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2010年3月号
   =====☆                    ☆=====
  =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====
   =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====
                                No.118
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児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌
http://www.yamaneko.org                         
編集部:mgzn@yamaneko.org     2010年3月15日発行 配信数 2390 無料 
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●2010年3月号もくじ●
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◎特集:マイケル・L・プリンツ賞受賞作及びオナー(次点)作レビュー
"Going Bovine" リバ・ブレイ作
"Charles and Emma: The Darwins' Leap of Faith" デボラ・ハイリグマン作
◎注目の本(邦訳読み物):『ライオンとであった少女』
                     バーリー・ドハーティ作/斎藤倫子訳
◎賞速報
◎イベント速報
◎お菓子の旅:第51回 父の日が3月? 〜ツェッポレ・ディ・サン・ジュゼッペ〜
◎読者の広場

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●特集●マイケル・L・プリンツ賞受賞作及びオナー(次点)作レビュー
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 2月号での、今年のニューベリー賞/コールデコット賞作品の紹介に続き、今月号
では同日に発表されたマイケル・L・プリンツ賞の受賞作およびオナー(次点)作の
レビュー2本をお届けする。レビューはいずれも米国版の本を参照して書かれている。
 本誌1月号外の速報記事は、こちら。
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2010/01g.htm

▼マイケル・L・プリンツ賞受賞作リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/us/printz/index.htm

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"Going Bovine"『キョウグー病』(仮題)
by Libba Bray リバ・ブレイ作
Delacorte Books for Young Readers, 2009, 481pp. ISBN 978-0385733977
★2010年マイケル・L・プリンツ賞受賞作
Amazonで詳細を見る

 キャメロンは16歳にして人生の脱落者だった。人気者で優等生の双子ジェンナとは
対照的に、高校では嘲笑の的。正論ばかり唱える学者の父は陰で助手と浮気をしてい
るし、専業主婦の母は家族から逃げるように家を空けてばかりだ。キャメロンには家
庭生活がなく、友人と呼べる仲間もいない。やがて妙な幻覚が見えはじめ、体はいう
ことをきかなくなり、ついにけいれんまでおきた。周囲からドラッグを疑われたが、
精密検査はもっと恐ろしい結果を示した。なんと、狂牛病に似たプリオン病、変異型
クロイツフェルトヤコブ病という進行性の脳の病らしい。差しせまる死を待つだけと
なったキャメロンの前にかわいらしいパンクな天使が現れ、彼に病気の真相を打ち明
けた。異次元への入り口を見つけた「X博士」がこの世界に戻ってきた際に、うっか
り魔物を連れてきた。それこそがプリオンの正体らしい。放っておけば、地球全体を
滅ぼしかねない。キャメロンは脳がプリオンに侵されているため、健康な人には見え
ない「手掛かり」がわかる。それをたどってX博士を見つけ、魔物を退治すれば病気
が治るばかりか、地球をも救いうる。だが、キャメロンの病気の進行が止められるの
は最大で2週間。時間切れになる前にテキサスから何千キロもの長旅をして使命を果
たさねばならず、さらに旅のお供として小人症の同級生、ゴンゾを連れていくよう天
使にいわれた。さてこんなありえない話、ナンセンスなのか、SFなのか、はたまた
キャメロンの病んだ脳のいたずらなのだろうか。答えは旅の終わりに明かされる。
 退廃的なキャメロンと病を異常に恐れるゴンゾは本気で生きたことがないまま、死
に囚われている。だが現実の死と直面させられ、初めて生きるために必死になれた。
背景が目まぐるしく変わる中でさまざまな登場人物と出会い、ふたりの少年たちは大
きく育つ。世界を脅かす魔物とはもしや、若者たちを侵す「どうでもいい」「めんど
う」「たいくつ」病ではないだろうか。一見重そうな題材だが、本書には長編を一気
によませる軽快なペースとユーモアがある。また、時には哲学的な思考を呼びおこし、
意外と深い。自ら瀕死体験がある著者にこそ書ける、Carpe Diem!(今を生きろ!)
を極限まで追及した作品。ラストは爽快な涙をさそい、印象的な1冊となった。

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【作】Libba Bray(リバ・ブレイ):1988年テキサス大学オースティン校を卒業。
2003年のデビュー作 "A Great and Terrible Beauty" はニューヨークタイムズ・ベ
ストセラーとなった。多くのYAアンソロジーに加わっているが、小説は本書が4作
目。現在はマンハッタンで児童書エージェントの夫と息子とともに暮らしている。

【参考】
▼リバ・ブレイ公式ウェブサイト
http://www.libbabray.com/

▼リバ・ブレイ公式ブログ(受賞を知らされたときの様子を報告)
http://libba-bray.livejournal.com/

▼リバ・ブレイのインタビュー(YouTube 内)
http://www.youtube.com/watch?v=KloEAoKvBqA

▽リバ・ブレイ作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/b/lbray.htm

                                (池上小湖)

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"Charles and Emma: The Darwins' Leap of Faith"
『チャールズとエマ、ふたりの愛の軌跡』(仮題)
by Deborah Heiligman デボラ・ハイリグマン作
Henry Holt and Company, 2009, 272pp. ISBN 978-0805087215
★2009年全米図書賞児童書部門最終候補作
★2010年マイケル・L・プリンツ賞オナー作
Amazonで詳細を見る

 昨年はチャールズ・ダーウィン生誕200年にあたり、イベント、テレビ番組、関連
本などで、ダーウィンの名前が数多く聞かれた。本作は、そのダーウィンと周辺の人
びとが残した手紙、日記、ノートなど信頼できる資料をもとにまとめられたダーウィ
ン夫妻の伝記である。ダーウィンの科学者としての道のりだけでなく、結婚のいきさ
つ、妻がどのように夫を支えたのかなど、その夫婦関係や人柄などが情感をこめて丁
寧に描かれており、これまでのダーウィンの本とは趣が大きく異なっている。
 チャールズは、結婚前にはすでに、創造主としての神の役割や天国と地獄の存在に
疑問を持ち始めていた。しかし、彼が妻にと選んだいとこのエマは、信心深いクリス
チャンで、天国の存在を心の支えにしていた。そんな女性にプロポーズする際、チャ
ールズは悩んだ末に自分の考えを隠さずに打ち明け、エマは驚きながらも受け入れた。
ふたりは、信仰面での大きな隔たりを飛び越えて結婚したのだ。もちろん不安はあっ
たが、ふたりは互いの思いを誠実に語りあい、『種の起源』発表によって巻き起こっ
た大騒動、心労のせいともいわれるチャールズの病気、子どもの病死など、さまざま
な試練をともに乗り越え、最後まで添いとげた。それでもエマは、天国で夫との再会
がかなわないことに、心を痛め続けていたという。
 人間チャールズを知れば知るほど、好ましく思わずにはいられない。持論の正しさ
を確信しながらも、それが信心深いエマや友人を傷つけてしまうだろうことを恐れる
姿には特に心を打たれた。一方、孤独な研究だけの生活から一転して家庭を持てたこ
とを喜ぶさまは、こちらが照れてしまうくらいだ。エマはといえば、大家族を取り仕
切りながら、夫の原稿を、より良いもの、誤解を受けないものにしようと校正に努め
た。そんな完璧な妻、母親でありながら、片付けだけは苦手だったというのもほほえ
ましい。そして、そのことについて、夫は妻に何も文句を言わなかったのだそうだ!
多くの読者が、科学者ダーウィンとその妻としてではなく、人間としてのふたりの魅
力にひきつけられるに違いない。また、神による天地創造を覆した夫と、そんな夫を
支えた信仰心篤い妻という夫婦の存在から、何かを学び勇気をもらうことだろう。

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【作】Deborah Heiligman(デボラ・ハイリグマン):米国ペンシルベニア州生まれ。
ブラウン大学で宗教学を専攻。小学生向けの雑誌 "Scholastic News" にさまざまな
記事を執筆・編集したあと、フリーランスとなり、科学絵本や世界各国のお祭りがテ
ーマのシリーズなど、主にノンフィクションの本を出版してきた。邦訳はまだない。
ピュリッツァー賞作家の夫ジョナサン・ワイナーと、ニューヨーク市在住。

【参考】
▼デボラ・ハイリグマン公式ウェブサイト
http://www.deborahheiligman.com/

▼デボラ・ハイリグマン紹介ページ(National Book Foundation 内)
http://www.nationalbook.org/nba2009_ypl_heiligman.html

▽全米図書賞児童書部門受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/us/nba/index.htm

▽デボラ・ハイリグマン作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/h/dheiligm.htm

                               (植村わらび)

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●注目の本(邦訳読み物)●母の深い愛のおかげで、少女は強くなった
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『ライオンとであった少女』 バーリー・ドハーティ作/斎藤倫子訳
主婦の友社 定価1,680円(税込) 2010.02 287ページ ISBN 978-4072628751
Amazonで詳細を見る  bk1で詳細を見る
"Abela" by Berlie Doherty
Andersen Press, 2007
Amazonで原書の詳細を見る

 物語の主人公は、タンザニアの村に住む9歳の少女アベラと、イギリスのシェフィ
ールドで母親と暮らす13歳のローザだ。なんの接点もなさそうなふたりの視点で交互
に語られるうちに距離がちぢまり、奇跡ともいえるめぐり合わせへ向かっていく──。
 貧しくも幸せに暮らしていたアベラは、エイズのために父母、妹を相次いで亡くし、
祖母が唯一の家族となった。そこにイギリスから国外退去させられたアベラの叔父が
やってくる。再入国をもくろむ叔父は、偽造パスポートを使いアベラを自分の子とし
てロンドンに送り込んだ。叔父の結婚相手とロンドンで暮らしはじめるものの軟禁状
態のような生活がつづき、アベラは意を決して逃げ出した。導かれるようにたどり着
いた学校で保護されるが、一時的に預けられた養育家庭も安らげる場所ではなく……。
 一方のローザは、やさしい祖父母、愛情豊かな母親に慈しまれて育ち、母親を「大
の親友」と思っている。だがある日、母が「女の子を養子に迎えたい」といいだし、
ふたりの間に深い溝ができてしまう。ローザは自分の存在を否定されたように感じて
絶望するが、あるとき母の深い思いに触れ、養子を迎えようと前向きに変化する。
 養子縁組という形で新しい家族を受け入れる側の子どもの気持ちは複雑だ。そんな
ローザが精神的に成長していく姿は、頼もしくすがすがしい。また、ローザの生い立
ちが、アベラの人生と絶妙にからみあうのも心にくい。とはいえ、ローザとアベラが
出会うまでには、絶望、受容、再生が、よせてはかえす波のように次々とおそってき
て、はらはらしながら見守った。アベラは母を亡くして自暴自棄になり野生のライオ
ンと出くわしたとき、「強くなりなさい」という母の言葉を思い出して生きる気力を
取り戻す。過酷な状況を生き抜くうち、心に鎧をまとうが、ソーシャルワーカーをは
じめ親身になってくれる人々のおかげで抑えてきた感情を開放して泣き叫び、その後
は見ちがえるように明るくなっていく。偶然出会うライオン色の髪をした女性も重要
な役割を果たしており、アベラにとってライオンは希望の象徴だ。蔓延する病気や貧
困、児童売買などタンザニアの過酷な状況や、子ども第一に取り組む養子縁組制度が
丁寧に描かれており、次の社会を担う若い世代にぜひ手渡したいと思った。医者にな
り故郷の人々を助けたいというアベラの夢が実現するよう、祈らずにはいられない。

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【作】バーリー・ドハーティ(Berlie Doherty):1943年、英国リバプール生まれ。
ソーシャルワーカー、教師などの仕事を経て、1983年から執筆に専念する。"Granny
Was a Buffer Girl"(『シェフィールドを発つ日』中川千尋訳/ベネッセ)と "Dear
Nobody"(『あなたへの手紙 ディアノーバディ』作者名表記:バーリー・ドハティ
/中川千尋訳/小学館)でカーネギー賞を2度受賞している。ダービーシャー、ピー
ク地方在住。本書はヨーロッパ各国のほか、韓国でも翻訳されている。

【訳】斎藤倫子(さいとう みちこ):1954年生まれ。国際基督教大学卒。ドハーテ
ィの作品を訳したのは、『ホワイト・ピーク・ファーム』(あすなろ書房)につづい
て2作目。ほかにも『コリアンダーと妖精の国』(サリー・ガードナー作/主婦の友
社)、『シカゴより好きな町』(リチャード・ペック作/東京創元社)など多数の作
品を手がけている。東京都在住。

【参考】
▼バーリー・ドハーティ公式ウェブサイト
http://www.berliedoherty.com/

▽バーリー・ドハーティ作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/d/bdoherty.htm

                                (横山和江)

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●賞速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★2010年ボローニャ・ラガッツィ賞発表
★2010年チルドレンズ・ブック賞候補作発表(受賞作の発表は5月22日)
★2009年度アンドレ・ノートン賞最終候補作発表(受賞作の発表は5月15日)
★2010年ゴールデン・カイト賞発表
★2009年度アガサ賞候補作発表(受賞作の発表は5月1日)
★2010年ニュージーランド・ポスト児童書及びヤングアダルト(YA)小説賞
                    候補作発表(受賞作の発表は5月19日)
★第15回日本絵本賞発表

 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を
ご覧ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

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●イベント速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★展示会情報
 広島県立美術館「ムーミン展」
 イルフ童画館「武井武雄が描く『世界の童話』原画展」 など

★講座・講演会情報
 こどもみらい館「アニカ・トール来日講演会」
 岡山子どもの本の会「石井登志子さん講演会」 など

★コンクール情報
 インターカレッジ札幌「第7回翻訳コンクール」

★イベント情報
 ちひろ美術館・東京「ポーランド語で楽しむおはなしの会」
 ゲートシティ大崎「子どもの本フェスティバル」 など

 詳細やその他のイベント情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、
空席状況については各自ご確認願います。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event

                           (冬木恵子/笹山裕子)

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●お菓子の旅●第51回 父の日が3月? 〜ツェッポレ・ディ・サン・ジュゼッペ〜
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Women in white uniforms with red crosses on the sleeve gave out doughnuts
and apples. They didn't offer me any, so I took two doughnuts off a pile.
They weren't nearly good as zeppole back home, but okay.
              "The King of Mulberry Street" by Donna Jo Napoli
                          Wendy Lamb Books(2005)
Amazonで詳細を見る             『マルベリーボーイズ』             ドナ・ジョー・ナポリ著/相山夏奏訳/偕成社(2009年)
Amazonで詳細を見る  bk1で詳細を見る -*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*  日本で父の日といえば6月の第3日曜日ですが、イタリアでは3月19日と決まって います。この日は「サン・ジュゼッペ(聖ヨゼフ)の日」。キリストの養父であった 聖母マリアの夫ヨゼフをたたえ、世間の父親の労をねぎらうほか、ジュゼッペという 名前の人すべてを祝うのだそうです。この日のためのドルチェ(お菓子)は、地域に よって実にさまざま。そのひとつが「ツェッポレ・ディ・サン・ジュゼッペ」です。  ツェッポレは南イタリアの揚げ菓子の一種で、シュー生地を揚げたものやケーキド ーナツ風のもの、ピザ生地に海草を混ぜて揚げた塩気のきいたものなどがあります。 中でも特別なのが今回のお菓子。シュー生地のツェッポレをカスタードとチェリーの 砂糖漬けでおめかししたもので、この時期のナポリでしか味わえないのだとか。ヨー ロッパには修道院発祥のお菓子が数々ありますが、一説ではツェッポレもこの地の修 道院で8世紀頃に生まれたといわれ、とても歴史があるようです。  さて、冒頭の引用は19世紀末にナポリからアメリカへと渡った9歳のイタリア人少 年の物語から。船を降り、港で移民のために配られていたドーナツを口にした彼が、 望郷の思いを胸にツェッポレと比べている場面です。母親と一緒のはずが、実際はひ とりで密航させられていた少年。頼るもののない土地で、持ち前の勇気と才覚により 自らの運命をきりひらいていきます。実は、この少年は父親を知りません。聖ヨゼフ のツェッポレが出回る春先は、もしかしたら彼にとっては胸の痛む時期だったのかも しれませんね。 *-* ツェッポレ・ディ・サン・ジュゼッペの作り方 *-*                 画像はこちら(やまねこ翻訳クラブ喫茶室) 材料(8個分) 〈ツェッポレ〉  薄力粉  50g     強力粉  30g     水   120cc    バター 20g  卵(L)2個     塩ひとつまみ     粉砂糖  適宜    揚げ油 適宜 〈カスタードクリーム〉  牛乳  300cc     砂糖   80g     卵黄  4個分    薄力粉 50g  レモン皮(黄色い部分をむき、お茶パックに入れる)1/2個分    バター 15g 〈サワーチェリーの砂糖煮〉  サワーチェリー 1缶 缶汁  100g     砂糖   80g キルシュ 大さじ1 1.粉類と塩はあわせてふるっておく。鍋に水とバターを入れて熱し、沸騰したら火   を弱め、粉類を一気に加えて木べらでよく混ぜる。ひとまとまりになってつるん   と鍋肌から離れるようになったら、さらに約1分加熱する。 2.1をボウルにうつし、卵を少しずつ加え、その都度ハンドミキサーでよく混ぜる。   木べらからぽってりと落ちるかたさになったら、卵を入れるのをやめる。 3.8cm角のオーブン紙に星口金でドーナツ状にしぼりだし、紙面を上にして180度   の油に入れ、紙がはがれたらひっくり返し、きつね色になるまで揚げる。 4.冷めたら粉砂糖をふり、中央にカスタードクリームをしぼってサワーチェリーの   砂糖煮(さくらんぼ系のジャムでも代用可)をひと粒飾る。 〈サワーチェリーの砂糖煮の作り方〉 1.実を缶から取り出し、缶汁100gに砂糖を加え、とろみがつくまで煮詰める。冷め   たらキルシュを加え、チェリーを漬け込み、数日おく。 〈カスタードクリームの作り方〉 1.ボウルに砂糖と卵黄を入れて白っぽくなるまですりまぜ、薄力粉も加えて混ぜる。 2.牛乳にレモンの皮を入れ火にかける。沸騰直前で火を止め、レモンの皮を取り出   し、1のボウルに少しずつ加えて混ぜる。 3.2をこしながら鍋に戻し、かき混ぜながら中火でとろみがつくまで煮て、きれい   なボウルにうつす。バターを加えて混ぜ、表面をラップで覆い、冷ましておく。 ★参考図書、ウェブサイト 『ナポリの台所』(ファブリッツィア・ヴィッラリ・ジェルリ著/広葉書林) 『世界大百科事典』平凡社 ナポリ市公式ウェブサイト http://www.comune.napoli.it/flex/cm/pages/ServeBLOB.php/L/EN/IDPagina/5027 ★「やまねこ翻訳クラブお菓子掲示板」         http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=okashi                    (加賀田睦美/冬木恵子/かまだゆうこ)

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●読者の広場● 海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!
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 このコーナーでは、本誌に対するご感想・ご質問をはじめ、海外児童書にまつわる
お話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せ
ください。

※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
※タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。
※掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。
※質問に対するお返事は、こちらに掲載させていただくことがあります。原則的に編
集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。

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●お知らせ●

 本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。
こちらの「やまねこ翻訳クラブ オンライン書店」よりお入りください。
http://www.yamaneko.org/info/order.htm
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           ・☆・〜 次 号 予 告 〜・☆・

 詳細は毎月10日頃、やまねこ翻訳クラブHPメニューページに掲載します。
          http://www.yamaneko.org/info/index.htm
 どうぞお楽しみに!

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FOSSIL(石頭、がんこ者)というあだ名だったことから誕生したブランド名。オーソ
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●編集後記●タンザニアからイギリスに、イタリアからアメリカに、ひとりで渡った
子どもたちの物語を、今月号では紹介しています。それぞれの背景に胸が痛む思いも
しますが、たくましく生きる姿に感動させられました。世界中の子どもたちが、どん
な境遇にあっても、強く前向きに成長してほしいと思います。(い)
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発行人 美馬しょうこ(やまねこ翻訳クラブ 会長)
編集人 井原美穂/植村わらび(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画 池上小湖 加賀田睦美 かまだゆうこ 児玉敦子 笹山裕子 冬木恵子
    村上利佳 横山和江
協 力 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
    ながさわくにお asayaka
    html版担当 shoko
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