あかね書房新刊情報

2009年3月刊行

★YAダークシリーズ5冊刊行★

ゴーストアビー:表紙 バウンド―纏足:表紙 ソードハンド:表紙 ホワイトダークネス上:表紙 ホワイトダークネス下:表紙
2007年ブックトラスト・ティーンエイジ賞
2007カーネギー賞ショートリスト作品
2008年プリンツ賞
2005年ウィットブレッド賞(現コスタ賞)児童書部門ショートリスト作品
2005年カーネギー賞ショートリスト作品
ゴーストアビー

ロバート・ウェストール 著
金原瑞人 訳
バウンド 
― 纏足


ドナ・ジョー・ナポリ 著
金原瑞人・小林みき 訳
ソードハンド 
― 闇の血族


マーカス・セジウィック 著
西田登 訳
ホワイト ダークネス(上下)

ジェラルディン・マコックラン 著
木村由利子 訳
ISBN 978-4-251-06661-9
定価 本体2100円+税
ISBN 978-4-251-06662-6
定価 本体2000円+税
ISBN 978-4-251-06663-3
定価 本体2100円+税
ISBN 978-4-251-06664-0(上)
ISBN 978-4-251-06665-7(下)
定価 各本体2000円+税
 マギーは一級建築士の資格をもつ父親と、双子の弟の4人暮らし。父親、その資格を生かせる仕事に、いまはついておらず、家族の暮らしはなかなかに苦しい。
 そんな時に、父親に仕事の依頼がくる。古い元修道院の修理だ。マギーも一緒でいいというその仕事のために、4人そろって引越した。
 生活を立て直せると喜んだマギー。しかし、その古い建物、元修道院――アビーはふつうの建物ではなかった……。

 建物そのものがゴーストなのだが、いったいどんな展開をみせるのか。擬人化はされておらず、よって、建物は一言も発さない。けれど、あらゆる手段で意志を伝えようとしてくる。最後はどうなるのかと、ドキドキしてしまう。
 シンデレラの原型は中国にある?!著者、ドナ・ジョー・ナポリによる、あたらしいシンデレラ物語。

 1997年の夏に、著者は北京師範大学で創作を教え、その時に、現代に生きる作品に、伝承文学の影響が多々見られることに感動したと、あとがきに記している。
 そして、自分自身の解釈でこの物語を書き上げた。多くの人に読まれているシンデレラが、あらたな姿をみせてくれる。ここでの主人公はシンシン。母親は亡くなっているが、母の霊魂はいつもシンシンの近くにいる。継母の冷たい仕打ちに耐えつつ、纏足に苦しむ義姉とは、時々心を通わせる。しかし、シンシンに本当の味方は身近にはいない。

 ラストのカタルシスは、確かに伝承文学のそれである。
 舞台は東ヨーロッパのルーマニア。
 主人公はペーター。父親のトマスと2人で、村のはずれで暮らしていた。木こりの仕事を父から教わり、ペーターが仕事を覚えた時には、トマスはただの飲んだくれ親父になっていた。
村に不吉なできごとが重なった時、ペーターは父親の過去とも向き合うことになる。それは、信じられないような話だった……。

 吸血鬼(ヴァンパイア)伝説が下敷きとなったこの物語を書くにあたり、著者セジウィックは、「一本筋の通った物語をつくるためには、何百もの逸話を念入りに吟味しなければならなかった」(著者あとがきより)。
 そしてヴァンパイアの実在をほのめかす報告から最も古いものを選び、ストーリーを紡いでいった。
 ヴァンパイアといって、どんな姿を思い浮かべるだろう。首筋にかみついて血を吸う――そんな一見華やかな姿は洗練されたものであり、元々は亡霊。
 泥くさい亡霊が存在感たっぷりに物語で動き回るのを読むのは、ぞくりとさせられる。
 14歳の少女シモーヌ、通称シムは、南極に夢中。父親が亡くなってから、ビクターおじさんが、いろいろな知識を植え付けてくれたからだ。南極に関する本をことあるごとにプレゼントしてくれ、その中には、タイタスと呼ばれた、ローレンス・オーツ大尉の本もあった。だからなのか、いま、シムの恋人は90年前に死んだ、ローレンス・オーツ――タイタスなのだ。もちろん、実体はない。シムの頭の中にタイタスはいる。
 シムの父親が亡くなった時、ビクターおじさんは、借金の肩代わりをしてくれた。母親とシムを常に支え、特にシムを大事にした。シムもまた、ビクターおじさんを心から信頼している。
 そして、ある日、新聞の販促サービスでもらったというパリ旅行行きが、おじさんから提案された。ここから、シムのホワイト ダークネスへの道のりが始まった――。

 いくら南極が好きだからといって、14歳の少女がそこに向かうなんて! ビクターおじさんのパリ行きは、巧妙に南極行きに変わっていく。おじさんの計画は着々と進行し、旅の目的もだんだん明らかにされていく、そのスリリングさは本を決して閉じさせない。
 90年も前に死んだ彼を恋人とし、脳内会話をするシム。壮大な旅は彼とともにあるのだが、いったいビクターおじさんは、何のためにシムと一緒に南極へ向かうのか。
 謎を知るために、ぐいぐいと物語に引っ張られて読んだ。すばらしかった。
【作者】ロバート・ウェストール(Robert Westall)
1929年、イギリス生まれ。イギリスのダラム大学、ロンドン大学スレード美術専門学校に学び、卒業後美術教師となる。教師として勤めるかたわら、ジャーナリストとして活動する。1985年、執筆活動に専念するために教師を辞める。カーネギー賞やガーディアン賞など、数々の文学賞を受賞。1993年没。
邦訳された作品には『“機関銃要塞”の少年たち』(評論社)、『猫の帰還』『かかし』(ともに徳間書店)、『ブラッカムの爆撃機』(岩波書店)などがある。

【訳者】金原瑞人
1954年、岡山県生まれ。法政大学教授・翻訳家。
訳書に「マインド・スパイラル」シリーズ、「盗神伝」シリーズ、「トロール・フェル」シリーズ、『ヒーラーズ・キープ』(以上共訳/あかね書房)、『チョコレート・アンダーグラウンド』(求龍堂)、『火を喰う者たち』『クレイ』(ともに河出書房新社)などがある。
【作者】ドナ・ジョー・ナポリ(Donna Jo Napoli)
1948年、アメリカに生まれる。言語学者・児童文学作家。邦訳された作品には『逃れの森の魔女』(青山出版社)、『野獣の薔薇園』『クレイジー・ジャック』(ジュリアン出版)、『わたしの美しい娘―ラプンツェル』(ポプラ社)などがある。

【訳者】金原瑞人(左記参照)

【訳者】小林みき
1968年生まれ。シモンズカレッジ(米国マサチューセッツ州)大学院で修士号取得。翻訳家。
訳書に『クレイジー・ジャック』(共訳/ジュリアン出版)、「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」シリーズ(共訳/ほるぷ出版)、「名探偵アガサ&オービル」シリーズ(共訳/文溪堂)、『若草物語』(ポプラ社)などがある。
作者】マーカス・セジウィック(Marcus Sedgwick)
1968年、イギリスに生まれる。英語教師を経て児童書の出版にたずさわりながら小説を書く。初めて書いた小説「Floodland」(邦題未訳)がブランフォード・ボウズ賞を受賞した。本作『ソードハンド―闇の血族』はブックトラストのティーンエイジ賞(2007年)を受賞。『WitchHill ―魔女が丘』『ザ・ダークホース』(ともに理論社)などがある。

【訳者】西田登
1963年、愛知県生まれ。塾講師のかたわら翻訳家としても活躍中。
訳書に『歩く』(共訳/講談社)、「ターニング・ポイント」シリーズ(共訳/岩崎書店)、『ホエール・トーク』(共訳/青山出版社)などがある。
【作者】ジェラルディン・マコックラン(Geraldine McCaughrean)
1951年、イギリスに生まれる。児童文学作家。出版社に勤務した後、創作活動に専念する。本作『ホワイト ダークネス』は2008年にプリンツ賞を受賞した。
邦訳された作品には『不思議を売る男』『空からおちてきた男』(ともに偕成社)、『ピーター・パン イン スカーレット』(小学館)、『世界はおわらない』(主婦の友社)などがある。

【訳者】木村由利子
大阪府生まれ。翻訳家。大阪外国語大学デンマーク語学科卒業。訳書に『はらぺこねこ』(小学館)、『秘密が見える目の少女』(早川書房)、『すてねこタイガーと家出犬スポット』『こはく色の目』(ともに文研出版)など、また著書に『長くつ下のピッピの贈り物』(KKベストセラーズ)、『旅するアンデルセン』(求龍堂)がある。

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Last Modified: 2009/03/23
担当:さかな
HTML編集: 出版翻訳ネットワークやまねこ翻訳クラブ