2003年 早川書房新刊情報

ハリネズミは子煩悩で、また餌をためこむ習性が古来「知識」と「賢さ」と「豊かさ」の象徴とされています。
子どもたちが読書という体験を通じて、心豊かに成長してほしいという願いから、ハリネズミをマークにし、〈ハリネズミの本箱〉シリーズを刊行しました。
★new!★2003年度ガーディアン賞受賞『夜中に犬に起こった奇妙な事件』★
2003.10.04発表


2003年11月 『ヘラジカがふってきた!』
2003年10月 『ミミズ・フライの食べ方』
2003年8月 『サマーランドの冒険』
2003年6月『川の少年』 『夜中に犬に起こった奇妙な事件』
2003年2月『秘密が見える目の少女』 4月『竜の王女シマー』
2002年12月『サーカス・ホテルへようこそ!』『幽霊船から来た少年』
2002年11月『おはなしは気球にのって』『名探偵カマキリと5つの怪事件』
2002年10月『モリー・ムーンの世界でいちばん不思議な物語』『ぬいぐるみ団オドキンズ』

早川書房ホームページ

2003年12月刊行

『秘密が見える目の少女』の続編!

ディナの秘密の首かざり:表紙

ディナの秘密の首かざり

リーネ・コーバベル
木村由利子 訳
ISBN 4-15-250015-8
定価 1785円(税込)

ディナは“恥あらわし”の目をもつ少女。
“恥あらわし”とは、人の目を見るだけで、相手の心のなかを映像にして本人の目の前に映し出す力です。
ディナの母親がもっていている“恥あらわし”の力を娘も強く受けつぎました。
彼女らは、その力を請われてしばしば、罪をおかした人間を裁く手伝いをします。

前作の事件から半年。
こんどもまた、ディナはおおきな危険にまきこまれます。
最初に母親が何者かにおそわれ、兄がその犯人をつかまえようとした矢先、ディナが捕らわれてしまうのです。
たまたま一緒にいた少年と2人で捕らわれの身となったディナは、大切な首かざりをうばわれただけではなく、“恥あらわし”の力を、むりやり使うことになり……。

ディナと兄ダビンが交互に語る形で物語はすすみます。
ディナのおかれた境遇があまりにも残酷で、時々ページをとじて、やすみながら読みました。
さて、今回はどうやって危機をのりこえるのでしょうか。
ダビンも大活躍し、彼の成長物語にもなっています。

秘密が見える目の少女:表紙 好評発売中!

秘密が見える目の少女

ISBN 4-15-250007-7
定価1575円(税込)


【作者】リーネ・コーバベル Lene Kaaberbol  1960年デンマークのコペンハーゲン生まれ。12歳から小説を書きはじめ、15歳ではじめての本を出版する。その後も現在にいたるまで、子ども向けのファンタジィを中心に数多くの作品を書いている。2000年5冊シリーズの第1弾として『秘密が見える目の少女』を発表、各国で大人気となる。本書はその続編にあたるシリーズ第2弾。

【訳者】木村由利子  大阪外国語大学デンマーク語学科卒。その後、コペンハーゲンに留学。北欧および英米文学翻訳家。『秘密が見える目の少女』(リーネ・コーバベル/早川書房)、『血のごとく赤く―幻想童話集―』(タニス・リー/ 共訳/早川書房)、『トロルとばらの城の寓話』(トールモー・ハウゲン/ポプラ社)、著書に『旅するアンデルセン』(求龍堂)他。



2003年11月刊行

ヘラジカがふってきて!:表紙 ヘラジカがふってきた!

アンドレアス・シュタインヘーフェル
鈴木仁子 訳
ケルスティン・マイヤー 絵

ISBN 4-15-250014-X
本体1500円+税

クリスマスまであと2週間というある晩、ぼくたち家族は居間に集まって、クリスマスの曲を練習する。
楽しく声をはりあげていると、
ドドーン! メリメリメリーッ!
天井をつきやぶって落ちてきたのは、ヘラジカだった。
名前はミスター・ムース。
信じられないできごとだったけど、ヘラジカはとてもやさしくておもしろくて、ぼくたちはすぐ仲良くなった。
ミスター・ムースは、おもしろくて長い話をしてくれた。
サンタクロースの話なんかをね。サンタクロースはミスター・ムースのボスなんだ。
そもそも、サンタクロースのそりをひいて空を飛んでいるときに、足をすべらせて落ちたきたのがぼくんちだったわけ。
そのうち、サンタクロースは、ヘラジカがいなくなったので、ぼくんちまで探しに来た。
でも、ぼくミスター・ムースにさよならしたくないなぁ……。



今年のクリスマスプレゼントにこの本はいかがだろう。
カラーの挿し絵たっぷりに、ヘラジカとぼくたち家族の、不思議な交流が心をぽかぽかさせてくれる。
クリスマスのたびに読み返しそうだ。


【作者】アンドレアス・シュタインヘーフェル Andoreas Steinhofel 1962年、旧西ドイツのバッテンベルク生まれ。マールブルク大学在学中の子ども向けの小説を書きはじめ、そのまま児童文学作家になった。日本語にも翻訳された絵本『どこ行っちゃったの?』(未知谷刊)をはじめ、著書多数。現在はベルリンに住み、作家、脚本家、翻訳家、評論家として、多方面で活躍している。本書は1995年に出版されて以来、クリスマスのたびに読まれている人気作品。

【訳者】鈴木仁子 すずき・ひとこ 名古屋大学文学部独文学科卒、ドイツ文学翻訳家。訳書に『猫のしくみ――雄猫フランシスに学ぶ動物行動学』アキフ・ピリンチ&ロルフ・デーゲン(早川書房刊)、『アウステルリッツ』W・G・ゼーバルト、『ブループリント』シャルロッテ・ケルナー他多数。



2003年10月刊行

アメリカで30年も読み継がれている本!

ミミズ・フライの食べ方:表紙 ミミズ・フライの食べ方

トマス・ロックウェル 
阿部里美 訳

ISBN 4-15-250013-1
定価 本体1400円+税

仲よし4人の少年があるとき賭けをした。
毎日1匹ずつ、15日間で15匹のミミズを食べられるかどうか、という賭けを。
賭けに勝ったら50ドル!
そのお金が手にはいると前から欲しかったミニバイクを買える!
4人は2つのチームに分かれて、賭けにのぞむ。
ただミミズを食べるというのではありません。
(いや、もちろんそうできれば一番なのでしょうが)
料理方法は自由、ただし、ミミズを小さく切るのはだめ。
さてさて、どんなレシピが登場するか、そして賭けには勝てるのか?!


アメリカで1973年に出版され、いまにいたるまでずっと読み続けられている愛読書が本書。
いつの時代も少年たちは楽しみをみつけ、無茶なことをする、とはいえミミズ!!
勝ちたいチームと、勝たせたくないチームの攻防はもとより、ミミズレシピも見逃せない。
うーん、いったいどんなお味なのでしょう……。

【作者】トマス・ロックウェル Thomas Rockwell 1933年生まれ。父は画家のノーマン・ロックウェル。大学卒業後、雑誌社で働きながら父の自伝執筆の手助けをする。その後はさまざまな職を経験するが、息子に本を読んでやるうちに創作意欲がめばえ、1969年にはじめての作品"Rackety-bang and other verses"を出版。現在までに、13冊の子ども向けの本を書いている。本書は1973年の出版以来、アメリカの子どもたちの間で絶大な人気を誇り、読み継がれているロングセラー。

訳者】阿部里美 成蹊大学文学部英文科卒。英米文学翻訳家。訳書に『黄色の間』メアリ・ロバーツ・ラインハート、『悲しみの四十語』ジャイルズ・ブラント(以上、早川書房刊)他。

2003年8月刊行

ピューリッツァー賞受賞作家が贈る初の児童書

サマーランドの冒険(上):表紙 サマーランドの冒険(下):表紙
サマーランドの冒険 上・下
SUMMERLAND

マイケル・シェイボン著/奥村明子訳

ISBN 4-15-250011-5(上)
    4-15-250012-3(下)
定価 各1600円+税

登場するのは、野球が大好きな妖精たち、少し気弱な少年イーサン、飛行船をつくっている父さん、etc.
舞台はハマグリ島、野球場のある島で、西の端では夏に雨のふらないことで有名な島でもあった。

イーサンは11歳。野球の試合ではいつもエラーばかりしているので、父親に野球をやめたいと訴えている。
しかし、野球が大好きな父親はなかなか首をたてにふらない。
そんなイーサンの前に不思議な妖精があらわれる。
「おまえさんはおれたちを救うんだ」
誰でもこんなことを唐突にいわれたらびっくりする。
世界が滅びつつある、それを救ってほしいといわれたイーサン、それも野球で救うなんて!

こうして、ある夏の日に、イーサンの冒険がはじまった。


ピューリッツアー賞作家、マイケル・シェイボンは、3人いる自分の子どもたちに読ませたいと思い、自身の大好きな野球の物語を書いたのがこの作品です。訳者あとがきによると、シェイボンは、子どものころにさまざまな地域の神話や民話や伝説を下敷きにしたおもしろい物語を読み、自分も、いつか作家になってそういう作品を書こうと決めたそうです。この物語にも随所にそれらが織り込まれています。
登場する妖精たちは、それはそれは個性的(?)。大泥棒のネズミ男、72954本のホームランを打った、三つの世界のホームラン王、小さな巨人、などなど、次々に登場する妖精を、丹治陽子さんが魅力的に描き出しています。


【作者】マイケル・シェイボン Michael Chabon ワシントンDC生まれ。ピッツバーグ大学を卒業後、カリフォルニア大学のライターズ・ワークショップに学び、1988年に長編『ピッツバーグの秘密の夏』でデビューを飾る。その後も話題作を発表し続け、『カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険』によりピュリッツァー賞を受賞した。現在は、作家の妻と3人の子どもとともに、カリフォルニアに住んでいる。本書は初の児童書。

【訳者】奥村 章子 おくむら・あきこ 青山学院大学文学部英米文学科卒業、英米文学翻訳家。訳書に『家族の名誉』『束縛』ロバート・B・パーカー、『凍てついた夜』リンダ・ラ・プラント(以上早川書房刊)ほか多数。


2003年6月刊行

川の少年:表紙 夜中に犬に起こった奇妙な事件:表紙★2003年度ガーディアン賞受賞★new!
川の少年
RIVER BOY

ティム・ボウラー
入江真佐子 訳
伊勢英子 絵

ISBN 4-15-250010-7
定価(本体1500円+税)
夜中に犬に起こった奇妙な事件
THE CURIOUS INCIDENT
OF THE DOG IN THE NIGHT-TIME

マーク・ハッドン
小尾芙佐 訳

ISBN 4-15-250009-3
定価(本体1700円+税)
川の少年 
★1997年度カーネギー賞受賞作品★


 主人公は15歳の少女、ジェス。泳ぐことが何より大好き、そしておじいちゃんとおじいちゃんの描く絵も大好き。
 夏休み――、家族でおじいちゃんの故郷へ向かう、夏をそこで過ごすのだ。ところが、出発をひかえたある日、おじいちゃんは心臓発作を起こしてしまう。故郷へ向かうのは無理ではと心配するパパやママをよそに、おじいちゃんは故郷へ行くことをゆずらない。絵を描くことを生きがいにしているおじいちゃんには、描きかけの作品があった。題は「川の少年」、その絵には少年はいないのだが……。
 ジェスはおじいちゃんの絵を描く手伝いをしたり、川で泳いだりして夏を楽しんだ。そして、その川で不思議な少年と出会う。

 幻想的な雰囲気の美しい作品。
 「死」をテーマにしているが、作者ティム・ボウラーは「これは悲しみの物語ではなく、希望の物語だ」と強調している。
 ボウラー自身も、14歳の時におじいさんを無くし、その経験を前向きな姿勢で書いてみたいと思ったそうだ。
 謎の少年とジェスとの出会い、おじいちゃんとおじいちゃんの息子であるパパとのかかわり、ジェスを見守る両親、誰もがあたたかくすてきに描かれている。

夜中に犬に起こった奇妙な事件
★2003年度ガーディアン賞受賞作品★

 こちらの主人公も15歳、名前はクリストファー・ブーン。自閉症にふくまれるアスペルガー症候群という生まれながらの障害をもっている。ブーン少年はお父さんと2人暮らし。通っている養護学校の先生にすすめられて、本を書こうと計画する。まず、書くなら好きな「ミステリ小説」。さて、題材は――。ちょうど(?)、近所の家の庭で犬が殺されるという事件が起きた。庭仕事で使うフォークで刺されていたのだブーンはこのことを本に書こうと捜査を開始する。

 文体はブーンが書いていることを想定されている。
 例えばこんな風に

 ――ぼくは起きあがっていった。「犬が死んでる」
 「そこまではわかってるさ」と彼はいった。
 ぼくはいった。「だれかが犬を殺した」

 事実が感情ある形容詞抜きで、語られていく。
 淡々と語られているだけに、その内容とのギャップが物語に輪郭をもたせ、不思議な読後感を残している。
 日本初紹介、マーク・ハッドンの作品。
【作者】ティム・ボウラー Tim Bowler 1953年、イギリス南東部のリー・オン・シーに生まれる。イースト・アングリア大学で北欧の言語や文化を学んだ。卒業後は教師や木材の伐採、アイスクリーム売りなど、さまざまな職を経験するが、その間も子どものころにはじめた創作活動をやめることはなかった。1990年に作家・翻訳家として独立。1994年、はじめての作品 "MIDGET" が出版され、反響を呼ぶ。本書は1997年に出版された第3作で、みごと同年のカーネギー賞を受賞した。

【訳者】入江真佐子 いりえ・まさこ 国際基督教大学教養学部卒、英米文学翻訳家。訳書に『シーラという子』、『ヴィーナスという子』トリイ・ヘイデン、『わたしたちが孤児だったころ』カズオ・イシグロ(以上早川書房刊)、『ラッキーマン』マイケル・J・フォックス他多数。
【作者】マーク・ハッドン Mark Haddon 作家、脚本家、イラストレーター。イギリスで子ども向けの作品を中心に活躍している。作家としては、スマーティーズ賞の候補となり、映画化が決まっている "THE REAL PORKY PHILIPS" や、イギリスの子どもたちに大人気の'AGENTZ'シリーズなどを書き、脚本家としてはBBCのテレビやラジオの番組を数多く手がけている。自閉症者といっしょに働いた体験をもとに本書を著わし、はじめて日本に紹介されることとなった。

【訳者】小尾芙佐 おび・ふさ 津田塾大学英文科卒、英米文学翻訳家。訳書に『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス、『闇の左手』『言の葉の樹』アーシュラ・K・ル・グイン、『われはロボット』『神々自身』アイザック・アシモフ(以上、早川書房刊)他多数。

★『川の少年』レビュー★
 プールで泳ぐジェスを見ていたおじいさんが、心臓発作で倒れた。医者の反対をおしきり、おじいさんは3日で退院したうえに、その晩徹夜で1枚の絵を描いた。絵のなかには、どこにも少年の姿がないのに、タイトルは「川の少年」。体調を心配するジェスや両親の思いをよそに、おじいさんは生まれ故郷で絵を完成させるといいはった。おじいさんの願いをかなえるために、一家は旅立つ。
 ジェスが初めて訪れたおじいさんの故郷には、あの絵に描かれた川があった。川を前にして、なんとしても絵を仕上げたいというおじいさん。絵筆ももてないほど弱ってしまった姿に、ジェスの心は痛む。もうひとつ気になるのは、川で見かけた少年の姿だった。そしてある日、とうとうその少年と話をすることができて……。
 最期の時を迎えようとするおじいさんと、15歳のジェスの交流が、美しい川の情景と幻想的な雰囲気のなかで描かれていく。小さな水源から川となり、海へとそそぐ流れを止められないように、「死」への時間を止めることはできないことを、ジェスは悟っていく。作者は14歳のとき、おじいさんを亡くしたときの経験をもとに、この作品を書いたという。わたしも初めて身内の死を経験したときのことを思い出した。あの時、死を意識して初めて、生きていくことの大切さを考えた。過去や未来にとらわれずに、「いまを生きろ、心の戦士となれ」とジェスに教えた、おじいさんの言葉が心に残る。                     

 メールマガジン「海外読物案内」より 竹内みどり(やまねこ翻訳クラブ)

 


2003年4月刊行


竜の王女シマー:表紙 竜の王女シマー

ローレンス・イェップ
三辺律子 訳

ISBN 4-15-250008-5
定価(本体1500円+税)

冒険ファンタジイ
おそろしい魔女をつかまえろ!
 竜の王女シマーと孤児の少年ソーンのふしぎな旅がはじまった



シマーは故郷の海をぬすんだ魔女シベットを追うために、さまざまに姿を変え旅をしていた。その旅すがら、魔女の痕跡を感じ、立ち寄った村で、孤児ソーンと出会う。つらい旅をしてきたシマーは、ソーンからあたたかい対応をしてもらい、心安らぐ。しかし、すぐ立ち去ろうとした時に起こった事件がきっかけで、2人は一緒に魔女を追う旅にでる。行く手にはばかる魔物たち。力をあわせなくてはいけない2人なのだが、何かにつけては意見があわずけんかばかり。魔女はつかまえることができるのか……。


アメリカではシリーズものとなり、現在4作まで発表されています。
冒険ファンタジイのこの作品では、中国系アメリカ人作者の描き出す、孫悟空を思わせるサルや、中国風の衣装をまとった魔女や仙人が登場し、東洋風のふんいきをそここに感じるでしょう。気高い竜の王女シマーと、率直なソーンは勇気と知恵と負けん気で、邪悪な魔女、シベットに立ち向かう姿は、ページを繰る手を止められません。

【作者】ローレンス・イェップ Laurence Yep 1948年、サンフランシスコ生まれの中国系アメリカ人。英文学の博士号を持ち、大学で教えたこともある。60冊以上もの本を書いており、特に子ども向けの作品では数々の賞を受賞した。本書は1982年に発表され、シリーズの第1作。著書は他に、『ぼくは黄泉の国へ渡った』(ニューベリー賞オナー作品)などが日本語に翻訳されている。

【訳者】三辺律子 さんべりつこ 白百合女子大学大学院修了、英米文学翻訳家。訳書に『ライトニングが消える日』ジャン・マーク、『壁のなかの時計』(ルイスと魔法使い協会シリーズ)ジョン・ベレアーズ、『さよなら、「いい子」の魔法』ゲイル・カーソン・レヴィン他多数
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2003年2月刊行


秘密が見える目の少女:表紙 秘密が見える目の少女

リーネ・コーバベル
木村由利子 訳

ISBN 4-15-250007-7
定価(本体1500円+税)

恥あらわし――良心と向き合う人、捨てさる人の物語

「恥あらわし」というのは、人が隠したいすべての記憶と思いをあらわにさせる特殊な能力。
その能力を母から受けついだ11歳に満たない少女ディナがこの物語の主人公です。
「恥あらわし」の母は3人の子どもをさずかりましたが、能力を受けついだのはディナだけ。
目をあわすだけで、自分では思いだしたくないことまで、本人の前につきつけてしまう能力のせいで、ディナと目をあわそうとする人はいません。友だちもできません。
孤独なディナは家族の中にいるときがやすらぎです。
ところが、その「恥あらわし」の母の力がもとで、おそろしい事件にまきこまれて……。
母を助けるため、ディナも自分の力を使いだします。


2000年にデンマークで発表された本作品は、イギリス、フランス、ドイツなどでも翻訳出版され、各国で大人気となっているそうです。本書は5冊シリーズの第1弾。
作者コーバベルは、最初母国語のデンマーク語で書き、その後自分で英語に翻訳して加筆と書きかえをおこなったそうです。日本語版はまずデンマーク語版から翻訳し、のちに英語版を参照して、変更を加えていると、訳者あとがきに書かれています。

あとがきに書かれていますが、ファンタジィでおなじみの面々(邪悪なドラゴン、騎士、錬金術師など)がずらりと勢ぞろいしますが、派手な魔法合戦はありません。「恥という感情をめぐって語られる、あくまで人間の話」、そうこの人間の物語を読みはじめるとページをめくる手を止められません。
「恥」というのは、誰もがかき消したく思うもの、それをあらわにする能力を頼る時もあります。しかし、それが今回のおそろしい事件の発端でした。事件にまきこまれながらも、自分の力を最大限発揮し、乗りこえてゆくディナ、続編(早川書房より刊行予定)が待ちどおしい!

【作者】リーネ・コーバベル Lene Kaaberbol  1960年デンマークのコペンハーゲン生まれ。12歳から小説を書きはじめ、15歳ではじめての本を出版する。大学では英文学と演劇を専攻し、子ども向けのファンタジィを中心に数多くの作品を書いている。

【訳者】木村由利子 大阪外国語大学デンマーク語学科卒。その後、コペンハーゲンに留学。北欧および英米文学翻訳家。訳書に『血のごとく赤く―幻想童話集―』(タニス・リー/共訳/早川書房)、『トロルとばらの城の寓話』(トールモー・ハウゲン/ポプラ社)、著書に『旅するアンデルセン』(求龍堂)他多数。
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2002年12月刊行

サーカス・ホテルへようこそ:表紙 幽霊船から来た少年:表紙
サーカス・ホテルへようこそ!

ベッツィー・ハウイー 作 目黒条 訳

ISBN 4-15-25006-9
定価(本体1500円+税)
幽霊船から来た少年

ブライアン・ジェイクス 作 酒井洋子 訳

ISBN 4-15-250005-0
定価(本体1800円+税)

『サーカス・ホテルへようこそ!』
世界に先駆け日本で初出版! とびきり楽しくて、心があたたかくなる物語!

【内容紹介】
 母子家庭に育ったハリウッド。ある日、「サーカス・ホテル」というところにおじいさんが住んでいることを知ります。おじいさんは空中ブランコの達人。サーカスをこのまま続けていくにはショーを開かなければならないのに、相棒がいません。ハリウッドは高所恐怖症の女の子。サーカスの仲間たちはハリウッドを相棒に推薦するのですが……。

【著/ベッツィー・ハウイー】 小説家、劇作家、そして女優。ニューヨーク大学で演劇を学び、在学中に劇作家、女優としてデビュー。邦訳は『恋人はタキシードを着たネコ』(道下匡子訳/河出書房)がある。本年出版された実娘キャリーの育児日記"Callie's Tally"は全米で話題になった。
【訳/目黒条】
 中央大学文学部文学科(仏文学専攻)卒。演劇関係の仕事をしているときに、作者ベッツィーと知り合う。現在は、英米文学・戯曲の翻訳を手がける。


『幽霊船から来た少年』
少年と犬の冒険をえがくジェイクスの新シリーズ!

【内容紹介】
 伝説の幽霊船、フライング・ダッチマン号。遠い昔に沈没したこの船は、乗組員の亡霊を乗せたまま、何百年もさまよいつづけているという。この船に少年と犬が乗っていた。助けあってつらい航海を乗りこえていくが、沈みかけた船から嵐の海へと投げだされてしまう。それが、ふたりの冒険のはじまりだった!

【著/ブライアン・ジェイクス】 1939年イギリス・リヴァプール生まれ。海の近くで育ち、海に興味を抱く。15歳で船乗りになり、アメリカや日本を訪れる。その後、さまざまな職業を転々としながら、1986年はじめての小説『勇者の剣』(徳間書店)を書く。2001年にこの新しいシリーズ第一弾である本書を発表。たちまちベストセラーとなる。
【訳/酒井洋子】 日本女子大学英文学科卒。ハワイ大学イースト・ウエスト・センター大学院演劇科修士課程修了。演出家、英米文学翻訳家。訳書に『ニール・サイモン戯曲集1〜5』(共訳・早川書房)他がある。

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2002年11月刊行

おはなしは気球にのって:表紙 名探偵カマキリと5つの怪事件
おはなしは気球にのって

ラインハルト・ユング 作 若松宣子 訳

ISBN 4-15-250004-2
定価(本体1400円+税)
名探偵カマキリと5つの怪事件

ウィリアム・コツウィンクル 作 浅倉久志 訳

ISBN 4-15-250003-4
定価(本体1500円+税)


『おはなしは気球にのって』
【内容紹介】
 ひっそりとくらすバンベルトは、体は小さくても大きなゆめを持った作家です。ある日、これまでに書いた11のおはなしを、小さな気球につけて窓から世界へ送り出しました。楽しいおはなし、こわいおはなし、ふしぎなおはなし。どれも心をこめて書いたものです。やがて、拾った人たちから返事がきました!

【著/ラインハルト・ユング】 1949年ベルリンでジャーナリストやコピーライターとして働く。1974年、子ども救済のための国際機関で報道の仕事についたことをきっかけに、子どもの本を書くようになる。1999年没。

【訳/若松宣子】 白百合女子大学大学院児童文学専攻修士課程修了。ドイツ・英米文学翻訳家。訳書に『レオ王子とちいさなドラゴン』ノルベルト・ランダ、『ワニがうちにやってきた!』ポール・ファン・ローン他。


『名探偵カマキリと5つの怪事件』
【内容紹介】
 スマートなカマキリ探偵と食いしん坊のバッタ博士は名コンビ。ある日、サーカスの花形、チョウのジュリアナ嬢がショーのさいちゅうに消えた。調査に乗りだしたふたりを待っていたのは血も凍る真実。しかも犯人の魔の手が迫ってきた! 「消えたチョウの怪事件」ほか「首なし怪物の怪事件」など全五篇。

【著/ウィリアム・コツウィンクル】 1938年生まれ。1969年に短編『マリー』でデビュー。映画「E..T.」を小説化してベストセラー作家となる。児童書から詩集、SFまで幅広い作品を手がける。著書に『時のさすらい人』(早川書房刊)ほか多数。

【訳/浅倉久志】 1930年生まれ。大阪外国語大学卒業、英米文学翻訳家。訳書に『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(P.K.ディック)、『いさましいちびのトースター火星へ行く』(T.M.ディッシュ)いずれも早川書房刊ほか多数。

本書のレビューがメールマガジン「海外読み物案内」に掲載されました。

 霧の中からふたつの影が現れる。一方は背が高くやせていて、もう片方は背が低く、動きはすばやい。名探偵と、同じ下宿に同居する医者のコンビが、あざやかな推理で怪事件を次々と解決していく。といえば、世界一有名な名探偵ホームズを思い出す方も多いだろう。だが、ここは昆虫王国バグランド。ノミ街にあるシャクトリムシ夫人の下宿に住んでいるのは、カマキリ探偵とバッタ博士なのだ。
 サーカスのショーの最中にトップ・スターであるチョウのジュリアナ嬢が消える「消えたチョウの怪事件」。捜索を依頼されたふたりは、チョウの行方を追ううちに、恐ろしい真実へと行き着く。そんなふたりに犯人の魔の手がせまる。「おびえきった学者の怪事件」では、偶然スパイの暗号を手にいれてしまったチャタテムシ教授に依頼され、ふたりは大使館のスパイを追うことになる。本書には全部で5つの事件が収められている。
 活躍するのは昆虫ばかりで、事件の真相は虫の生態を生かしたものとなっている。カマキリ探偵の武器は、もちろん力強い腕だ。登場する昆虫はなんと50種類以上。昆虫好きの人には、虫たちのめずらしい生態もたまらない魅力だろう。相棒をつとめるバッタ博士はくいしんぼうで、愚痴をいいながらカマキリ探偵とともに奮闘する姿がユーモラス。子どもから大人まで楽しめる、ちょっと風変わりで、幻想的なミステリだ。
                     

竹内みどり(やまねこ翻訳クラブ会員)

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2002年10月刊行

ぬいぐるみ団オドキンズ:表紙
モリー・ムーンの世界でいちばん不思議な物語

ジョージア・ビング 作 三好一美 訳

ISBN 4-15-250001-8
定価(本体1800円+税)
ぬいぐるみ団オドキンズ

ディーン・R・クーンツ 作 風間賢二 訳

ISBN 4-15-250002-6
定価(本体1600円+税)

『モリー・ムーンの世界でいちばん不思議な物語』
【内容紹介】
 孤児院でいつもいじめられてばかりのみなしご少女モリー・ムーン。ある日、偶然に図書館で出会った一冊の古めかしい本が、モリーの人並み外れた〈催眠術〉の力を花開かせた。めるくめく冒険の数々。しかしそこには思わぬ落とし穴が……。最後の最後までどんでんがえしがある、小さな催眠術師モリーの不思議な冒険物語!

【著/ジョージア・ビング】 演劇学校で女優としての教育を受けた。修行の合間に子どものための物語を書き、同時にイラストも描きはじめる。本書のほかに3冊の絵本と、やや年長者向けの本1冊が出版されている。

【訳/三好一美】 専修大学英米文学科卒業。英米文学の翻訳を手がける。短篇集『復讐の殺人』(早川書房刊)他、翻訳多数。


『ぬいぐるみ団オドキンズ』
【内容紹介】
 動くことも話すこともできる、魔法の命を持ったぬいぐるみたちオドキンズ。亡くなったおもちゃ職人のおじさんの後をつぐ人を呼んでくるため、嵐の夜、勇気を出して街へ出かけた。ところが、悪いおもちゃ職人が作ったおそろしいおもちゃたちが、あとを追いかけてきた! さあ、無事にたどりつけるのか?

【著/ディーン・R・クーンツ】 1945年生まれ。子どものころから作家になることをめざし、大学を卒業後、さまざまなアルバイトをしながら小説を書いた。1968年にはじめての本を出版。数多くのベストセラーを生み出し、本書は、はじめて子どものために書いた小説。

【訳/風間賢二】 1953年生まれ。武蔵大学人文学部卒。英米文学翻訳家。ファタジイ研究家。訳書に『瞬きよりも速く』レイ・ブラッドベリ(共訳・早川書房刊)、『ファンハウス』ディーン・R・クーンツ他多数。

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Last Modified: 2003/11/27
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