●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━      月刊      やまねこ      A C T I V A T O R (FA-TEXT)      やまねこ翻訳クラブ・アクチベーター                       (2013年3月19日)                           No.237 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  編集・発行……やまねこ翻訳クラブ http://www.yamaneko.org/ ------------------------------------------------------------------------ 【目次】 ●春本番、目を覚まして、さあ勉強だ! ●掲示板ア・ラ・カルト ------------------------------------------------------------------------ 春本番、目を覚まして、さあ勉強だ! ------------------------------------------------------------------------  本誌先月号でも少しご紹介した、『通訳・翻訳ジャーナル』2013年冬号誌上翻 訳コンテスト(YA編)の事後勉強会が、いよいよ始まった。参加者は、勉強会 に何度も参加しているベテランから、入会して間もない勉強会初参加の会員まで 総勢9名。課題は "The Terrible Thing That Happened to Barnaby Brocket" by John Boyne からの抜粋で、1月に行われた「いたばし国際絵本翻訳大賞」の 事後勉強会に続く訳出勉強会である。  訳出勉強会には初級と中級があり、初級では互いの訳文にコメントを付け合う のが基本なのに対し、中級は疑問点や問題点に重点をおいて意見交換し、訳文自 体の吟味は各自で行う。通常はどちらかに決めて勉強会を開催するが、今回は希 望がわかれたこともあり、参加者同士で相談の上、初級と中級をミックスして開 催することになった。やまねこの勉強会史上初の試みであり、参加者たちは、訳 文を磨きながら、課題への理解度をさらに深めていくことになる。  このように勉強会のスタイルを臨機応変に変えていけるのも、やまねこの勉強 会が自主企画、自主運営だからこそ。希望者が3人以上いれば、いつでも開催で きる。もちろん時期や課題も参加者同士で自由に設定可能。今回の参加募集はす でに締め切られているが、「こんな勉強がしたい!」という気持ちがあれば、ぜ ひとも声をあげて仲間を募り、自分たちで勉強会を企画してみてはいかがだろう か。 ▽学習室 http://www.yamaneko.org/gakushu/index.htm ▽「誌上翻訳コンテスト事後勉強会」案内ページ(学習室) http://www.yamaneko.org/gakushu/open/rm06.htm ▽「やまねこの勉強会が紹介されました」(やまねこ工房) http://www.yamaneko.org/honyaku/jisseki/club_ikaros.htm ※勉強会への参加は会員限定です。                                 (muzu) ------------------------------------------------------------------------ 掲示板ア・ラ・カルト ------------------------------------------------------------------------    「#」のうしろの数字は、各掲示板での発言番号を表しています。 ★読書室掲示板★ http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=dokusho 【主なトピック】 #3691〜 『いいこでねんね』読みました(続き) #3701〜 『マリアンは歌う』読みました(続き) #3703〜 チルドレンズ・ブック賞受賞作発表! #3707〜 ゴールデン・カイト賞、シド・フライシュマン賞受賞作発表! #3708〜 アガサ賞児童書及びヤングアダルト部門候補作発表! #3709〜 アンドレ・ノートン賞最終候補作発表! #3710〜 ケイト・グリーナウェイ賞ショートリスト発表! #3715〜 カーネギー賞ショートリスト発表! #3717〜 エズラ・ジャック・キーツ賞発表!  賞関連の情報は、速報掲示板もご利用ください。 ▽「速報(海外児童文学賞)」掲示板 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award 【新刊読み物】 #3702〜『クレイジー・サマー』(リタ・ウィリアムズ=ガルシア作/代田亜香 子訳/鈴木出版):1968年夏、デルフィーンと妹たちは、家を出ていった母親の もとで過ごすことに。食事すら作ってもらえず、姉妹は無料の朝食目当てにブラ ックパンサー党の教育プログラムに参加するが──。黒人家族のひと夏の物語。 2011年スコット・オデール賞、2011年ニューベリー賞オナーなど多数受賞。 #3704〜『モッキンバード』(キャスリン・アースキン作/ニキリンコ訳/明石 書店):アスペルガー症候群のケイトリンは、人とのコミュニケーションをとる のが苦手な女の子。銃乱射事件で唯一の理解者であった兄を亡くし──。少女の 気持ちに寄り添った文章で、相互理解の大切さを伝えてくれる。2010年全米図書 賞受賞作。 【新刊絵本】 #3713〜『すきすきパパ』(イザベル・マルチンス文/ベルナルド・カルヴァー リョ絵/宇野和美訳/光村教育図書):シンプルな絵と文で、パパと子どものか けがえのない幸せな時間を描いた作品。親子のあふれんばかりの愛情が伝わって くる。 【邦訳絵本】 #3694〜『えのはなし』(ポール・コックス文・絵/ふしみみさを訳/青山出版 社):描いたものが本物になる魔法の絵筆を、貧乏な絵描きが手に入れた。意地 悪な王さまに妨害されてばかりだが、お姫様との恋の行方は? 徹底したナンセ ンスぶりが秀逸、ボリュームたっぷりの楽しい1冊。 【創作読み物】 #3693〜『ぼくのネコにはウサギのしっぽ』(朽木祥作/片岡まみこ絵/学研教 育出版):できのいいお姉ちゃんにコンプレックスを抱く主人公。不細工なネコ との触れ合いを描いた表題作をはじめ、身近な動物と子どもをめぐる心温まる物 語が収録された短編集。 ▽このほかにも、メープルストリートで紹介されている新刊書の話題などで盛り 上がっています。掲示板の「トピック表示」もどうぞご利用ください。 http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?cmd=tpc;id=dokusho                                (モリー) ★喫茶室掲示板★ 〈お菓子の話題もこちらでどうぞ〉 http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=kissa #817〜 【訃報】プロイスラー氏 #818〜 『通訳・翻訳ジャーナル』誌上翻訳コンテストYA編             事後勉強会のお知らせ→締め切りました ▽作品リストの更新情報などは「更新履歴」掲示板でどうぞ。 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=rireki ▽リストに関する追加・訂正等の情報は「やまねこ資料室:メモ用掲示板」まで。 http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=siryo ▽「イベント情報掲示板」はこちら。 http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event ★広場掲示板★(会員限定) http://www.yamaneko.or.tv/member/c-board/c-board.cgi?id=hiroba ▽現在進行中または予定されている勉強会の情報はこちらでどうぞ。 http://www.yamaneko.org/gakushu/open/index.htm(勉強会の予定) ▽非会員で、勉強会に興味のある方は入会案内ページへ。 http://www.yamaneko.org/info/guide.htm                                 (muzu) ------------------------------------------------------------------------ メープルストリート新刊情報 ------------------------------------------------------------------------ <光村教育図書> http://www.yamaneko.org/maplestreet/p/mitumura/index.htm 『バーナムの骨 ティラノサウルスを発見した化石ハンターの物語』(トレイシ ー・E・ファーン文/ボリス・クリコフ絵/片岡しのぶ訳):バーナムは、将来 みんなをびっくりさせることをするようにと、サーカス団のオーナーの名をつけ てもらった。その名のとおり、彼は歩きはじめたときから、その才能を発揮した。 ただし、その「びっくり」が形になるまでには、何十年もの歳月と、計りしれな い情熱がついやされる必要があったのだけれど……。化石探しに一生をささげた 男というだけで、ふつうの人間ではないと想像できる。だがバーナムは、その風 貌や態度まで人とは違っていたらしい。クリコフ氏の表情豊かで動きのあるイラ ストは、そんな彼の人となりを表現するのに最適といえる。片岡氏のテンポのい い訳も手伝って、読者はわくわくするような化石探しを追体験できる。 『ぼくは ニコデム』(アニエス・ラロッシュ文/ステファニー・オグソー絵/ 野坂悦子訳):いじめっこにおどされたとき、先生にしかられたとき、ニコデム は、いつも心の中でおもっている。強くて大きな〈スーパーニコ〉になって、い いたいことを面と向かっていってやるんだ! だけど、それができたら苦労はな い。ところが、ある日あることがきっかけで、そんな気持ちに変化が起きる。モ ノクロ画に、きれいな赤が映える。この赤は、ニコデムの心を効果的に表現する 手段ともなっている。最後のみひらきは見る者の心にまで、ぽっと赤い火を灯し てくれる。粋でかわいい絵本だ。 『ぼくのサイ』(ジョン・エイジー作/青山 南訳):ぼくは、ペットショップ で、ちょっと変わった動物を手に入れた。それは、サイ! すごいだろ? だけ ど、そんな得意な気持ちも、やがてしぼんでいく。じつはこのサイは、なんの芸 もないサイていのペットだとわかったからだ……。あまりのナンセンスな設定に、 「え、それってどうなの?」とツッコミをいれたくなるのに、しばらくすると妙 な幸福感がひたひたとやってくる。なんともいえないこの脱力感がたまらない。 エイジー氏って、てんサイだ! 『もしも、ぼくがトラになったら』(ディーター・マイヤー文/フランツィスカ ・ブルクハルト絵/那須田 淳訳):オスカーは、穴の中にすんでいる、好奇心 いっぱいのネズミだ。あるとき、いけないといわれていた外にでてみると、案の 定、危険がつぎつぎとおそってきた。弱いネズミでいることにすっかり嫌気がさ したオスカーは、ねっこの魔法使いに相談して、つよい動物に変身させてもらう。 これで万事うまくいくと思いきや……。教訓を織りこんだ昔話風の物語が、落ち 着いた色味のやや硬めのイラストにマッチしている。ねっこの魔法使いを描く線 の勢いがすばらしい。 『ハンヒの市場めぐり』(カン・ジョンヒ作/おおたけ きよみ訳):ハンヒが、 お母さんと市場に買い物にいく話。少し前の日本をおもいださせる人情味あふれ る市場は郷愁をさそうが、それでいて、日本とは違う文化の新鮮さがあり、読者 をはっとさせる。市場をぬけたあと、近代的なアーケードがでてくるギャップも また楽しい。豆やごま油の屋台などには、図鑑のような詳しい説明もついている し、市場全体を俯瞰する絵はいくら眺めていてもあきそうにない。薬売りらしき 屋台のおばさんの、効かなければ返していいよという口上のアヤしさ加減もなか なかで、なんというか、まるで市場のような雑多でにぎやかな絵本だ。                                  (NON) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● 発行 やまねこ翻訳クラブ 編集 asayaka/たろたろ/tommy/NON/muzu/モリー/ラッテ 協力 出版翻訳ネットワーク管理人 小野仙内(http://www.litrans.net/)    キジトラ/ぐりぐら  桜の花が咲きはじめました。春は新生活に胸躍る方も多いのではないでしょう か。新しい仲間や、新刊の本など、皆さまにとって良い出会いがありますように。 (た) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●