2008年河出書房新社 新刊情報

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2008年12月刊行

サレンダー:表紙  サレンダー
Surrender

ソーニャ・ハートネット
金原瑞人・田中亜希子 訳

ISBN 978-4-309-20511-3
定価 本体1800円+税別

体は人の忠実なしもべだ。人が体を必要としなくなったとき、体にはそれがわかる。

 アンウェルは病床にあった。死にかけているようだ。年齢は20歳。
 アンウェルには兄がいた。名前はヴァーノン。過去に存在した兄。アンウェルの現在にはいない兄。
 フィニガンがいる。アンウェルの友だちだろうか。そうであるともいえ、そうでないともいえる。
 アンウェルとフィニガンのふたりの物語が、章ごとに語られている。
 ふたりのエピソードは時に重なり、読み始めのころのわからないことだらけの「現在」が少しずつ、ほぐされてくる。
 両親のこと、兄のこと、近隣の人々、そして大事な犬、サレンダーのこと。


 おもしろくて引き込まれるのとは違う感覚をもつ。物語の強い吸引力に対して、したがうように読む。
 不思議な読後感だった。
 混沌としたはじまりから、ぐわっと、アンウェルの「現在」が見えた時、ラストに言葉を失う。
 物語の力技をとことん味わえる小説だ。



ソーニャ・ハートネット Sonya Harthnett
1968年、オーストラリア・メルボルン生まれ。13歳のときに書いた小説"Trouble All the Way"で15歳でデビュー。YA小説を次々に手がけ、多くの作品がオーストラリアでもっとも権威のある「オーストラリア児童図書賞」をはじめとする児童書対象の賞を受賞。2002年にはイギリスでもっとも権威のある児童書賞「ガーディアン賞」を『木曜日に生まれた子ども』(小社刊)で受賞、2007年には優れたヤングアダルト作品に贈られるアメリカの大きな賞「マイケル・L・プリンツ賞」の候補作に本作品『サレンダー』が千節されるなど、高い評価を得た。2008年度アストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞、ハートネットは世界的な作家になったちなみに同賞は2003年にモーリス・センダック、2005年にはフィリップ・プルマンと荒井良二が受賞している。

金原瑞人
法政大学教授。翻訳家。訳書に『木曜日に生まれた子ども』『プリンセス・ダイアリー』シリーズなど多数。

田中亜希子
翻訳家。訳書に『小鳥たちが見たもの』『とらわれちゃったお姫さま』ほか。




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Last Modified: 2009/02/12
担当:さかな

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