メニュー読書室レビュー集特設掲示板レビュー集
やまねこ10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集> 韓国の賞レビュー集



韓国の賞レビュー集一覧 キリスト教児童文学賞 少年韓国日報賞 韓国オリニ図書賞  

このレビュー集について 10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」においてやまねこ会員が個々に書いたレビューを、各児童文学賞ごとにまとめました。メルマガ「月刊児童文学翻訳」「やまねこのおすすめ」などに掲載してきた〈やまねこ公式レビュー〉とは異なる、バラエティーあふれるレビューをお楽しみください。
 なお、レビューは注記のある場合を除き、邦訳の出ている作品については邦訳を参照して、邦訳の出ていない作品については原作を参照して書かれています。



 やまねこ10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集

キリスト教児童文学賞(韓国) レビュー集
 

★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★

最終更新日 2008/10/01 新規公開  


キリスト教児童文学賞の概要、ただいま調査中
 


 『こいぬのうんち』


1969年(第1回)キリスト教児童文学賞受賞

『こいぬのうんち』 クォン・ジョンセン(Jung-saeng Kwon)作 チョン・スンガク(Seung-gak Chung)絵
  ピョン・キジャ(Pyon Kijya)訳 平凡社 2004 (邦訳絵本) 

その他の受賞歴


 こいぬのしろが道端にうんちをした。どこかから飛んできたすずめに汚いとさげすまれ、そばに落ちていた土くれにも笑われ、悲しくなったうんちは泣きだしてしまう。そんなうんちのようすに、土くれは胸を突かれ、自分の身の上をうち明ける。お互いに心を通いあわせはじめたとき、お百姓さんが通りかかり土くれを畑に持ち帰った。またひとりぼっちになってしまったうんち。だれからもかえりみられることなく、自分が何のためにいるのかわからないまま、季節は過ぎていく。

 本書は、1969年にキリスト教児童文学賞を受賞した、クォン・ジョンセン(權正生)の作品が絵本化されたものだ。作者は貧民街に生まれ、廃品回収業をしていた父親が集めたゴミの中から拾った本を読みあさって育った。児童文学作家になる前は、結核という大病と闘いながら行商などで生計を立てていたという。
 いわば社会の底辺での苦闘のなかから到達した普遍的な真理が、深い慈愛に満ちた物語として結実した。生きることの根源的な意味を測りかねている人を、このうえなくやさしく包みこんでくれる本。

(雲野 雨希) 2008年10月公開

▲TOPへ  ★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★ このレビュー集について
 

韓国の賞レビュー集一覧 キリスト教児童文学賞 少年韓国日報賞 韓国オリニ図書賞  


 やまねこ10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集

少年韓国日報賞(韓国) レビュー集
 

★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★

最終更新日 2008/12/05 新規公開


少年韓国日報賞の概要、ただいま調査中
 



"Why Are You Crying, Frog?"『あまがえるさん、なぜなくの?』


2005年少年韓国日報優秀賞

"Why Are You Crying, Frog?"(2006) by Kim HyeWon キム・ヘウォン、Illustrated by Sim EunSook シム・ウンスク
『あまがえるさん、なぜなくの?』 池上理恵、チェ・ウンジョン共訳 さ・え・ら書房 2008 (邦訳読み物)

その他の受賞歴 2006年韓国出版文化大賞


 韓国の昔ばなし。あまがえるのぼうやは大のへそまがりで、お母さんが言うことの反対ばかりをしていました。川へ行けといえば、山へ行くし、水遊びはやめなさいと言えば、川にとびこんでしまいます。何から何までそんな調子なので、お母さんはこんなぼうやのことを心配して、とうとう病気になってしまいました。お母さんは、ぼうやに最後のお願いをします。

 韓国の昔話集などにも入っている、とても有名なお話が、再話絵本になりました。絵本のせいか、昔話として読んだ時とくらべると、ぼうやの年齢が幼く設定されているように思いました。ぼうやの行状が、絵で具体的に迫ってきますが、 同時に、ぼうやには悪気がなくて本当はお母さんのことが大好きなんだなということも、ダイレクトに伝わってきます。
 韓国の若い画家が描いた絵が、とても素敵。ちょっと「ヘタウマ」感のある、誰にも真似できないような絵です。特にかえるの表情が生き生きしていて、いろんな感情が読み取れます。草花や、風や雨などの自然の描き方もうまいなと思いました。

(植村わらび) 2008年12月公開

▲TOPへ  ★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★ このレビュー集について
 

韓国の賞レビュー集一覧 キリスト教児童文学賞 少年韓国日報賞 韓国オリニ図書賞 


 やまねこ10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集

韓国オリニ図書賞(韓国) レビュー集
 

★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★

最終更新日 2008/12/05 新規公開


韓国オリニ(こども)図書賞の概要、ただいま調査中
 



"The New Year's Clothing" 『 ソルビム ―お正月の晴れ着―』


第27回韓国オリニ(こども)図書賞

"The New Year's Clothing"(2006) by Hyun-Ju Bae ペ・ヒョンジュ
『ソルビム ―お正月の晴れ着―』 ピョン・キジャ訳 セーラー出版 2007 (邦訳絵本)

その他の受賞歴


 韓国のお正月――この日のために、何から何まで新しく揃えた晴れ着がソルビムです。
 そのソルビムを、1月1日の朝、女の子がひとりで、ひとつひとつ身につけていきます。チマ・チョゴリ、ポソン(足袋)、セットンチョゴリ。頭に飾るペシテンギや、上着や帽子といった小物もたくさんあるので、なかなか の大仕事です。
 さあ、できあがったら、新年の挨拶に行きましょう。外は初雪で真っ白です。

 韓国はすぐおとなりの国ですが、チマ・チョゴリの着付けを見たことがない人は多いのではないでしょうか。そんな人に、是非この絵本を手にとってほしいと思います。良く聞くチマ・チョゴリだけでなく、はじめて名前を耳にする服や小物も含めた着付けの様子が丁寧に描かれていて、見応えたっぷり。着物の色合いの美しさ、刺繍 や、部屋の中の箪笥や鏡台などの見事さに、ため息の連続です。
 そして、新しい着物を身に着ける喜びと共に、自分のために新しいものを揃えてくれた家族への感謝の思いも伝わってきます。年上を敬い家族を大切にする、韓国のお国柄ですね。女の子がとてもかわいらしいく描かれているので、日本の子どもたちも、あこがれの眼差しでページをめくることでしょう。
 巻末には解説もあり、伝統文化を伝えてくれるアートな絵本に仕上がっています。続編『ソルビム ―お正月の晴れ着(男の子編)―』では、男の子の晴れ着が紹介されています。弟のあどけなくかわいらしい様子がたまりません。併せてどうぞ。

(植村わらび) 2008年12月公開

▲TOPへ  ★ Yamaneko Honyaku Club 10th Anniversary ★ このレビュー集について

韓国の賞レビュー集一覧 キリスト教児童文学賞 少年韓国日報賞

メニュー読書室レビュー集特設掲示板レビュー集
やまねこ10周年記念「世界の児童文学賞ラリー」レビュー集> 韓国の賞レビュー集

copyright © 2008 yamaneko honyaku club