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2012年11月号
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  =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====
   =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====
                                No.144
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児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌
http://www.yamaneko.org                         
編集部:mgzn@yamaneko.org     2012年11月15日発行 配信数 2370 無料 
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●2012年11月号もくじ●
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◎プロに訊く:第35回 関口英子さん(翻訳家)
◎世界の本棚(トルコ語):"Beyoglu Macerasi: Bilgi Avcilari Gizli Gorevde"
          サラ・シャヒンカナット文 アイシェ・イナン・アリジャン絵
◎賞速報
◎イベント速報
◎お菓子の旅:第60回 一度食べたらクセになる 〜バノフィーパイ〜
◎読者の広場

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●プロに訊く●第35回 関口英子さん(翻訳家)
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 今回ご登場いただいたのは、イタリア語翻訳家、関口英子さん。翻訳に対する姿勢
やイタリア児童文学への思いなど、盛りだくさんのお話をうかがいました。ご多忙な
中、快くインタビューをお受けくださった関口さんに、心から感謝いたします。

【関口英子(せきぐち えいこ)さん】
+────────────────────────────────────+
|1966年、埼玉県生まれ。大阪外国語大学(現・大阪大学)外国語学部イタリア語|
|学科卒。小説、児童書、新聞・雑誌記事、映画字幕など、さまざまな分野の翻訳|
|を手がける。主な訳書に『古代ローマ人の24時間 よみがえる帝都ローマの民衆|
|生活』(アルベルト・アンジェラ作/河出書房新社)、『兵士のハーモニカ ロ|
|ダーリ童話集』(ジャンニ・ロダーリ作/岩波書店)などがある。多摩美術大学|
|非常勤講師。2004年度より公益財団法人日伊協会で翻訳講座を担当。また、いた|
|ばし国際絵本翻訳大賞イタリア語部門の審査員を務めている。        |
+────────────────────────────────────+

【関口英子さん訳書リスト】
http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/esekiguc.htm

【関口英子さんインタビュー ロングバージョン】
http://www.yamaneko.org/bookdb/int/esekiguc.htm

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Q★大学でイタリア語を専攻されたきっかけを教えてください。

A☆語学を勉強したいとは思っていたのですが、何語にするかまでは決めていません
でした。どこでも勉強できる英語やフランス語やドイツ語ではない言語がよかったと
いうだけで、イタリアにあこがれてとか、具体的な作家に興味があってというような
ことはありませんでした。すべては入学してからです。

Q★翻訳家になろうと思われたのはいつごろでしょうか。

A☆それは意外に早くて、高校生のときでした。人と話すのが苦手だったのでひとり
でできる仕事がいいと思っていて、語学を活かすとすると、翻訳家になるしかありま
せん(笑)。

Q★翻訳の勉強はどのようにされましたか?

A☆翻訳学校に通ったことはないし、大学以外のところでお金を出して勉強したこと
はありません。このあいだ、大学時代の卒論の資料が出てきて、これが膨大な量でし
た。大学3年で休学して、1年間イタリアに行って卒論の資料集めをしたのですが、
新聞・雑誌の記事や本など、かなりの量を集めていたのです。質問できるイタリア人
が身近にいたので、わからないところがあってもそのままにせずに、きちんと理解す
るようにしていました。翻訳の勉強を意識していたわけではないけれど、翻訳に不可
欠な読解力はそのときについたのではないかと思います。

Q★初めての訳書『イタリアの外国人労働者』(マリオ・フォルトゥナート、サラー
ハ・メスナーニ作/明石書店)は、どのようないきさつで出版されたのでしょうか?

A☆実はあの本も卒論の資料として集めた本のひとつでした。イタリア人の小説家と
チュニジア人が書いた手記で、わたしがイタリアにいたとき、書店に並んでいたので
す。読んでみたら、一般に知られているのとはまったく違うイタリアの姿が描かれて
いて面白かったので、日本に紹介できたらなと思いました。日本語に訳して、何人か
に読んでもらったところ、明石書店を紹介してくれた方がいて、形になりました。
 その後は、子どもが生まれ、絵本なら子どもと楽しみながら翻訳できると思って、
買い集めました。初めに絵本を持ち込んだところでは断られたのですが、ほかの出版
社を紹介していただくことができ、何冊か訳して見てもらったら、そのうちの1冊、
『あわてんぼうのめんどり』(アレッシア・ガリッリ文/パトリツィア・ラ・ポルタ
絵/フレーベル館)を気に入っていただけました。

Q★光文社古典新訳文庫で何冊か訳されていらっしゃいますね。最初に訳された『猫
とともに去りぬ』(ジャンニ・ロダーリ作)は、関口さんが提案されたのですか。

A☆古典新訳文庫で何か訳しませんか、と編集の方が声をかけてくださったとき、わ
たしがやりたいものは、たぶん、古典新訳文庫のラインアップからずれてしまうと思
うのですが、とお伝えしました。かまいませんとおっしゃるので、「ロダーリをやり
たいんです」と言ったら、ああ、いいですねと思いがけず賛成していただけました。
 知名度という意味でも、ロダーリは古典新訳文庫の創刊時に選ばれたほかの作品の
なかでは異質でした。でも、純粋な児童書として邦訳していたら、あれほど多くの人
には読んでもらえなかったのではないでしょうか。あのとき、あのような形で出して
いただいて、作品にとっても私にとっても、とても幸せなことでした。

Q★岩波少年文庫から『チポリーノの冒険』(ロダーリ作)などの新訳をいくつか出
されているのは、どのような経緯だったのでしょうか。

A☆以前、岩波書店の編集の方にわたしが翻訳したい児童書を見ていただいていたの
ですが、その方から、長いあいだ絶版になっていた『マルコヴァルドさんの四季』
(イタロ・カルヴィーノ作)の復刻版を作りたいという相談を受け、いろいろやりと
りをしているうちに、せっかくだから翻訳もお願いしますということになりました。

Q★『マルコヴァルドさんの四季』(原書初版1963年)は、今読んでも全然古さを感
じません。

A☆古くない。すごいですよね。ロダーリも全然古くない。すごいなって思います。
目の付けどころも面白いですよね。ただ、いわゆる楽しい冒険物語ではないので、子
どもの読者がどんな気持ちで読んでいるのか、すごく気になります。

Q★旧訳は読まれましたか?

A☆訳す直前は影響されてしまうので読みません。訳し終わってから読むことにして
います。そうすれば、同じ文章になっていても、偶然なんだからいいじゃないって、
開き直れますし。

Q★最近、古典的な作品を新訳で出すケースが増えているようですね。

A☆たとえば、安藤美紀夫さんは1950〜80年代にイタリアの児童文学をたくさん訳さ
れていて、その業績は本当に素晴らしいと思います。当時は資料があまりなかったし、
イタリアと日本を行き来する人も多くなかったので、イタリア語の作品が日本語にな
るというだけでもすごくて、長く読み継がれる作品に仕上げられたのは偉業だったと
思います。でも、何十年もたって、一般的な知識としての語学力もアップして、辞書
も豊富になり、ネットでどんどん情報を取り入れられるようになっています。翻訳に
求められる精度のようなものもおのずと高くなっているので、当時の翻訳がいくら素
晴らしくても、手を加える余地はあるのではないでしょうか。必ず手を加えなければ
いけないというわけではないのですが、手を加えることによって、より広く読者に読
んでもらえるようになるのであれば、新訳すべきなのではないかなと思います。
 ロダーリも、昔読んだとか、保育園で「チポリーノ」の歌を歌ったという人たちは
いましたが、今の子どもたちは全然知りませんでした。若い人でも読んだことがない
人が多かったのですが、古典新訳文庫に入れてもらえたおかげで、多くの人にその魅
力を知ってもらうことができました。もちろん、必ずしも新訳のほうがいいものにな
るとは限りませんが、広く届けられるようになるという点では、意味のあることだと
思っています。

Q★日本で紹介されるイタリアの児童文学はあまり多くない印象がありますが。

A☆日本に紹介されていない、いい作品がたくさんありますよ。結局のところ、日本
で求められている作品とイタリアにある作品とそれを仲介する人たちが、うまくマッ
チングしていないだけなのでは。1950〜80年代にはイタリアの児童書が体系的に翻訳
出版されていました。当時は海外の児童文学を積極的に紹介しようという機運があり、
イタリアの児童文学を全般的に把握している翻訳家にも恵まれました。とくに安藤さ
んはかなりの数の本を翻訳されていて、本当にいいものから順番に訳されたのだと思
います。あの時代のイタリアの児童文学の全体像を把握されていたのですね。
 安藤さんがお仕事されなくなってから、イタリアの児童文学を専門に訳そうという
翻訳者があまり出てきていないのかもしれません。訳している方はいても散発的で、
日本での紹介のされ方には穴があるように思います。

Q★今後のお仕事の予定を教えてください。

A☆児童文学という枠の中で考えると、幸い何冊か訳書が出て、少しずつ好きな仕事
ができるようになってきたので、さっき言ったような穴を埋められるような仕事がで
きたらいいなと思っています。児童書を通じてイタリア社会というものを日本に紹介
したいという気持ちもあるのですが、翻訳ものの児童書の第一の役割というのはやは
り、子どもを楽しませながら別の価値観を育むことにあると思うので、社会問題とい
うことにこだわっていると、本来の楽しみが見えなくなってしまう可能性があります。
それが、ここ10年くらい児童書を紹介しようと試み、企画がボツになり、でも、やっ
ぱりやりたいよな、これ……と思いながら学んだことかもしれません。
 行き着いたところが、やはりロングセラー。10〜20年前の作品で、イタリアではロ
ングセラーとして読み継がれているようなものを紹介する機会があれば。すでに日本
で紹介されている作家でも、雰囲気の異なる作品など、別の面を紹介できればいいな
と思っています。

Q★翻訳家をめざす読者へ──特に、英語以外の翻訳を志す人へのメッセージをお願
いします。

A☆翻訳家として一本立ちするのはきついということ、やはり厳しい世界だというこ
とは頭に置いたうえで、あまりひとつの作品や作家にこだわらないほうがいいのでは
ないかなと思います。こだわらないのとあきらめるのは全然違います。
 長く翻訳をやりたい、訳書を何冊も出せる状況にいつか自分を持っていきたいと思
うのであれば、ひとつのものに固執せずに、広く目配りできるといいのでは。この本
を訳したいという気持ちがあって、翻訳家になろうと思うのでしょうが、その作品が
必ずしも、そのとき、その時代、その出版社に合うとは限りません。自分の宝のよう
な作品が心の中にあるのはいいけれど、絶対にこれ!というふうに思わないほうがい
い。チャンスはどこに転がっているかわかりません。これをやるのだという思い込み
が強過ぎると、別のところにチャンスが転がっていても、気付かない可能性が高くな
ってしまうのではないかと思います。そういう意味で、ひとつのものにこだわらずに、
いろいろとチャレンジしてみてもいいのではないでしょうか。
 それと同時に、実力はつけないといけません。形にならなくても、あきらめずに何
冊も訳してみる。実際、作品をいくつか通して訳してみないと、見えないものがあり
ます。自分で訳して、できたらそれを誰かに読んでもらう。人に読んでもらうことに
よって、出版に耐えうるものなのかどうか、おのずとわかってきます。できることな
らば、その本に自分の文体が合っているかどうかという意見を求めるためにも、出版
関係の仕事をしているような人に読んでもらうのが理想的だと思います。

【安藤美紀夫(あんどう みきお)さんについて】
 1930年生まれ。高校教員として勤務する傍ら、児童文学の創作とイタリア児童文学
の翻訳に取り組む。『マルコヴァルドさんの四季』(イタロ・カルヴィーノ作/岩波
書店)、『ジップくん宇宙へとびだす』(ジャンニ・ロダーリ作/偕成社)、『黒い
海賊』(エミリオ・サルガーリ作/講談社)など訳書多数。1990年没。

                         (取材・文/赤塚きょう子)

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●世界の本棚(トルコ語)●暗号をときながら街の歴史や文化にふれよう
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『情報ハンター ベイオールでひみつの任務中』(仮題)
サラ・シャヒンカナット文 アイシェ・イナン・アリジャン絵
"Beyoglu Macerasi: Bilgi Avcilari Gizli Gorevde"
text by Sara Sahinkanat, illustrations by Ayse Inan Alican
Yapi Kredi Yayinlari, 2011 ISBN 978-9750820526 (Turkey)
68pp.

 東西の文化が同居し、歴史遺産あふれる街イスタンブール。ここに住む少年シナン
は〈情報ハンター〉のメンバーだ。本部からの依頼で、暗号をといて任務をこなしな
がら、街についての知識をふやしていくのが楽しくてたまらない。今回シナンのもと
に届いたのは、イスタンブール旧市街の北側に広がるベイオール地区の地図と、ふし
ぎな文字がきざまれた鍵。重要な人物にわたす手紙を厳重にかくしてあるので、鍵を
使って暗号をとき、その手紙までたどりつくようにとの指示だった。本部が慎重にな
る理由は、暗号をねらう〈暗号ハンター〉たちから手紙を守るため。シナンは、頼り
になる愛犬のゲズギンとともに、最初の暗号をといてタクシム広場へと向かった。
 舞台となるベイオール地区は、オスマン時代にヨーロッパの人々が住みつき西欧文
化の玄関口となった。今も映画館や劇場、レストランや店などが所せましと立ちなら
び、多くの観光客が行き交う。トルコ共和国建国の父アタテュルクの像が立つタクシ
ム広場を出発したシナンは、老舗レストランや大衆浴場のハマム、キリスト教会やガ
ラタ塔などをめぐっていく。それぞれが有名な観光地で、歴史や文化に彩られた場所
なので、読者はシナンの冒険を通してそれらも学べる。絵は、落ち着いた色合いで街
や建物が細部まで描かれており、かわいらしい人物造形もうまくマッチして魅力的だ。
 暗号は、長さ20センチほどの紙でできたふろくの鍵を使ってといていく。意味不明
の文に鍵の凹凸を重ねるとメッセージがあらわれたり、エジプト風絵文字・現代風絵
文字の暗号文を、鍵の表と裏にしめされたトルコ語アルファベット29文字との対比表
を用いて読みといたりする。読者も探偵気分で、シナンの謎ときに参加できるという
わけだ。町のあちこちにかくれた怪しい〈暗号ハンター〉たちを見つけるのも楽しい。
さて、最後にシナンが手に入れる手紙は、誰にあてたものだったのだろうか?
 表紙は、この地区のメインストリート、イスティクラル通りを走る路面電車に乗っ
たシナンと愛犬。本やテレビでこの赤い車両を見かけた人も多いのではないだろうか。
おしゃれなガイドブックのような絵本で、謎をときながら歴史や文化を知り、国際理
解を深めてみるのはいかがだろう。

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【文】Sara Sahinkanat(サラ・シャヒンカナット):1966年トルコ共和国イスタン
ブール生まれ。大学を卒業後、通訳・広告の仕事にたずさわり、2001年、子ども向け
に執筆をはじめる。Ayse Inan Alican と取り組んだ本のうち、"Kim Korkar Kirmizi
Baslikli Kiz'dan"(仮題『あかずきんちゃんはこわくない』)が、本国で2009年青
少年出版協会(CGYD)主催「最も良い絵本」に選ばれた。イスタンブール在住。

【絵】Ayse Inan Alican(アイシェ・イナン・アリジャン):1972年トルコ共和国ア
ンカラ生まれ。大学でデザインを学んだのち、新聞・雑誌にマンガを描いたり、グラ
フィックデザイナー、イラストレーターなどの仕事にたずさわったりした。2003年よ
り子ども向けに絵を描きはじめる。本書は、2011年のIBBYオナーリスト(絵本)
にトルコから推薦された。アンカラ在住。

【参考】
▼アイシェ・イナン・アリジャン公式ウェブサイト(トルコ語・英語)
http://www.cizeriz.biz/

▼本書の紹介ページ(Yapi Kredi Yayinlari 内)
http://www.ykykultur.com.tr/kitap/beyoglu-macerasi-bilgi-avcilari-gizli-gorevde

                               (植村わらび)

【特殊文字】
「Beyoglu」:「g」の上にブレーヴェがつく
「Avcilari」「Yapi」「Yayinlari」「Kirmizi」「Baslikli」「Kiz'dan」:
                         すべての「i」に点はつかない
「Gorevde」:「o」の上にウムラウト(¨)がつく
「Sahinkanat」「Ayse」「Baslikli」:
                それぞれの「S」と「s」の下にセディーユがつく
「Inan」:「I」の上に点がつく
「CGYD」:「C」の下にセディーユがつく

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●賞速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★2013年度アストリッド・リンドグレーン記念文学賞候補者発表
                  (受賞者の発表は、2013年3月26日の予定)
★2012年ガーディアン賞発表
★2012年ドイツ児童文学賞発表
★2012年アウグスト賞ノミネート作品発表(受賞作品の発表は、11月26日の予定)
★2012年スペイン国民児童文学賞発表
★2012年スペイン国民イラスト賞発表
★2013年カーネギー賞ロングリスト発表
★2013年ケイト・グリーナウェイ賞ロングリスト発表
    (カーネギー賞および、ケイト・グリーナウェイ賞ショートリストの発表は
              2013年3月19日、受賞作品の発表は6月19日の予定)
★2012年度ニューヨークタイムズ・ベストイラスト賞発表

 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を
ご覧ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

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●イベント速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★展示会情報
 ブックハウス神保町「パディントンベア・マーケット」
 長崎県美術館「フィンランドのくらしとデザイン─ムーミンが住む森の生活」
                                    など

★講演会・シンポジウム情報
 国立国会図書館国際子ども図書館「中国の子どもの読書─作家・彭懿氏が語る現在」
 浜離宮朝日小ホール「IBBYシンポジウム 世界の子どもに本を届ける」 など

★イベント情報
 米子コンベンションセンター「絵本ワールドinとっとり2012」 など

 詳細やその他のイベント情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、
空席状況については各自ご確認願います。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event

                           (冬木恵子/笹山裕子)

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●お菓子の旅●第60回 一度食べたらクセになる 〜バノフィーパイ〜
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The trouble with banoffee pies is I really like the toffee and the cream
and the biscuit but I'm not too keen on the bananas.
Bananas are all right, but I'd much rather Mum left the bananery bits out.
Then it would be perfect.
Mum said that without the bananery bits it wouldn't be a banoffee pie at
all. It would be an offee pie.

             "Daisy and the Trouble with Giants"
                         by Kes Gray, Red Fox (2008)
             Amazonで原書の詳細を見る
             『デイジーのおさわがせ巨人くん』
                ケス・グレイ作/吉上恭太訳/小峰書店/2010年
             Amazonで詳細を見る  hontoで詳細を見る

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 バノフィーパイは、イギリスのレストラン「ハングリーモンク」で生まれました。
イギリス料理のバリエーションが飛躍的に広がりつつあった時代のさなか、1972年の
ことです。「バノフィー」は「バナナ」と「トフィー(イギリス英語でキャラメルの
意味)」を合体させた造語です。その名のとおりバナナとトフィーが味の決め手で、
パイという名前ですが、台はタルト生地。心地よい甘さの絶妙な味は口コミでたちま
ちイギリス中に広まり、その後アメリカや東南アジアにまで伝わりました。残念なが
らハングリーモンクは廃業してしまいましたが、小さなレストランで生まれたこのケ
ーキはいまや、辞書にもその名が載るほど一般的なお菓子になっています。にもかか
わらず日本であまり見かけないのは、カロリーの高さのせいか、それともとてつもな
く甘いのではと思わせる材料のせいでしょうか。
 冒頭の引用は、主人公の小学生デイジーのママが、週末に祖父母の家に持っていく
バノフィーパイを作っている場面から。デイジーは、バナナを入れないほうがいいの
にと思っています。でも、バナナぬきではママが言うように「バノフィー」ではなく
なってしまいますよね。
 このケーキに使うトフィーは、コンデンスミルクの缶詰を未開封で3時間ほど煮て
用意します。時間はかかりますが、その工程さえ乗りきればあとは驚くほど簡単。そ
んな手軽さも、各地に広まった理由のひとつかもしれません。
 バナナとトフィーと生クリームの素敵なハーモニーを、ぜひ一度おためしください。

*-* バノフィーパイの作り方 *-*
                 画像はこちら(やまねこ翻訳クラブ喫茶室)
材料(直径22cmのタルト型1個分)
 コンデンスミルク(加糖練乳)       バナナ           3本
           約400g入り 1缶   生クリーム         200cc
 グラハムクラッカー       200g   砂糖          小さじ1
 無塩バター           100g   インスタントコーヒー粉末  少々

1.パスタ鍋など、できるだけ深めの鍋に水をたっぷり入れ、コンデンスミルクの缶
  を寝かせて入れて火にかける。沸騰したら鍋底に触れる部分がこげないよう時々
  缶を回す。缶が水面から出ると破裂するので、常に缶全体が水面下にあるよう差
  し水をしながら約3時間煮る。火を止めて缶を取りだし、常温までさます。
2.バターは電子レンジにかけて溶かしておく。
3.グラハムクラッカーとバターをあわせてフードプロセッサーにかける。
4.3をタルト型に入れ、全体に広げながら強く押しつけて敷きつめる。180度にあ
  たためたオーブンで10分空焼きし、常温までさます。
5.コンデンスミルクの缶をあけ、4のタルトに流しこみ、全体に広げてならす。
6.バナナを縦横おのおの1回ずつ切って4つにわけ、5の上に並べる。
7.生クリーム、砂糖、インスタントコーヒー粉末をあわせてかたく泡だて、バナナ
  をおおうようにかける。好みで絞りだしてもよい。
8.インスタントコーヒー粉末(チョコレート粉末などでもよい)をトッピングする。
9.冷蔵庫でよく冷やし、食べる前に切りわける。

★参考図書・ウェブサイト
『私の保存食ノート』(佐藤雅子著/文化出版局)
Hungry Monk レストラン公式ウェブサイト(2012年1月に閉店)
http://www.hungrymonk.co.uk/
Ian Dowding(Hungry Monk の元シェフ)公式ウェブサイト
http://www.iandowding.co.uk/

お菓子の話題は喫茶室掲示板へどうぞ。
★「やまねこ翻訳クラブ喫茶室掲示板」
        http://www.yamaneko.or.tv/open/c-board/c-board.cgi?id=kissa

                   (冬木恵子/かまだゆうこ/加賀田睦美)

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●読者の広場● 海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!
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 このコーナーでは、本誌に対するご感想・ご質問をはじめ、海外児童書にまつわる
お話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せ
ください。

※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
※タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。
※掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。
※質問に対するお返事は、こちらに掲載させていただくことがあります。原則的に編
集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。

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●お知らせ●

 本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。
こちらの「やまねこ翻訳クラブ オンライン書店」よりお入りください。
http://www.yamaneko.org/info/order.htm
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           ・☆・〜 次 号 予 告 〜・☆・

 12月号では、毎年恒例のやまねこ賞投票結果発表があります。
 詳細は10日頃、出版翻訳ネットワーク内「やまねこ翻訳クラブ情報」のページに掲
載します。どうぞお楽しみに!
          http://litrans.g.hatena.ne.jp/yamaneko1/

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▽▲▽▲▽   海外児童書のシノプシス作成・書評執筆を承ります   ▽▲▽▲▽

  やまねこ翻訳クラブ(yagisan@yamaneko.org)までお気軽にご相談ください。

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     ☆☆ FOSSIL 〜 Made in USA のライフスタイルブランド ☆☆
 独創的なデザインで世界100ヶ国以上で愛用されているフォッシルはアメリカを代
表するライフスタイルブランドです。1984年、時計メーカーとして始まったフォッシ
ルは時計をファッションアクセサリーの一つと考え、カジュアルな「TREND」ライン
からフォーマルなシーンにも使える「CERAMIC」など、年間300種類以上のモデルを発
売し続けています。またフォッシル直営店では、時計以外にもレザーバッグ、革小物、
ファッションサングラスなどのラインも展開しています。
TEL 03-5992-4611
http://www.fossil.co.jp/     (株)フォッシルジャパン:やまねこ賞協賛会社
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             http://www.litrans.net/
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編集者の方々へのインタビューもあります!    〈フーダニット翻訳倶楽部〉
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★やまねこアクチベーター(毎月20日発行/無料)
  やまねこ翻訳クラブのHOTな話題をご提供します!
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●編集後記●関口英子さんのインタビュー、いかがでしたか? 今月号では読者プレ
ゼントも用意していますので、ご感想などたくさんお寄せいただけるとうれしいです。
さて、やまねこ翻訳クラブでは、毎年恒例のやまねこ賞の投票が佳境に入ってきたと
ころです。結果は来月号で発表しますので、お楽しみに。(お)
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発 行 やまねこ翻訳クラブ
編集人 大作道子/植村わらび/蒲池由佳(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画 赤塚きょう子 大塚道子 尾被ほっぽ 岡田衣央 加賀田睦美
    かまだゆうこ 小島明子 笹山裕子 枇谷玲子 冬木恵子 村上利佳
    森井理沙
協 力 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
    ながさわくにお
    html版担当 ぐりぐら
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