ほるぷ出版 翻訳児童書新刊情報(2006-2007年)

2007年12月刊行

きんようびはいつも:表紙  

ダン・ヤッカリーノ 作
青山 南 訳

ISBN 978-4-593-50494-7
定価 1470円(税込)

Best Illustrated Children's Books 2007

作者から

金曜日はいつも、息子のマイケルと、ちかくのダイナーであさごはんをいっしょにたべています。マイケルが3つになったときから、わたしたちふたりのとてもだいじな時間になりました。ふたりとも金曜日を楽しみにするようになりました。みなさんも、わたしたちのように、ちいさな行事をつくってみてください、ぜひ。
絵本を開くと、作者からのメッセージがこんな風に書かれていました。
ですから、当然、子どもにこの絵本をはじめて開いたとき、私はここから読みはじめました。
すると子どものひとりが、「ぎょうじってなあに?」と聞いたのです。
「この絵本を読んだら、“ぎょうじ”がわかると思うよ」とこたえ、パパとぼくの金曜日の様子を読みすすめました。

ダン・ヤッカリーノの描く色づかいは、にごりがなく、のびやかにすっきりしています。
金曜日を楽しみにしているぼくとパパ。通りを歩く顔見知りの人たちとの挨拶。
絵に添えられている言葉は最小限に、それでいて、絵をふくらます言葉が選ばれ、ふたりにとっての日常であり大事な金曜日の行事が語られているのです。

「“ぎょうじ”ってこういうことなんだ」

【作】ダン・ヤッカリーノ Dan Yaccarino
1965年、アメリカ、ニュージャージー州生まれ。絵本や公国のイラスト、TVアニメーションなどで広く活躍する絵本作家・イラストレーター。日本でhそうかいされている作品に『ダサいぬ』(講談社)、『ぱくぱくわにのマックス』(学習研究社)、『たこのぼうやがついてきた』『ハロー! オズワルド あたらしいともだち』(以上、小峰書店)、『まるいね まるいぬ』『ぼくのコブタは、いいこでわるいこ』(以上、BL出版)など。ニューヨーク在住。

【訳】青山 南 あおやま みなみ
1949年、福島県生まれ。翻訳家・エッセイスト。著書に『短篇小説のアメリカ 52講』(平凡社)、『インターネットは貧者の味方!』(宝島社)など、訳書に『カバ! じゃない、サイ!』(ほるぷ出版)、『超じいちゃん』『ハンタイおばけ』(以上、光村教育図書)、『ハロー! オズワルド あたらしいともだち』(小峰書店)など、多数。


2007年9月刊行

ジョン・バーニンガム 表紙  ジョン・バーニンガム
わたしの絵本、わたしの人生



ジョン・バーニンガム 著
灰島かり 訳

ISBN 978-4-593-56181-0
定価 2940円(税込)

 英国の子どもたちのみならず、翻訳を通して、世界各国の子どもから愛されているバーニンガムの絵本。
私の子どもたちも、バーニンガムのちいさい絵本を繰り返し、そらんじて読めるほど愛読してきました。

 そのバーニンガム自身による自伝は、大判ながらソフトカバーで読みやすいつくり。
最初に目に飛び込んでくるのは、若かりしバーニンガムと、ヘレン・オクセンバリーのツーショット。
 モーリス・センダックによるチャーミングな文章や、英国の子どもの本研究者であるブライアン・オルダーソンによる興味深い文章も読める。
 ちなみに、センダックは、こんな風に50年代、60年代の絵本界を振り返っている。 
50年代は情けない時代であり、同時にすばらしい時代でもあった。申し分のない見習い期間とでもいうのだろう。金も稼げずに、ばかげたことをしていたが、子どもの本の新たな世界を創りだす仕事の一旦を担ってもいた。それは子どもたち自身の途方もない世界に近い世界であり、豊かなデザインや、進歩した印刷やカラー製版の技術の成果に満ち満ちた世界だった。そして60年代に入ると、わたしは創作活動の新たな第一歩を踏みだした。きみもそうだったに違いない。19世紀的な子どもの本の世界、束縛だらけでがんじがらめの世界は、もう過去の話になっていた。われわれは自由の身となってスタートを切り、走り続けた。

 バーニンガムは、トレイラーハウスで暮らしていた子ども時代から、豊富な写真と共に、学生時代のポートフォリオや自画像も紹介する。妻のヘレン・オクセンバリーとの写真も多い。ふたりは中央美術工芸学校在学中に知り合ったので、学生時代からの写真が残されているのだ。画家として活動しはじめた初期の頃に作成したポスターもまたすばらしい美しさで目を奪われる。しかし、ポスターを制作し続けるよりも、イラストレーターとして仕事がしたかったバーニンガムは雑誌社や出版社を熱心にまわり、自分で物語も絵もつける絵本を造ろうと決意した。それでできあがったのが、『ボルカ はねなしガチョウのぼうけん』だ。この絵本はケイト・グリーナウェイ賞を受賞する。それから次々作成していった絵本についても、制作裏話がたっぷり描かれ、画家の軌跡を追うのにこれほどワクワクするものはない。
 本書は「パート1終わり 続く……」となっている。パート2も多いに期待したい。


ジョン・バーニンガム John Burningham 1936年イギリスのサリー州に生まれる。若いころは、兵役を拒否し、さまざまな仕事をしながら世界中をまわった。その後、ロンドンにある美術学校に通いながらイラストの勉強をし、ポスターなどを描いていたが、はじめて手がけた絵本『ボルカ はねなしガチョウのぼうけん』でケイト・グリーナウェイ賞を受賞、絵本作家として鮮烈にデビューした。その後、『ガンピーさんのふなあそび』で再度受賞し、この賞を2度受賞したはじめてのイラストレーターとなる。『ガンピーさんのドライブ』『おじいちゃん』『ねんころりん』『旅するベッド』『エドワルド せかいでいちばんおぞましいおとこのこ』など多数の作品を発表しており、いま、世界で最も注目されている絵本作家のひとり。

灰島かり はいじまかり
 国際基督教大学卒業。英国のローハンプトン大学院で児童文学を学ぶ。白百合女子大学ほかで児童文学を教えるかたわら、子どもの本の翻訳・研究の仕事をしている。著書に『絵本翻訳教室へようこそ』(研究社)など、訳書にサトクリフ『ケルトの白馬』『夜明けの風』(以上、ほるぷ出版)、ロアルド・ダール『へそまがり昔ばなし』『まぜこぜシチュー』(以上、評論社)、アンソニー・ブラウン『びくびくビリー』(評論社)、ケビン・ヘンクス『まるいね まるいぬ』(BL出版)などがある。


2007年4月刊行

たまごのはなし:表紙  たまごのはなし
かしこくておしゃれでふしぎな、ちいさないのち

ダイアナ・アストン 文
シルビア・ロング 絵
千葉茂樹 訳

ISBN 978-4-593-50487-9
定価 1575円(税込)

たまごはおとなしい……あたりまえ? 命がはぐくまれているたまごの中はきっといそがしいけれど、表面上は静か。
たまごはいろとりどり……絵を見てわぁっと声が出る。オレンジもあれば、赤もあり、画家が彩色したようなカラフルなたまごも。
かたちもいろいろ……ふくろのようなたまごもあるなんて! このふくろのようなたまごには、なんとまきひげもついているんですよ!
たまごはかしこい……たまごの擬態のようすをみていると、ほんとにどこにたまごがあるのやら。

こんな感じで、たまごのはなしは、たまごのイロイロを教えてくれます。親しみやすい手書き文字で、たまごについてシンプルに説明されているのを見ていると、たまごのもつ命に思いを馳せるでしょう。

生き物の智恵や不思議をたまごから見つめる絵本。オススメです。


ダイアナ・アストン Dianna Aston アメリカのテキサス生まれ。大学ではジャーナリズムを専攻。2人目の子どもが生まれた1996年から子どもの本を書きはじめた。裏庭で過ごすのが大好きで、葉っぱの裏をのぞき、木の枝を観察し、堆肥をひっくり返しては卵がないかと探している。ときには夫や2人の子ども、ペットたちの手まで借りることもある。現在はテキサス州に家族とともに住んでいる。

シルビア・ロング Sylvia Long
イラストレーター。アメリカのメリーランド美術学校を卒用語、20人にわたり広い範囲で作品展を開催。多くの子どもの本のイラストを手がけている。現在はアリゾナ州に家族とともに住んでいる。日本で出版されている作品に『大地のうさぎたち』(パロル舎)など。

千葉茂樹 ちばしげき 1959年、北海道生まれ。国際基督教大学卒業。出版社勤務をへて、現在は北海道当別町で翻訳者として活躍している。訳書に『エドワルド』『アンジェロ』(以上、ほるぷ出版)、『スターガール』(理論社)、『雪の写真家ベントレー』(BL出版)、『あたまにつまった石ころが』(光村教育図書)、『お手紙レッスン』(あすなろ書房)ほか、多数。

 

2006年10月刊行


しあわせなブタ:表紙 ろばのトコちゃん:表紙
しあわせなブタ

パトリク・ルーカス作
若松宣子訳

ISBN 4-593-50478-3
定価 1470円(税込)
ろばのトコちゃん
おやすみなさい


ベネディクト・ゲティエ さく
ふしみみさを やく

ISBN 4-593-50474-0
定価 840円
むかし、あるところにブタのお嬢さんが住んでいました。お嬢さんは、肉として食べられるのがいやでプロの歌手になろうと都会へ行きます。努力のかいあって、お嬢さんはスター歌手の道を順調に歩みはじめたのですが……。

自分の幸せを具体的に思い浮かべ、それを得たのにお嬢さんは、文字通り幸せになったのでしょうか。タイトルにある「しあわせのブタ」にはなれるのでしょうか。中間色の複雑の色合いが、絵に奥行きを与え、ブタのお嬢さんらの内面を描き出しています。
トコちゃんは、とっても素敵なベッドをもっています。
でも、そこで眠りません。いつもパパとママのいるベッドにいくからです。パパとママはトコちゃんがいるとせまくて、くつろいで眠れません。どうして素敵な自分のベッドに行かないのかしら。そこで……。

幼いトコちゃんの、愛くるしい行動はほほえましく、読んでいて自然と笑みがこぼれます。
あたたかく見守るパパとママもすてきです。

トコちゃんシリーズ六巻シリーズ 最終巻!
【作】パトリク・ルーカス Patryk Lukas
1960年、芸術家一家に生まれる。ポーランドのクラクフとカトヴィッツェの大学で、絵画とグラフィックを学んだあと、ポーランド南部の出版社で挿絵の仕事をする。ポスター画では、ポーランド、ドイツ、フランスなどで行われた国際的なコンテストで何度も受賞した。現在はフリーの画家として活躍し、大きい息子、小さい娘、中くらいのネコとともにドイツに住んでいる。

【訳】若松宣子 わかまつのりこ
神奈川県生まれ。白百合女子大学大学院児童文学専攻修士課程修了。同児童文化研究センター助手を経て、中央大学大学院独文学専攻博士課程在籍中。訳書に『ワニがうちにやってきた!』『レベル4―子どもたちの街』(岩崎書店)、『飛ぶ教室』(偕成社)、『おはなしは気球にのって』(早川書房)、『ロッテ―おひめさまになりたい』『ちいさなサンタ まちにいく』(理論社)など。
【作】ベネディクト・ゲティエ Bénédicte Guettier
1962年パリ生まれ。色あざやかでユーモアあふれる作風で人気をよび、いま、フランスでもっとも注目されている絵本作家の一人。児童書だけではなく、ポスター、広告、ファッション、赤ちゃん用品のイラスト、アニメなど、さまざまな分野で活躍している。他の作品に『パパと10にんのこども』(ひくまの出版)、『ローラ うまれてくるあなたへ』(朔北社)など。

【訳】ふしみみさを 伏見 操
1970年埼玉県生まれ。洋書絵本卸会社勤務を経て、現在は子どもの本の翻訳や紹介につとめている。おもな訳書に『あかがいちばん』『きょうはこどもをたべてやる!』(ともに、ほるぷ出版)、『ババールのヨガ』(白泉社)、『バスの女運転手』(くもん出版)、『はなくそ』(パロル舎)など。
 

2006年9月刊行

ちいさなもみのき:表紙  ちいさなもみのき

ファビエンヌ・ムニエ文
ダニエル・エノン絵
河野万里子訳

ISBN 4-593-50476-7
定価 1050円(税込)

ちいさなもみのきが、町の丘の上にはえていました。
ちいさなもみのきは、いつか大きなもみの木がはえている丘に暮らしたいと夢みていました。

ある日、男の人がもみのきを何本も切り、町に売りに行きました。
ちいさなもみのきもそのうちの一本でした。
なかなか売り手が見つかりませんでしたが、最後の最後にちいさなおじいさんとおばあさんの家に売られていきました。そして……。

ちいさなもみのきの願い、ちいさな老夫婦の願い、クリスマスは奇跡のおこるとき。
彼らには何が贈られたでしょう。
大きさも小さい絵本ですが、大きなあったかさがつまっています。

【作】ファビエンヌ・ムニエ Fabienne Mounier
1958年、フランス中部ヌベールに生まれる。1983年より、舞台衣装の仕事にたずさわり、1991年より、戯曲の創作を開始。小説も書いている。

【絵】ダニエル・エノン Daniel Hènon
画家・イラストレーター。フランス国立高等工芸美術学校で教育をうけた後、多くの絵本や青少年のための本を手がける。新聞雑誌のイラストや、舞台美術の分野でも活躍中。

【訳】河野万里子 こうのまりこ
上智大学外国語学部フランス語学科卒業。訳書に、『だいすきっていいたくて』(ほるぷ出版)、『星の王子さま』(新潮社)、『カモメに飛ぶことを教えた猫』(白水社)など、多数。

 

 

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Last Modified: 2008/01/09
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