※こちらは「情報編」です。「書評編」もお見逃しなく!! ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 99年9月号(情報編) =====☆ ☆===== =====★ 月 刊 児 童 文 学 翻 訳 ★===== =====☆  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ☆===== No.13 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌■ ■http://www.nifty.ne.jp/forum/flitrans/yamaneko/mgzn/      ■ ■編集部:yamaneko-mgzn@office-ono.com 1999年9月15日発行 配信数1180 無料■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●99年9月号(情報編)もくじ● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎出版社研究:第4回 静山社 ◎特別企画:絵本コンテスト 〜一次審査を突破するには〜 ◎コンテスト情報:山形県遊学館「第9回外国絵本翻訳コンクール」他 ◎展示会情報:平塚市美術館展示室「堀内誠一 雑誌と絵本の世界展」他 ◎セミナー・講演会情報:津田ホール「映画『赤毛のアン・完全版』」他 ◎お菓子の旅:第6回 ティータイムの定番 〜ショートブレッド Shortbread〜 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●出版社研究●第4回 静山社 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  第4回は、世界的な大ベストセラー、"Harry Potter and the Philosopher's Stone"(本誌98年9月号および今月号「書評編」参照)の邦訳、『ハリー・ポッター 〜魔法の石〜』(仮題)を今年12月に出版予定の「静山社」。東京・飯田橋にあるオ フィスに、社長の松岡佑子さんを訪ね、同書の出版に至る経緯や、今後の予定を中心 にお話をうかがった。 ★ 会社概要 〜人間の尊厳を社会に訴えるノンフィクションを中心に  "Harry Potter and the Philosopher's Stone"は、今や英米で社会現象といえるほ どの大ブームとなっている「ハリー・ポッター」シリーズの第1巻で、作者J.K.ロー リングのデビュー作。出版翌年の98年には、スマーティー賞を受賞した他、英国内で 数多くの児童文学賞の候補作にもあげられている。その後、世界各国で出版され、日 本でも翻訳が待たれていた。これほどの話題作なら、児童書の大手出版社から出るだ ろうという予想に反し、版権を取得したのは、児童書、フィクションともに初めて手 がけるという若手出版社の静山社だった。  静山社は、79年、前社長である故・松岡幸雄氏によって設立された。当初より民衆 史関連など社会性の高い作品を出版してきたが、83年に難病ALS(筋萎縮性側索硬 化症)の患者である故・川口武久氏の手記『しんぼう』を出版したのをきっかけに、 ALS関連の本を数多く手がけるようになった。また松岡前社長は、86年に自ら中心 となって患者、医師らと日本ALS協会を設立、ボランティアで事務局長を務めるな ど、個人としても患者の支援に深く関わった。こうした前社長の姿勢を反映して、静 山社は歴史、医療関連のノンフィクションを中心に、一貫して人間の尊厳を問う作品 を出版し続けた。  出版、ボランティア活動を通じて、精力的に自らの信念を社会に訴えかけてきた松 岡前社長だったが、97年12月に肺がんのため逝去。そのあとを引き継いで新社長とな ったのが、妻である佑子さんだった。もともと、同時通訳者として長年第一線でキャ リアを積んできた佑子さん。前社長のかねてからの勧めもあり、自らの専門である語 学を出版活動に活かしたいと、翻訳に強い関心を持つようになった。そして今年4月、 初の翻訳書として、自ら訳・編に携わった『国際会議用語辞典』(ジャン・エルベー ル著/ウィンター良子監修)を出版、静山社の新しい方向性を示した。 ★ ハリー・ポッター情報 〜出会いから版権取得まで  社長就任後、先述の経緯で、翻訳作品の出版に力を入れていきたいと考えていた佑 子さん。長年の友人である英国人の夫妻にその話をしたところ、「今イギリスで一番 ホットな本」と紹介されたのが"Harry Potter and the Philosopher's Stone"だった。 それが昨年の10月のこと。一読して大ファンとなった佑子さんは、早速英国の出版元 であるBloomsbury社に連絡、作者のエージェントを紹介された。その時点で、既に日 本の大手出版社3社から版権取得希望のオファーが来ていると聞いたものの、あきら めることなくファックス、電子メールなどで綿密に連絡をとり、熱意を伝え続けた。 「とにかくこんなに惚れ込んだ作品なのだから、絶対に自分で翻訳したいと思ってい ました」  そして昨年12月、エージェントから「静山社に決定」と、嬉しいニュースが届く。 松岡社長は、こうして「ハリー・ポッター」シリーズの第1巻、第2巻の版権、およ び第3巻から第7巻までの優先版権を手にした。 **************************【翻訳 うらばなし】*******************************  これほどの人気作の翻訳、しかも大手出版社を退けて版権を取得したことに、重圧 はいかほどのものかと思いきや、「プレッシャーは、特に感じていません」と、佑子 さん。むしろ、ここまで自分で気に入った作品を訳せることは、最高の喜びであり、 幸せだとのこと。翻訳作業のために何度読み返しても、そのたびに新しい発見があり、 飽きるどころかますますおもしろさがわかってくるそうだ。  佑子さんにとって「ハリー・ポッター」の魅力は、「声が聞こえてくるような生き 生きした会話」、「色の描写など、鮮烈に視覚に訴える表現の巧みさ」、「細部まで 練りこんだ綿密な筋立てと構成」、「愛や勇気の大切さというシンプルなテーマ」に あるという。翻訳にあたっては、こうした魅力を最大限に引き出せるよう、編集者や 翻訳アドバイザーなど数人のスタッフと、定期的に会議を開いて訳文を細かく検討し ている。また、原書の語彙が内容や対象年齢に比して難度が高いこと、読者の想像力 や好奇心を制限したくないという理由から、特に児童書を意識した翻訳は行っていな いそうだ。「原語の持つ雰囲気にできるだけ近い表現ができるように、ということを 一番に心がけています」もちろん、子どもたちにも読んでもらえるよう、ルビや最低 限の訳註などはつける予定である。  現在は、全体の訳が終了し、推敲を重ねている段階。12月の刊行に向け、タイトル、 装幀、挿し絵なども含めて大詰めの作業が続く。 **************************************************************************** ★今後の予定 「ハリー・ポッター」シリーズの原書は、全7巻となる予定で、現在は第3巻まで刊 行されている。静山社では、原書と同じく年1巻、もしくは2巻のペースで翻訳出版 をしていく予定になっている。  将来的には、翻訳作品にはいっそう力を入れていくつもりで、気に入った作品をさ らに選りすぐり、年に数点ずつでも出版していきたいとのこと。持ち込みについては、 今後積極的に対応、検討していく方針だ。  また、前社長の遺志を受け継いで、これからも闘病記や介護マニュアルなど、AL S関連の作品を出版し続けるという。その第一歩として、前社長の一周忌にあたる昨 年12月には、ALS患者である杉山進氏の手記、『負けてたまるか負けたら俺の男が すたるよ』を刊行した。 +--------------------------------------------------------------------------+ | 株式会社静山社  住 所  〒162-0814 東京都新宿区新小川町9-10-701  | |          電 話  (03)3267-6941    F A X (03)3267-6940  | |          http://www.sayzansha.co.jp              | +--------------------------------------------------------------------------+                            (取材・文 森久里子) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●特別企画●絵本コンテスト 一次審査を突破するには ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  昨年、ある絵本コンテストの一次審査員を務める機会があった。私自身、過去に何 度となく応募しては惨敗した絵本コンテスト。いつしか別ルートで翻訳を手がけるよ うになり応募資格を失ってしまったが、審査をして初めて気がついたこともある。そ こで今回は昨年の体験にもとづいて、コンテストに臨むための基本的な心構えなどを 述べてみたいと思う。ただしあくまでも一度きりの体験なので、細かい点はコンテス トにより異なるかもしれない。あらかじめご了承を。 ◎一次審査は、減点法  まず心してほしいのが、一次審査は減点法だということ。だめなものをふるい落と すための選考だ。その意味でまず最初にチェックされるのが、「応募要項に従ってい るかどうか」というポイント。言わずもがなのことなのに、案外この段階でミスをし ている人が多かった。私の担当分110編の中で、応募用紙の大きさを守っていないも のが2編。これらは中身も読まれずに「不合格」の袋へ直行だ。うう、もったいない。 他にも課題の範囲を間違えて減点されたものが数編。将来、翻訳の仕事につくことを 真剣に考えるのなら、約束事を把握するのは基本中の基本だ。ゆめゆめ怠りなきよう。 ◎校正、印字、清書  これ以外にも、訳文の出来以前の段階で失点を重ねている人がかなりいた。一番目 立ったのがワープロの変換ミス。「音が児玉する」「……と、訪ねました」(ask の 意味で)などもったいない間違いのオンパレードだ。「クリーム」を「ジャム」と訳 すようなうっかりミスもあった。いずれも見直せば防げるものばかりである。校正に はたっぷり時間をかけてほしい。  また直接減点にはつながらないものの、全体の印象を左右してしまうのが、原稿の 見ばえである。応募原稿には手書きのものもたくさんあったが、同じ内容のものが大 量に集まるコンテストでは、字の雑な人は損だということを改めて実感した。粗雑な 文字で書いてあると、内容までお粗末に見えてきてしまうのだ。乱筆の自覚がある人 (それは私!)は、ワープロやパソコンを使った方がいい。ただし印刷した文字も、 行間、字間を考えないと、ひどく読みづらくなる場合がある。読む人の気持ちを思い やって、きれいな原稿を作りあげよう。   ◎そうはいっても、やっぱり内容  もちろんいくら体裁を整えても、それだけでどうにかなるほどコンテストは甘くな い。大切なのはやっぱり訳文の内容だ。去年審査してみて一番強く感じたのが、辞書 をまめに引かない人が多いのではないかということ。見なれない単語は、誰でもきち んと調べるからあまり問題ない。むしろ、基本動詞や前置詞がらみの語句に誤訳が集 中していた。例えば 'wait on'。こうやって抜き書きすればすぐに熟語だとわかるが、 文の流れの中に混じり込んでいると、「wait=待つ」と決めつけてしまう人が案外多 い。今ドキッとした人は要注意。ていねいに辞書を引きながら、まずは英文をしっか り読み込もう。  もうひとつ目立ったのが、絵を読まないままに訳してしまうケース。テキストとに らめっこしているうちに、絵のことを忘れてしまうのだろうか。描かれた場面と明ら かに食い違った訳をしている人がずいぶんいた。推敲のときにはぜひとも絵と文を照 らし合わせて見てほしい。文章を切り取って各ページに貼りつけるなどの工夫をすれ ば、なおさら確かだろう。 ◎とにかくたくさん絵本を読む  去年の応募作を見てもうひとつ感じたのは、「絵本」というものに勝手なイメージ を抱いている人が多いということ。「絵本はかわいい」派の人たちは、「○○ちゃん はね、〜したの」といった具合に、歯の浮くような甘ったるい言葉を並べて訳文をつ づる。また「絵本はリズミカル派」の人たちは、全文をむりやり七五調に押し込んだ り、徹頭徹尾体言止めだらけの文を書いたりする。このような誤解を解く手だてはた だひとつ、とにかくたくさんの絵本に触れること。図書館の児童書コーナーに座り込 んで、手当たり次第に絵本を開いてみてほしい。ひとくちに絵本といっても、実に 様々な種類のものがあることに驚かされるだろう。かわいらしさやリズムももちろん 大切な要素だけれど、それだけではない。ひとつひとつの絵本に違った色彩、違った 文体、違ったリズムがあることに気づくはずだ。各作品の生きた個性に真剣に向き合 えば、子どもの本の奥深い世界が見えてくる。 ◎減点法を超えて  冒頭にも書いたように、一次審査は減点法である。個性があるけどポカも多いとい う人よりは、ミスが少なくきれいにまとめられる人の方が通りやすい。原文にない文 章を挿入したり、あるはずの文章をカットしたりするのも減点対象。「忠実な訳」が 基本である。  しかし、ただ忠実にきちんきちんと訳していくだけでは、一次審査は通れてもその 先へ進めない。賞を手にし、また将来仕事を手にするには、誰もが難しいと感じるよ うなポイントで、個性的な突っ込んだ訳文を書けることが必要だ。減点を乗り越える くらいの、冒険心と創意工夫も忘れないでほしいのだ。  忠実に、でも冒険心を忘れずに。真剣に、でも楽しく。一見矛盾したこの命題は、 そのまま翻訳という行為の難しさと楽しさにつながる。秋、それは絵本コンテストの 季節。入賞を目指し、しかしあくまでも自分の楽しみのために、あなたも挑戦してみ ませんか。                                 (内藤文子) ※本誌98年8月号、9月号でも、特別企画として絵本コンテスト研究を行っています。 ぜひホームページからバックナンバーをご覧ください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●コンテスト情報● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎山形県遊学館「第9回外国絵本翻訳コンクール」 課題:"PUDDLES" by Jonathan London / G. Brian Karas "Smudge" by Julie Sykes / Jane Chapman 締切:1999年9月30日(消印有効) 応募:課題絵本(全国の主要書店で販売)に添付されている応募要項を参照のこと  問い合わせ先:山形県生涯学習センター(TEL:023-625-6411)         山形県立図書館(TEL:023-631-2523)  参考 http://www.yugakukan.or.jp/ ※"Smudge"には米国版と英国版があります。課題になっているのは英国版です。 ◎バベル・プレス「第8回絵本翻訳コンテスト」 課題:"PIERRE'S DREAM" by Jeniffer Armstrong / Susan Gaber 締切:1999年10月末日(消印有効) 応募:月刊誌『翻訳の世界』(バベル・プレス)10月号の募集要項を参照のこと  問い合わせ先:バベル・プレス(TEL:03-5275-2438)  参考 http://www.babel.co.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●展示会情報● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎西宮市大谷記念美術館「'99イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」  所在地:兵庫県西宮市中浜町4-38  電 話:0798-33-0164  会 期:平成11年9月26日まで  休館日:水曜日(9月15日は開館、16日休館)  入場料:一般800円 高・大学生600円 小・中学生400円  内 容:ボローニャ絵本原画コンクールで入選した、17か国98人(日本人6人含      む)の作品約490点を展示。 ◎平塚市美術館展示室「堀内誠一 雑誌と絵本の世界展」  所在地:神奈川県平塚市西八幡1-3-3  電 話:0463-35-2111  会 期:平成11年10月3日まで  休館日:月曜日  入場料:一般600円 高・大学生400円 小・中学生200円  内 容:雑誌、絵本、絵本原画、イラスト、原稿、写真資料など、堀内誠一氏の作      品、約250点を展示。  ※以下のサイトで作品の一部を見ることができます。  http://www.kid.ne.jp/bus/zenrin/lapan9907/html/la07_4.html ◎まほろば・童話の里「浜田広介記念館」  所在地:山形県東置賜郡高畠町大字一本柳2110番地  電 話:0238-52-3838  会 期:常設展  休館日:月曜日、祝日の翌日  入場料:大人300円 中・高校生200円 小学生100円  内 容:「泣いた赤鬼」「りゅうの目のなみだ」の作者、浜田広介の作品を展示し      た美術館。高畠町の風土紹介コーナーや図書館も併設されている。 ◎兵庫県立円山川公苑美術館「ユゼフ・ヴィルコン展――物語る動物たち――」  所在地:兵庫県豊岡市小島1163  電 話:0796-28-3085(代)  会 期:平成11年10月3日まで  休館日:月曜日  入場料:大人300円 小人150円  内 容:絵本原画181点、彫刻60点。ヴィルコン42年間の仕事の全貌を伝える。                                 (瀬尾友子) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●セミナー・講演会情報● ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎津田ホール トーク&シネマ「映画『赤毛のアン・完全版』」  お 話:松本侑子(作家、日本ペンクラブ理事)    場 所:津田ホール(東京都渋谷区千駄ヶ谷1-18-24)  日 時:平成11年10月2日(土)13:30〜18:00  参加費:一般前売 1,500円 一般当日 1,800円 学生 1,300円  申 込:9月22日まで前売受付。電話またはファックスで受付番号を確認し、参加      費を郵便振替。9月23日以降は電話で予約状況を確認、余裕があれば参加      可(参加費は当日持参)。(TEL 03-3402-8832 FAX 03-3402-7901) ◎宮城子どもの本を楽しむ会 第4回子どもの本・秋・連続講座  (1) 松居直(児童文学者)「フェリックス・ホフマンの人と作品」(9月15日)  (2) 田畑精一(絵本作家)「絵本『ピカピカ』をつくって思ったこと」  (3) 梅田俊作(画家・絵本作家)「子どもたちに いま伝えたいこと               〜絵本『しらんぷり』と『タウタウさん』のこと〜」  (4)山花郁子(調布市教育委員)「ブックトークを楽しく!」  場 所:(2) 141ビル(仙台市青葉区一番町4-11-1)5階セミナーホール      (3) フォレスト仙台ビル(仙台市青葉区柏木1-2-45)2階ホール      (4) 仙台市シルバーセンター(仙台市青葉区花京院1-3-2)7階  日 時:(2) 10/17 (3) 11/14 (4)12/5 いずれも日曜日、13:30〜15:30  参加費:1回 1,500円(定員180名)  申 込:何回目の講座かを明記して、参加費を郵便振替【番号 02290−8-41871      名称 宮城子どもの本を楽しむ会】、折り返しチケットが送付される。  問合せ:増田家次子(TEL/FAX 022-265-1936)松尾福子(TEL/FAX 022-231-2712) ◎梅花女子大学公開講座 「イギリス児童文学−その古さ−」  講 師:三宅興子  場 所:茨木市立中央公民館(大阪府茨木市東中条町2-13)  日 時:平成11年10月28日(木)13:30〜15:30  参加費:無料  申 込:往復はがきに住所、氏名、電話、希望講座番号(7番)、返信の宛先を明      記し、〒567-8578 茨木市宿久庄2-19-5 梅花女子大学公開講座係へ。      定員(100名)になり次第締切。(TEL 0726-43-6221(代表)、内線213) ◎東京子ども図書館 T&T(Tea and Talk)「ケイト・グリーナウェイ」  お 話:島多代(ミュゼ・イマジネール主宰、国際児童図書評議会会長)  場 所:東京子ども図書館(〒165-0023 東京都中野区江原町1-19-10)  日 時:平成11年11月6日(土)14:00〜16:00  参加費:一般 3,000円 賛助会員 2,000円(茶菓付)  定 員:40名(定員を超える場合は抽選)  内 容:絵本の草創期を築いた画家、ケイト・グリーナウェイにまつわるお話。  申 込:往復はがきに(1)希望する講演・講座名 (2)氏名 (3)住所(郵便番号も)      (4)電話番号(昼の連絡先)(5)賛助会員か否かを記入の上、(財)東京子      ども図書館まで。10月15日(金)締切。(TEL 03-3565-7711)                                (中野伊都子) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●お菓子の旅●第6回 ティータイムの定番 ☆ショートブレッド Shortbread☆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---* 'My dear, if it doesn't rain I think Jane and Michael might call for me at the Office today - that is, if you are agreeable. I have a feeling I should like to be taken to Tea and Shortbread Fingers and it's not often I have a Treat.'       P.L.Travers "Mary Poppins" Puffin Books 1962(初版1934年) *---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*  突然、東風にのってバンクス家に現れたメアリー・ポピンズ。開いたかさを片手に 風にのっている場面は有名ですね。このお話は、20世紀初頭の典型的なイギリス中産 階級の家庭の子どもたちとメアリー・ポピンズが織りなすファンタジーです。  ある日のこと、お父さんが自分の働くロンドンの金融街、シティに子どもたちを招 いてくれました。そのときにお茶と一緒にごちそうしてくれると言ったのがショート ブレッド・フィンガーでした。ショートブレッドは、バターがたっぷり入った、サク サクした歯触りのクッキーです。もともと「ショート」には「油脂が入っていてサク サクしている」という意味があり、また、ショートブレッド発祥の地、スコットラン ドで「ブレッド(パン)」といえば、ふっくらしたものではなく薄く平たいものを指 していました。  ショートブレッドは出来上がりの形によって呼び名が違います。例えば円形を放射 状に8等分したものはペチコートテイル・ショートブレッド、丸い形に抜いて焼き上 げたものはラウンド・ショートブレッド、そして、小さな短冊形に切り分けたものが ショートブレッド・フィンガーです。今回は材料に紅茶の葉が入るので、市販のもの とはひと味違うものができます。紅茶の種類はアールグレイがおすすめです。 *-* ショートブレッド・フィンガーの作り方 *-*  材料:18cm×18cm角型1個分   小麦粉          180g      コーンスターチ 50g   バター(冷やし固めたもの)100g      砂糖      80g   紅茶の葉  ティーバッグ1袋分 1.小麦粉とコーンスターチを一緒に合わせてふるい、ボールに入れる。そこにバタ  ーをのせて、スキッパー等で小さく切る。 2.ある程度小さくなったら、指先でバターを粉の中にすり込むようにして、混ぜ合  わせていく。 3.さらさらしたパン粉のような状態になったら、ティーバッグから出した紅茶の葉  と砂糖を加えて、全体をさっと混ぜ合わせる。 4.生地をひとまとめにして、冷蔵庫に1時間入れて休ませる。型にオーブン用の紙  を敷く。 5.型に生地を平均に詰めて、180度で20分焼く。熱いうちに包丁等で3cm×9cmの  短冊形に切れ目を入れ、冷めてから分ける。 *-* 参考文献 *-* 『イギリスのお話は、おいしい。』白泉社 『英国おいしい物語』ジェイン・ベスト・クック著 原口優子訳 東京書籍 『イギリスのお菓子 I』北野佐久子著・写真 ソニー・マガジンズ 『風にのってきたメアリー・ポピンズ』P.L.トラヴァース作 林容吉訳 岩波書店                           (田中亜希子/森久里子) PR━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆  やまねこ翻訳クラブ(会員数150名)  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ やまねこ翻訳クラブは、NIFTY SERVE 文芸翻訳フォーラム内にある児童書専門サー クルで、海外の子どもの本に関する情報交換、翻訳・レジュメ自主勉強会などを行っ ています。児童書に興味のある方でしたらどなたでも入会できますので、ぜひお気軽 にご参加ください。        ―― 「ニューベリー賞読破マラソン」進行中! ――       ◆◇◆◇ http://www.nifty.ne.jp/forum/flitrans/yamaneko/index.htm ◇◆◇◆ PR━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★☆        文芸翻訳フォーラム・メープルストリート        ☆★         http://www.nifty.ne.jp/forum/flitrans/tn/              新刊情報(16冊)を掲載中! 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