骨董品屋でみつけた何枚かの写真からイマジネーションを膨らませた という期待の新作。 <童話屋出版> http://www.litrans.net/maplestreet/p/asunaro/index.htm 『うまやのクリスマス』(マーガレット・ワイズ・ブラウン作/バーバラ・クーニ ー絵/まついるりこ訳):ワイズ・ブラウンのまっすぐな詩と、クーニーの落ち着 いたあたたかさを湛える絵によるキリスト生誕の物語。たくさんの動物たちの息吹 に囲まれ、みどりごは誕生した。 『ともだち つれて よろしいですか』(ベアトリス・シェンク・ド・レーニエ作/ ベニ・モントレソール絵/わたなべしげお訳):王様とお妃様から招待状をいただ いた「ぼく」は、「ともだち つれて よろしいですか」と丁寧に許可を願った後 で、しずしずとお城に向かう。けれどもその友達といったら……しかも、同伴願い は一度ですまなくて……。そらとぼけた顔でつぎつぎとやってくれる「ぼく」は愛 すべきキャラクターだ。 <岩波書店> http://www.litrans.net/maplestreet/p/iwanami/index.htm 『フランダースの犬』(ウィーダ作/野坂悦子訳):アニメーションがあまりにも 有名な本作品に、野坂氏が新訳をつけた。さらに『おじいちゃん わすれないよ』 (ペッテ・ウェステラ作、金の星社刊)のハルメン・ファン・ストラーテンが挿絵 を提供している。原作を読んだことのない方……意外といるのではないだろうか? この機会にぜひどうぞ。 <パロル舎> http://www.litrans.net/maplestreet/p/parol/index.htm 『ゆきのひのおくりもの』(ポール・フランソワ作/ゲルダ・ミューラー絵/ふし みみさを訳):一面の雪の中、食べ物を探しに出かけたこうさぎは、にんじんを2 本みつけた。1本でおなかがいっぱいになると、のこった1本をもってこうまくん を訪ねるが、留守。おなかいっぱいで家に帰ったこうまくんは、こうさぎのおいて いったにんじんを見つけ、ひつじさんにとどける……。最後ににんじんはどうなる? 中国の昔話の再話ときいて納得できる、おなじみのパターン。安心できるストーリ ー展開に、心休まる色調の絵が見事にマッチしている。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● やまねこ翻訳クラブ http://www.yamaneko.org/ 執筆 hanemi/NON 編集 hanemi/ち〜ず/りんたん 今年1年で、いろいろな人や本と出会えました。そのすべてが財産です。 来年はどんな出会いがあるでしょうか?(は) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●