2006年-07年 徳間書店 児童書新刊情報

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2007年12月刊行


ネズミ父さん 大ピンチ!:表紙  ネズミ父さん大ピンチ!

ジェフリー・ガイ 作
ないとうふみこ 訳
勝田伸一 絵

ISBN 978-4-19-832468-2
定価 1400円+税


 ハツカネズミのアナクグリは愛する妻、子どもと共に人間の家の壁の中に住んでいる。アナクグリ一家の命運は常に、人間家族が猫など、自分たちをおびやかす動物を飼うかどうかにかかっている。しばらく平穏な日々が続いていたのだが、ある出来事から、黒猫ハンニバルがやってくる。さて、アナクグリ父さんは、ハンニバルとどうわたりあっていくか?!

 小学校低学年向けのこの本には、短篇が2つ入っています。いずれも、アナクグリ一家のできごとなのですが、ハツカネズミたちの波瀾万丈な日常は読み始めると止まりません。時に厳しい現実もつきつけられ、ドキッともします。生きていくため、食べ物を確保するため、なんと様々なハプニングが起きるのでしょうか。挿画も物語をふくらませる楽しいもので、ゆったり組まれた文字も読みやすいです。そして何より物語の吸引力! 読み始めると、ハラハラしながらも次のページを繰らずにはいられない魅力がたっぷりです。

 2008年はねずみの年。お子さんの読み初めにこの物語はいかがでしょう。

【作】ジェフリー・ガイ Geoffrey Guy
1942年、イギリス、グロスター生まれ。学校、郵便局、国防省、税務局など、さまざまな職場に勤務したのち、退職して庭師になり、同時に作家活動をはじめる。本作が最初の作品。

【訳】ないとう ふみこ 
上智大学外国語学部卒業。翻訳の仕事に精を出すかたわら、小学校での絵本の読み聞かせや、少年野球のお手伝いにも参加し、楽しくも忙しい日々を送っている。訳書に『宇宙人が来た!』『ぼく、もうなかないよ』『『アビーと光りの魔法使い』『ワニてんやわんや』(徳間書店)などがある。やまねこ翻訳クラブ(http://www.yamaneko.org)会員。

【絵】勝田伸一
神奈川県生まれ。日本デザイン専門学校を卒業後、イラストレーターとして活動を始める。雑誌のイラストや英語教材用の四コマ漫画、CDジャケットなどを手がける。


シャンプーなんて、だいきらい:表紙  シャンプーなんて、だいきらい

アンバー・スチュアート 文
ローラ・ランキン 絵
おおつかのりこ 訳

ISBN 978-4-19-862286-2
本体1400円+税

うさぎのポップは、すきなことと、きらいなことが、はっきりしているおとこのこです。
この一文ではじまる物語から、まさに、きらいなことは「きらい!」とはっきりいえるポップの姿がたちあがってきます。ポップは耳をあらうのがきらいです。シャンプーするようにあ、ママはあの手この手を考えますが、なかなかうまくいきません。さて、ポップはいつまでも洗わないでいられるのかしら?

うさぎを人間の子どもにおきかえて、このシチュエーションを経験した親子はたくさんいるのではないでしょうか。かくいうわが家も最初はそうでした。目をつむって洗うのがこわい、下を向いている時に上からじゃばっとお湯をかけられるのがいや。いろんな理由でイヤ!と聞いてきたものです。さて、そんな子どもたちにこの絵本を読んでみると、

「わたしはもうおねえちゃんだから、あらう!」と何ともうれしそうな笑顔。そして「まだ、ポップはちょっとあかちゃんだね」とも言ってみたり。自分のわずか少し前のことなんてすっかり頭にないようです。ひとつの事ができるようになるのは、決してまっすぐな道があるわけではなく、出来たり出来なかったりのいったりきたりを繰り返して到達するもの。絵本ではまっすぐの道を見せてくれて、それがなんとも子どもにはうれしいようです。上のお兄ちゃんも気に入って、学校の音読宿題でもせっせとこの絵本を妹に読み聞かせしたのを記録しています。「ぼくね、この絵本すきなんだ」と、やっぱりうれしそうな顔をして。そう、私もこの絵本を読むと、なぜかにこにこっとしてしまうんです。表情ゆたかに描かれたポップやママを見ていると、頬がゆるんでくるのです。


【文】アンバー・スチュアート Amber Stewart
イギリスの編集者として働くかたわら、絵本の文章も手がけている。絵本に、"How Many Sleeps?"がある。

【絵】ローラ・ランキン Laura Rankin
子どもの本の挿絵の分野で活躍中の画家。絵本"The Handmade Alphabet"はボストン・グローブ=ホーン・ブック賞を受賞した。日本で紹介されている絵本に、『マールとジャスパーのごちそうをさがせ!』(BL出版)がある。アメリカのメイン州ヨークビーチに在住。

【訳】おおつかのりこ 大塚典子
1967年、福島県生まれ。北海道大学文学部英米文学専攻卒業後、通信販売のカタログ制作に携わる。子育て中に、ネット上の海外児童書研究サークル「やまねこ翻訳クラブ(http://www.yamaneko.org)」と出会い、児童書の翻訳家を志す。絵本の翻訳出版は本書が初めて。横浜市在住。

サンタの最後のおくりもの:表紙  

マリー=オード・ミュライユ

エルヴィール・ミュライユ 作
クェンティン・ブレイク 絵
横山和江訳


ISBN 4-19-862249-3
定価 1260円(税込)

もうすぐクリスマス。
ジュリアンの家では、ツリーの準備がはじまり、サンタクロースへ手紙を書く時でもあります。ジュリアンは、ある計画をたてて贈り物のお願いを手紙に記しました。
さて、サンタさんは願いをかなえてくれたでしょうか。


小さい子どもたちの多くがサンタクロースがやってくるクリスマスがだいすきです。今年は何が贈り物になるのだろう。手紙を書いている子は読んでくれるだろうか。心の中だけで願っている子は、きちんとその気持ちが届いたかどうか――ドキドキもするその時間を過ごしている時から、サンタさんの贈り物が届き始めているのかもしれません。子どもたちは夜の間、ずっと起きていて、サンタさんに会おうとするのだけれど、どうしても真夜中にも目をとじてしまう。そして朝起きて、サンタさんがやってきたことを知り、とてもうれしくなるのです。

さて、今年のジュリアンに、サンタさんはいったい何を贈ってくれたのでしょう。

フランス語で書かれた物語を、クェンティン・ブレイク自身が英語に翻訳し、絵をつけました。どの絵も、シンプルでいながら愛情を感じられる、心あたたかなもの。読んでいる人それぞれに、ブレイクの贈り物が届くかのようです。



【作】 マリー=オード・ミュライユ Maríe-Aude Muraíl
エルヴィール・ミュライユ Elvíre Muraîl     
フランスの作家。姉のマリー=オードはソルボンヌ大学で学んだ後、子ども向けの本を多数執筆。邦訳作品に『青い髪のミステール』(偕成社)がある。妹のエルヴィールはケンブリッジ大学を卒業後、1983年に大人向けの本を出版、映画やテレビの脚本も手がける。1989年から子ども向けの本を執筆し始め、著書は50冊以上にのぼる。

絵】 クェンティン・ブレイク Quentin Blake  
イギリスの挿絵画家・絵本作家。1932年イギリス生まれ。ロアルド・ダール、ジョーン・エイキンほか、著名な児童文学作家の本の挿絵で知られ、自作の絵本に『みどりの船』(あかね書房)、『ザガズー じんせいってびっくりつづき』(好学社)などがある。1988年に大英勲章を授与され、1999年に初代チルドレンズ・ローリエット(名誉児童文学作家)に任命されたほか、ケイト・グリーナウェイ賞、ボローニャ・ラガッツィ賞など数多くの賞を受賞、2002年には国際アンデルセン賞画家賞を受賞している。

【訳】 横山和江 よこやまかずえ 
1968年埼玉県生まれ。跡見学園短期大学文化英文専攻で卒業後、ソフトウェア関係の会社でシステム翻訳に携わる。退職後、通信教育で児童文学の翻訳を学び、海外児童書研究サークル「やまねこ翻訳クラブ」(http://www.yamaneko.org/)での活動を通して勉強を続けている。本書が初めての翻訳。山形県在住、二児の母。


ひとりぼっちのねこ:表紙 ひとりぼっちのねこ

ロザリンド・ウェルチャー 作
長友恵子 訳



ISBN 4-19-862211-6
定価 1365円(税込)

なんと表情のある目をしているのだろう。
片方が青く、もう片方が緑色をした目をした白猫は、語りかけるように、読者を見つめる。

夏の間、別荘で暮らす家族は、ペットとして猫を飼いたがる。子どものいる家族であればなおさら。でも、夏が終わったら、自分たちの家には連れ帰らない。そうなると、猫はどうなる? いままで思う存分甘え、食べ物もたっぷりもらっていたのに、秋がきたら、いきなり、ひとりぼっちになってしまう。そういう猫の話が、猫の視点から語られる。

作者自らの挿絵は、とてもシンプルな線描。センチメンタルにならず猫が安心して暮らせる場所を求める厳しさとつらさを現しつつ、ささやかな喜びもあまさず現している。まだ小さい猫は、置いていかれたことも最初は気づかない。また戻るのだろうかと単純に信じていた。だが、自分の置かれた状況がわかってくると、猫の目がだんだん、暗くきついまなざしを変わっていく。

読んでいて、見ていて、ぐっと歯をくいしばってしまった。
シンプルな訴えが聞こえてくる――。

読んでいる間、表紙の猫の顔が文字の間から、ちらちら見えるようだった。さみしくさまよう猫の顔が変化する時。それは、誰かに抱かれ、のどをごろごろさせる時だ。私も猫のごろごろを聞きたい。

【作】ロザリンド・ウェルチャー Rosalind Welcher アメリカの作家、イラストレーター。ニュー・ハンプシャー州の丘の中腹で、木々と、野生の生き物に囲まれて暮らし、仕事をしている。趣味は料理、パン焼き、森の中のハイキング。ほかの著作に、「The Runaway Angel」「The Magic Top」「The Split Level Child」(未邦訳)など。

【訳】長友恵子(ながともけいこ)
 北海道美幌町生まれ、神奈川育ち。ボストン大学経営大学院卒。訳書に『生命(いのち)の炎は高く』(偕成社)、『中世の城日誌』『海賊日誌』(岩波書店)、『ドラゴンだいかんげい?』(徳間書店)など。

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Last Modified: 2007/05/24
担当:さかな
HTML編集: 出版翻訳ネットワークやまねこ翻訳クラブ