※こちらは「情報編」です。「書評編」もお見逃しなく!! ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2001年3月号(情報編) =====☆ ☆===== =====★ 月 刊 児 童 文 学 翻 訳 ★===== =====☆  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ☆===== No.28 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌■ ■http://www.nifty.ne.jp/forum/flitrans/yamaneko/mgzn/      ■ ■編集部:yamaneko-mgzn@office-ono.com 2001年3月15日発行 配信数 2100 無料■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●2001年3月号(情報編)もくじ● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎特別企画1:児童書翻訳学習法 〜プロへの道を求めて〜 ◎特別企画2:遊学館外国絵本翻訳コンクール授賞式レポート ◎コンテスト情報:小野仙内事務所「第1回英語絵本翻訳模擬コンテスト」ほか ◎展示会情報:こどもの城「日本・ノルウェー友好こども絵画展」ほか ◎セミナー・講演会情報:神奈川近代文学館「子どもと文学の現在・未来」ほか ◎お菓子の旅:第14回 物語の味がするオーストリアの伝統菓子(シュトルーデル) ◎読者の広場:海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●特別企画1●ビギナーのための翻訳学習法 〜プロへの道をめざして〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「翻訳の勉強って、どうすればいいんですか?」 「どうすれば絵本の翻訳家になれますか?」   やまねこ翻訳クラブホームページには、メールや掲示板への書き込みで、よくこう した質問が寄せられる。実のところ、この問いに決まった答えはない。本誌情報編の インタビュー記事「プロに訊く」を読んでもわかるように、プロへの道筋やそこに至 るまでの取り組みは、人によって千差万別だからだ。だが初めて「翻訳」という世界 の魅力に触れ、雲をつかむような気持ちで質問する方には、それではいささか心もと ないだろう。そこで今回は、ごく一般的な文芸翻訳学習法についてまとめてみたい。 ============================================================ ★勉強法エトセトラ 〜基本は「読んで、訳して、見てもらう」〜 ============================================================  翻訳を学ぶというと、とても特別なことのように思われるかもしれないが、基本は 「読んで、訳して、見てもらう」ことに尽きる。ただ、それをどういう形で行うかは、 各人の好みや、家庭の事情などによって変わってくる。  ◆独学  今の時代、ちょっと手を伸ばせば外国語で書かれた本は簡単に手に入る。手頃な作 品を選んで、とにかく訳してみよう。すでに訳書の出ているものでもいい。絵本を何 冊かまるまる訳して訳書と照らし合わせるだけで、りっぱに翻訳学習のスタートは切 れる。ただし「人に見てもらう」という要素が不足しがちなので、独りよがりになら ぬよう注意が必要だ。なお洋書購入には、スカイソフト、Amazon.com、Amazon.co.jp などのオンライン書店が便利。いずれもやまねこ翻訳クラブホームページのリンク集 からリンクしているので利用してほしい。  ◆雑誌投稿やコンテストへの挑戦  翻訳雑誌の誌上講座やコンテストにこまめに応募するのも、ひとつの勉強法だ。完 全な独学と違って客観的な評価が加わるから、ある程度自分の力が測れるし、励みに もなる(逆に落ち込むこともあるが)。わたしはコンテストというものが苦手で、応 募するたびに落ちていたけれど、受賞者と自分の訳文を読み比べたり、審査員の講評 をていねいに読んだりするだけでも、得るものは大きかった。  ◆自主勉強会に参加する  切磋琢磨できる仲間がほしい人は、自主勉強会に参加するといい。大勢で訳文を見 せ合って気づいた点をコメントするうちに、発想が広がり、訳出の感性が磨かれてく る。外出がままならない人には、オンライン上の勉強会がおすすめだ。@nifty 文芸 翻訳フォーラムのやまねこ翻訳クラブでは、絵本翻訳コンテスト勉強会(応募締め切 り後に行われる訳文検討会)などが活発に行われ、その成果か、この2、3年、数多 くのコンテスト受賞者を出している。4月からは、コンテストとは別の絵本翻訳勉強 会も行われる予定だ。  ◆翻訳学校・通信教育・大学の講座  勉強会もいいけれど、やはりプロの指導が受けたいという人は、翻訳学校の門を叩 いてみよう。学校や講師によりシステムも教え方も様々だが、うまく相性が合えば実 力がつくし、人脈もできる。通信教育の場合は、課題提出から添削までタイムラグが あるため、疑問点をその場で解決できないといった不満も生じるが、スクーリング等 をうまく活用すれば、ある程度補えるだろう。  意外と盲点なのが、大学における翻訳講座。名だたるプロの翻訳家で、大学で教え ている人は大勢いる。これから大学生になる人(うらやましい!)は、翻訳書の訳者 紹介などを注意して見るといいだろう。 ================================================ ★プロへの道はどこにある 〜「好き」を追究して〜 ================================================  さて、色々と勉強法を並べたが、実際にプロとして活躍している人たちの例を見る と、そこに至るまでの道筋は実に様々だ。翻訳学校で頭角を現し、講師から仕事を紹 介された人。自主勉強をしながらコンテストで入賞した人。自分で本を見つけ、出版 社に持ち込んだ人……。でもそのいずれにも共通するのは、本が好き、書くことが好 き、翻訳が好き、というシンプルな熱意と、どこまでもあきらめない粘り強さだ。    ◆読むことと書くこと  プロをめざして翻訳を学ぶ人たちは、実によく本を読む。たとえば、昨年、やまね こ翻訳クラブで読書量の多かった人たちは、児童書だけでも年間150冊ぐらい読んで いる(ちなみに約3分の2が読み物)。中には「すべて合わせて400冊」という強者 もいた。それぞれ勤めや勉強もあるから、読書時間をひねり出すためには意識的な努 力が必要だろうが、けっして「勉強」のためにだけ読書をしているわけではない。好 きだから自然に努力できるのだ。  一方、書くことは、時に苦しみをともなう。がんばって勉強会に出した訳文が、穴 だらけだと気づかされるとき、周りの人がみんな自分よりうまいと感じるとき、だれ でも「ガツン」とショックを受ける。それでもまた立ち直って歩きはじめるのは、や はり「書くことが好きだから」「書かずにはいられないから」なのだ。  ◆歩き続けたその先に……  世間には、翻訳が「知的でおしゃれな職業」だという、かなり皮相的なイメージが あるらしい。中でも児童書翻訳は「手軽でとっつきやすい」と思われているようだ。 だがすでにおわかりのように、本気で取り組むには並々ならぬ努力が必要だし、絵本 ならでは、児童書ならではの難しさもたくさんある。おまけに一歩足を踏み入れてみ ればわかることだが、活躍しているのは、はるか高みで燦然たる輝きを放つ人たちば かり。自分は険しい山道をとぼとぼ歩く、しがない登山者なんだと思い知らされる。  それでもずっと歩き続けていれば、楽しさもわかってくる。花々を愛で、風景に心 を奪われ、たまにきれいな小石を拾い……やがてほかの登山者とも顔見知りになって、 山全体の地形も少しずつ飲み込めてくる。プロへの道は、きっとその先に開けている。  歩き続けなくてはわからない。だから一歩一歩、できるだけ楽しんで歩く。  しがない登山者は、きょうもそうやって山道をのぼる。 【参考】  やまねこ翻訳クラブホームページ  http://www.nifty.ne.jp/forum/flitrans/yamaneko/index.htm  「プロに訊く」バックナンバー  http://www.nifty.ne.jp/forum/flitrans/yamaneko/int/index.htm        (やまねこ翻訳クラブスタッフ/駆け出し児童書翻訳者 内藤文子) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●特別企画2●遊学館外国絵本翻訳コンクール授賞式レポート ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  去る3月4日、山形市で「遊学館外国絵本翻訳コンクール」の授賞式が行われまし た。今回で第10回を迎えた同コンクールは、出版に結びつくチャンスがあるためか、 非常に人気が高く、応募者数も多いことで知られています。この度、その難関を突破 し、見事 "Stripe" で最優秀賞を受賞した生方頼子さんに、授賞式のレポートを書い ていただきました。生方さん、ありがとうございました。   ************************* 授賞式レポート *************************  いつか入賞して「遊学館」のある山形へ行けたらいいな――そんな淡いあこがれの ような気持ちを抱いてコンクールに応募し続けてきましたが、まさか本当にかなうと は! 今回、課題 "Stripe" で思いがけず最優秀賞をいただくことができたわたしは、 3月4日、東京駅から山形新幹線「つばさ」に乗り、表彰式の行われる山形市へと向 かいました。 ★表彰式  表彰式は、山形市内にある「遊学館」の3階特別会議室で行われました。受賞者21 名のうち、式に出席したのは11名です。広い会議室で、選考委員の先生や紀伊國屋書 店の方、文溪堂の方、事務局の方々と向かい合うようにして席に着くと、最初に事務 局の方から選考経過についてのお話がありました。今回の応募数は "Stripe" が1660 点、"Home Before Dark" が1622点で、1次審査を通過したのはそれぞれ36点、35点 だったそうです。次にひとりずつ名前を呼ばれて、賞状と副賞をいただきました。山 形県の指定文化財である深山紙(みやまがみ)という和紙でできた趣のある賞状が大 きくて立派な額に入っており、手にしたとたん、いただいた賞の重みをひしひしと感 じました。 ★選考委員の先生のコメント  賞状をいただいたあと、選考委員のおひとりである金山等先生の講評がありました。 ふたつの課題に共通するポイントとして先生が挙げられたのは、「正確な日本語が書 かれているか」「日本語としてのいいリズムが出ているか」「スタイルが統一されて いるか」「絵と言葉が調和しているか」などです。また、課題ごとに、応募者に多く みられたミスや最終審査で問題になった点などについてもお話しいただきました。自 分の訳文にも当てはまる部分がいくつかあったので、恥ずかしくて思わず顔が赤くな ってしまいましたが、とても勉強になりました。ひとりひとりの訳文に対するコメン トでは、わたしの訳文は「リズムが心地よい」とのお言葉をいただき、うれしかった です。この課題を訳したとき、3歳半の甥っ子の顔を思い浮かべ、甥っ子に読み聞か せているつもりになって音読したことを思い出しました。実際に絵本のページをめく りながら、何度も音読を繰り返したことがよかったのでしょうか。 ★受賞パーティー  表彰式が終わると、ロビーで記念撮影を行ってからマイクロバスで受賞パーティー 会場のホテルへ向かいました。立食形式のパーティーです。おいしいお料理をいただ きながら、金山先生や遊学館の方のお話をうかがったり、受賞者のみなさんとおしゃ べりしたりと、楽しいひとときを過ごしました。おなかも心もいっぱいになり、翻訳 の勉強を続けるエネルギーもたっぷり充電して帰路につくことができました。さあ、 明日からまたがんばろう!                                 (生方頼子)   ********************************************************************  現在、遊学館のホームページ(http://www.yugakukan.or.jp/)には、今回の入賞 者名と金山氏の講評が掲載されています。ぜひご覧ください。 +――――――――――――――――――――――――――――――――――――+ |  「遊学館」     住 所  〒990-0041 山形県山形市1丁目2−36 | | 山形県生涯学習センター 電 話 (023)625-6411  F A X (023)625-6415 | +――――――――――――――――――――――――――――――――――――+ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●コンテスト情報● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎FMC「新人翻訳家コンテスト第10弾 児童書」  課 題:'The Kidnapped Moon'("The Brave Whale" by Alan Temperley より)  締 切:平成13年3月21日(水)必着  資 格:FMC会員であること  詳 細:http://www.fellow-academy.com/FMC/membership/event/contest.html ◎小野仙内事務所「第1回英語絵本翻訳模擬コンテスト」  課 題:"Too Much Noise" by Ann McGovern  締 切:平成13年4月30日(月)  資 格:特になし  詳 細:http://www.office-ono.com/litrans/mogicon/index.htm                                (中野伊都子) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●展示会情報● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎こどもの城「日本・ノルウェー友好こども絵画展――瞳をひらいて」  所在地:東京都渋谷区神宮前5-53-1  電 話:03-3797-5666  会 期:平成13年3月26日から4月15日まで  休館日:月曜日 入場料:一般500円 3歳から17歳まで400円(こどもの城入館料)  内 容:「平和と国際理解」をテーマに募集した絵画コンクール作品およびオスロ  国際こども美術館所蔵の作品を展示。 ◎大丸ミュージアムKOBE「ターシャ・テューダーの世界展」  所在地:神戸市中央区明石町40番地 大丸神戸店内  電 話:078-331-8121  会 期:平成13年4月5日から4月17日まで  休館日:会期中無休 入場料:一般700円 大学生・高校生500円 中学生以下無料  内 容:今年86歳を迎えるアメリカの絵本作家ターシャ・テューダーのライフスタ      イルに焦点を当て、原画、生活道具、ガーデニングの写真などを展示。  ◎神奈川近代文学館「子どもの本の世界展――20世紀から21世紀への贈り物」  所在地:横浜市中区山手町110  電 話:045-622-6666  会 期:平成13年4月7日から5月13日まで  休館日:月曜日、5月1日(火) 入場料:一般600円 大学生300円 高校生以下無料  内 容:20世紀の日本を代表する児童書作家、画家の作品展。260名の作家、画家      による300作品を公開する。  詳 細:http://www.kanabun.or.jp/index1.htm                                 (瀬尾友子) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●セミナー・講演会情報● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎神奈川近代文学館 文学講座「子どもと文学の現在・未来」  講 師:平成13年4月22日(日)13:00〜15:50       舟崎克彦(児童文学作家)        「2001年夢中の旅――ファンタジィ文学の力」       落合恵子(作家)        「たのしみとしての読書――子どもと大人・同時代を生きる」      平成13年5月5日(土)13:00〜15:00       谷川俊太郎・工藤直子(詩人) 対談「子ども・ことば・いのち」  場 所:神奈川近代文学館(横浜市中区山手町110)展示館2階ホール  参加費:1日1,200円(友の会会員は1,000円)  定 員:220名(定員になり次第締切)  申 込:郵便振替または神奈川近代文学館ミュージアムショップにてチケット購入。  問合せ:神奈川近代文学館(TEL 045-622-6666)  詳 細:http://www.kanabun.or.jp/kouenkai.htm ◎日本イギリス児童文学会 児童文学国際講演会             「イギリス絵本の現在――子ども読者と最近の作家たち」  講 師:ビクター・ワトソン(元ケンブリッジ大学教授)  通 訳:田中美保子(翻訳家)  場 所:大阪府立国際児童文学館(大阪府吹田市千里万博公園10-6)講堂  日 時:平成13年4月28日(土)14:00〜16:00  会 費:1,000円  内 容:英日両国で人気の高いきたむらさとし、アンソニー・ブラウン、トニー・      ロス等の絵本の魅力を語る。  申 込:電話・Eメール、または国際児童文学館カウンターで申込み。      (TEL 06-6876-8800 FAX 06-6876-8686 E-mail info@iiclo.or.jp )  詳 細:http://www.iiclo.or.jp/event/special/special.htm ◎絵本・児童文学研究センター 第13期生  講 師:工藤左千夫(絵本・児童文学研究センター理事長、研究所所長)  期 間:平成13年5月より2年半(全54回)  募集数:受講会員 50名、通信会員 50名  受講料:受講会員 入会金 6,000円 月会費 4,000円 冬期暖房費要      通信会員 入会金 6,000円 月会費 9,200円(ビデオ郵送料込)  内 容:生涯教育の一つとして、多様な児童文化の世界を、心理学・哲学を含む幅      広い観点から学ぶ。  問合せ:絵本・児童文学研究センターまで(4月20日募集締切)      (北海道小樽市長橋3-1-2 TEL 0134-27-0513 FAX 0134-29-4624)  詳 細:http://www.ehon-ej.com/bosyu.html                                (中野伊都子) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●お菓子の旅●第14回 物語の味がするオーストリアの伝統菓子(シュトルーデル) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ "Of course," Jessica said. "Without stories the strudel will be a big fat flop. Can't you just hear Grandpa saying that?" "Strudel Stories" by Joanne Rocklin (1999) Random House Children's Books *-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*  みなさんは「シュトルーデル」というお菓子をご存じでしょうか。有名なミュージ カル映画『サウンド・オブ・ミュージック』に、名前が出てくるので、聞いたことが あるという方も多いかもしれません。映画では『わたしのお気に入り』という歌の中 で、「お気に入り」のひとつとして挙げられています。  シュトルーデル(Strudel)とは、ドイツ語で「渦巻き」のこと。その名の通り、 向こうが透けて見えるほど薄くのばした生地に、いろんな材料を載せ、くるくる巻い て作ります。中でもリンゴを巻いたアップフェル・シュトルーデル(Apfel Strudel) は、オーストリアで最も古いお菓子のひとつです。幸運のしるしである馬蹄形に焼く ために、オーストリアの宮廷で好んで食されました。今ではウィーンの代表的なお菓 子として有名です。  2000年9月に『シュトルーデルを焼きながら』(ジョアン・ロックリン作/こだま ともこ訳/偕成社)という本が出ました。舞台はオーストリアの宮廷ではなく、今の アメリカのユダヤ人家庭。主人公のロリはおじいちゃんにいつも言われていたことが ありました。「お話ぬきのシュトルーデルなんて、ただの小麦粉のかたまりさ」  この家では代々、シュトルーデルを焼きながら、家族の物語を語るのが習わしなの です。ロリもいつか家族の歴史、ユダヤ人の歴史を語りながら、自分の子どもに焼い てあげるのでしょうね。いろんな物語の味つけがなされたシュトルーデル。なんだか とてもすてきです。 *-* アップフェル・シュトルーデルの作り方 *-*  材料:8〜10人分 <生地> 小麦粉1+1/2カップ  砂糖大さじ1  塩少々  卵1個  油適宜 <中身> 生パン粉50g  リンゴ5個  レーズン100g  レモンしぼり汁1個分      シナモン小さじ1  クルミ100g  バター大さじ3  砂糖1/2カップ 1.大きなボウルに小麦粉、砂糖、塩を入れて混ぜ、溶き卵を加え、手早くボール状  にまとめる。さらに、まとめた生地をボウルにたたきつけながら、なめらかになる  までこねたら、2時間休ませる。 2.リンゴ、クルミを細かく刻んで大きなボウルに入れ、生パン粉、レーズン、砂糖、  シナモン、レモンのしぼり汁を加えてまぜる。 3.休ませていた生地を、打ち粉をした作業台の上でめん棒くらいの長さまでのばす。  つぎに作業台に布を敷き、布に打ち粉をする。粉をつけた手の甲で、生地の中心か  ら引っ張るようにして、向こうが透けて見えるくらい薄くなるまで生地をのばし、  長方形にする。 4.3の生地の上に溶かしたバターをぬり(あとで使うので少し残しておく)、縁か  ら3cmのところまで2を広げる。長い辺の方から、下に敷いた布を使って巻く。 5.油をぬった天板に、つなぎ目を下にして4をそっとのせ、両端を曲げて馬蹄形に  する。表面に残りの溶かしバターをぬって、190度のオーブンで45分焼く。 6.適当な大きさに切り分ける。 ★参考文献 『百菓辞典』          (山本候充編/東京堂出版) 『愛蔵版 貴婦人が愛したお菓子』(今田美奈子著/角川書店) "Cuba, el color del cafe" http://okajun.com/cb/cb11.html "Epicurious Eating" http://www.epicurious.com/e_eating/e00_home/eating.html "Hungary" http://www.arts.klte.hu/hungary/hungary.htm ★「お菓子の旅」の掲示板 http://hpcgi2.nifty.com/onosendai/thk/bbs/nagaya.cgi?room=010                           (田中亜希子/森久里子) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●読者の広場●海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★児童文学(特に絵本)に以前からずっと興味を持ち、ひょんなことから7年前から、 絵本の見本市で世界的に有名なイタリアのボローニャに住んでいます。(もっとも、 あのブックフェアは一般の人は入場不可ですが。)イタリアには、日本の絵本を見な れている目には、子供の本とは思えないほど美術的にも大変美しい絵本がたくさん出 版されています。そんな絵本を、いつかは翻訳したいというのが、私の夢です。これ からも面白い記事、ためになる記事を期待しています。(Kiki) ☆ありがとうございます。読者の方からこういった感想をいただけると、とても励み になります(なにせ、感想をいただくことがめったにないので……トホホ)。これか らもよろしくお願いします。(編集部) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  このコーナーでは、児童書の翻訳にまつわるお話、ご質問、ご意見等を募集してい ます。yamaneko-mgzn@office-ono.com までお気軽にお寄せください。 ※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。 ※タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。 ※掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。 ※回答も読者のみなさまから募集し、こちらに掲載させていただきます。編集部から メールでの回答はできませんので、ご了承ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●お詫び●2月号に一部誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。 【ヘッダ】(誤)12月号→(正)2月号 【プロに訊く】(誤)中辻悦子さん訳書リスト→(正)中辻悦子さん作品リスト PR━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆  やまねこ翻訳クラブ(会員数217名)  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ やまねこ翻訳クラブは、@nifty文芸翻訳フォーラム内にある児童書専門サークルで、 海外の子どもの本に関する情報交換、翻訳・レジュメ自主勉強会などを行っています。 児童書に興味のある方でしたらどなたでも入会できますので、ぜひお気軽にご参加く ださい。        ――"The Amber Spyglass" 読書会開催中!―― ◆◇◆◇ http://www.nifty.ne.jp/forum/flitrans/yamaneko/index.htm ◇◆◇◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。  「子どもの本だより」がメルマガで!   渋谷の「子どもの本の店」で毎月紙ベースで出していた便りがメルマガで購読   できるようになりました。スタッフが選りすぐりの児童書を紹介しています。   詳細はhttp://homepage2.nifty.com/R2FISH/kmlinfo/index.htmにて。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。    -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=    ☆PR☆ 文芸翻訳独習者クラブ、メンバー募集中!        小説からノンフィクションまで、読み物の翻訳を学習。        http://www.office-ono.com/bhd/        ☆PR☆    -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= PR**************************************************************************        ●週刊メールマガジン「やまねこActivator」●   やまねこ翻訳クラブのHOTな話題を、毎週アツアツのうちにご提供します!     ・忙しくて、クラブの電子会議室をまめにチェックできない。     ・会員になりたいけど、話題についていけるかどうか不安。     ・海外児童文学界の「今」を知りたい。           ▼思い当たる方は今すぐクリック▼      http://macky.nifty.com/cgi-bin/bndisp.cgi?M-ID=fishpower **************************************************************************** PR━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★☆        文芸翻訳フォーラム・メープルストリート        ☆★         http://www.nifty.ne.jp/forum/flitrans/tn/ 新刊情報・イベント情報などを掲載いたします。詳しくはmaple@office-ono.comまで ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●編集後記●今回の遊学館のコンクールには、やまねこ翻訳クラブ会員が2名入賞し ています。入賞=プロデビューではないにしても、やはりうれしいですよね!(み) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発 行 やまねこ翻訳クラブ 発行人 吉井知代子(やまねこ翻訳クラブ 会長) 編集人 宮坂宏美 (やまねこ翻訳クラブ スタッフ)   企 画 河まこ キャトル きら くるり こべに さかな 小湖 Gelsomina      sky SUGO Chicoco つー どんぐり NON BUN ベス みーこ      みるか MOMO YUU りり Rinko ワラビ わんちゅく 協 力 @nifty 文芸翻訳フォーラム      小野仙内 ながさわくにお 麦わら ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・このメールマガジンは、「まぐまぐ」( http://www.mag2.com/ )を利用して配信 しています。購読のお申し込み、解除もこちらからどうぞ。 ・バックナンバーは、http://www.nifty.ne.jp/forum/flitrans/yamaneko/mgzn/から ご覧いただけます。 ・ご意見・ご感想はyamaneko-mgzn@office-ono.comまでお気軽にお寄せください。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■無断転載を禁じます。