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月刊児童文学翻訳

─2004年10月号(No. 63)─

※今月から情報編・書評編を統合して、リニューアルしました。

児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、
電子メール版情報誌<HP版+書店街>
http://www.yamaneko.org/
編集部:mgzn@yamaneko.org
2004年10月15日発行 配信数 2360

もくじ

 ◎特別企画:「いたばし国際絵本翻訳大賞」表彰式レポート
 ◎賞情報:2004年ガーディアン賞発表
 ◎注目の本(邦訳絵本):『メアリー・スミス』アンドレア・ユーレン文・絵
 ◎注目の本(未訳絵本):"The Bee-Man of Orn"
                 フランク・R・ストックトン文/P・J・リンチ絵 
 ◎展示会・セミナー・講演会情報
 ◎お菓子の旅:第29回 天使のように白いケーキ 〜エンジェル・ケーキ〜
 ◎読者の広場:海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!

●このページでは、書店名をクリックすると、各オンライン書店で詳しい情報を見たり、本を購入したりできます。

 

●特別企画●「いたばし国際絵本翻訳大賞」表彰式レポート

 去る9月15日、東京都板橋区で「いたばし国際絵本翻訳大賞」の表彰式が行われました。また同じ日に、世界各国の絵本を集めた「いたばしボローニャ子ども絵本館」がオープンしました。今回で第10回を迎えた同コンクールで、このたび審査員特別賞を受賞した吉井一美さんに、表彰式と絵本館の開館式のもようをレポートしていただきました。吉井さん、ありがとうございました。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

 9月15日の朝早く、さわやかな秋風の吹く中、いたばしボローニャ子ども絵本館へと向かった。この日は絵本館の開館式とあわせて、第12回ボローニャ・ブックフェア in いたばしの開会式と、第10回いたばし国際絵本翻訳大賞表彰式も行われた。
 初めて降りた都営三田線の板橋本町駅。翻訳大賞に挑戦してきた私にとって、「いたばし」と名のつくものは、やはり特別な響きを持っていた。
 交通量の多い中山道から細い道に入ると、静かな住宅が並び、その奥に「いたばしボランティア・NPO ホール」が見えてきた。もともとは小学校の校舎だった建物の3階部分に、このたび絵本館が開館することになった。

★ 式典 ★
 式典はもと小学校の校庭で行われた。紅白の幕がフェンスにぐるりととりつけられ、おめでたい開館式典のムード満点だった。夏のような日差しの下、板橋区長さんや区議会議長さん、板橋区教育委員長さん、イタリア文化会館の館長さん、開館にあたって尽力なさった関係者の方々、翻訳大賞の審査員をしてくださった先生方とともに、われわれ受賞者が列席した。後ろのほうの日陰に、かわいらしいお客様を見つけた。式典終了後のアトラクションで劇や歌を披露してくれる幼稚園児たちだ。こうして、和やかな雰囲気の中、式典が始まった。
 区長さん、区議会議長さんのご挨拶に続いて、イタリア文化会館館長さんは母語のイタリア語でお話しくださり、その合間合間に司会の方が日本語訳を読み上げてくださった。10年以上にわたる板橋区とボローニャ市の友好関係が、今日の開館につながったのだと強く感じられた。
 区長さんが初めてボローニャ国際児童図書展を訪れた際、世界各国の原書を少しでも多くの日本の子どもたちに見せたいという思いを抱かれ、それが2万冊に及ぶ絵本の寄贈につながったのだそうだ。さらに、寄贈された外国の絵本を全国の人に訳してもらってはどうかという話を聞かれたことが絵本翻訳大賞の実施へとふくらんだことも知り、とても感激した。翻訳コンクールが減っている昨今、翻訳の勉強をしているものにとってはじつに貴重な存在であり、志が高く意義深いコンクールだと改めて思った。
 いよいよ翻訳大賞の表彰式となった。受賞者のうち列席したのは、英語部門、イタリア語部門あわせて8名で、プレゼンターの区長さんより賞状を授与された。中には区長特別賞として板橋区在学の中学生の姿も見られ、なんとも頼もしいと思いつつ、こちらもうかうかしていられないぞと思ってしまった。
 校庭での表彰式は、その場所もさることながら朝の9時半ということもあって、遠い昔の朝礼を思い起こさせた。礼をして頭を下げたときに、地面の上に見えたのは運動靴ではなく、黒いハイヒールに替わってはいたが、なんだか胸の奥がくすぐったいような気がした。受賞の喜びとともに子どものころの思い出も頭をよぎり、とても胸が温かくなった。
 次に審査員を代表して金原瑞人先生が祝辞を述べられた。この絵本館が教育や文化の面で本当に貴重であることを強くおっしゃっていた。また、毎年審査するたびにレベルが上がってきていると感じるので、次の年にはいったいどうなってしまうのか楽しみだ、という厳しくも嬉しいおことばも頂戴した。これからもますます精進しようと強く心に思った。
 式典の最後にくす玉割りが行われ、いよいよ絵本館に足を踏み入れることとなった。

★ 絵本館 ★
 ホールの玄関を入ると、小学校の雰囲気を残した懐かしい空間に出会う。すぐ右の階段を3階まで上ってゆくと、もとは教室として使われていた部屋が絵本館に改装されて待っていた。木材の香りがほんのり漂う、手作り感あふれる入り口のむこうには、世界80の国と地域の絵本およそ2万冊が本棚にぎっしり詰まって並べられていた。
 一見、普通の小学校の図書館のように見えるが、並べられた本の背表紙からは異国のにおいが漂い、1冊引っ張り出してみるともう止まらない。次々にいろいろな国の絵本が手招きしてくる。
 絵本は、「アジア大陸」「アメリカ大陸」「ヨーロッパ大陸」「アフリカ大陸」「オセアニア大陸」の5つに分類され、展示されている。仕掛け絵本や大型絵本、ミニミニ絵本などは広げて展示されていて、楽しく明るい雰囲気だ。英語以外に、スペイン語、イタリア語、フランス語、ドイツ語ぐらいならまだなじみはあるが、ギリシャ語、アラビア語、ハングル文字などとなるともうお手上げで、すてきな絵を楽しむだけとなった。絵本に使われている紙の材質も様々で、薄いものはめくるのに緊張してしまった。また、部屋の一角には椅子や低いじゅうたん張りのスペースがあったので、ゆっくり見られそうだ。

★ ブックフェア ★
 ボローニャ市で毎年春に行われるボローニャ国際児童図書展に、世界中の出版社から新しく発刊された絵本が出品されている。この中からその年にボローニャ市より寄贈された絵本を展示しているのが「ボローニャ・ブックフェア in いたばし」だ。
 常設の絵本館とは別に、このブックフェアの作品を展示した会場があった。こちらは低いテーブルに平置きされたり、低めの棚に展示されたりしており、とても見やすくなっていた。大型の絵本やしかけ絵本がたくさんあって、小さな子どもたちも楽しめそうだった。授賞式当日ということもあって、会場の一角に「第10回いたばし国際絵本翻訳大賞」の受賞作品が、ファイルに綴じられて原書とともに展示されていた。大賞受賞作品を読むことが出来て大変勉強になった。
 会場では式典後のアトラクションとして、東京家政大学附属みどりヶ丘幼稚園の園児がペープサート劇(紙の人形劇のようなもの)を、帝京幼稚園の園児がコーラスを披露してくれた。園児たちはざっと数えて30名ほどいただろうか。それに式典参加者や一般の来館者も加わって、会場は人と絵本とでぎゅう詰めの大賑わいとなった。今度は娘をつれてゆっくり訪れたい。

 私たちが、そして子どもたちが、これから出会うであろうたくさんの絵本。それは日本国内の絵本にとどまらず、こうして世界各国のまだ日本に紹介されていない本も山ほどある。この宝の山ともいえる絵本館を訪れて、翻訳の意義と役割の重要性について改めて考えさせられた。受賞者仲間で、来年もまた会いましょうと言葉を交わして会場をあとにした。さて、がんばろうっと!

(吉井一美)

【参考】
▼いたばしくの図書館(「いたばしボローニャ絵本館」)
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/TOSYOKAN/



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●賞情報●2004年ガーディアン賞発表

 10月9日、英国の児童文学賞、ガーディアン賞が発表された。「ガーディアン」紙主催のこの賞は、作家が審査にあたるという特色を持つ。今年の審査員は、Mark Haddon、Adele Geras(最初の e の上にアクサン・グラーヴ)、Marcus Sedgwick で、Julia Eccleshare が審査員長をつとめる。7月17日に8作がロングリストとして挙げられ、9月4日、そのうち4作がショートリスト(最終候補作)に残ったと発表されていた。

★2004年度 The Guardian Children's Book Prize★


"How I Live Now" by Meg Rosoff (Puffin Books)
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 受賞作は、拒食症のため、夏休みのあいだイギリスの田園に住むおばさんのもとへ送られてきた少女デイジーが主人公。デイジーは、たちまち4人のいとこたちと親しくなり、豊かな自然に囲まれてすばらしい夏の日々を送りはじめる。やがていとこのひとりエドマンドと愛し合うようになるが、ちょうどそのころ「戦争」が始まり、一家はばらばらに引き裂かれてしまう……。得体の知れぬ「戦争」、夢の中で訪ね合う恋人たち。カンマをほとんど使わない独特の文体で、現実からほんの少し離れた世界を描き出す、痛切な愛の物語だ。

★The Shortlist for the Guardian Children's Book Prize★
 (ロングリストは、やまねこ翻訳クラブ資料室:ガーディアン賞受賞作品リストを参照のこと。 )

"Millions" by Frank Cottrell Boyce (Macmillan Children's Books)
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"No Shame, No Fear" by Anne Turnbull (Walker Books)
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"Last Train from Kummersdorf" by Leslie Wilson (Faber and Faber Ltd)
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 ショートリストに残った作品のうち、"Millions" は偶然大金を手に入れた兄弟た ちの奮闘物語。作者 Frank Cottrell Boyce は脚本家としても有名で、本作品は自身 による脚本で映画化され、イギリスで11月公開予定。"No Shame, No Fear" は17世紀半ばを舞台に、クエーカー教徒の少女の葛藤を描く。"Last Train from Kummersdorf" の主人公は、1945年のドイツで必死に生き延びようと試みる2人の子どもたち。戦争 が子どもに与える影響がテーマになっている。

(赤塚きょう子/内藤文子)

【参考】
▼ガーディアン賞サイト
http://books.guardian.co.uk/childrensfictionprize2004/

▽ガーディアン賞について(本誌1999年3月号情報編「世界の児童文学賞」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/1999/03.htm#bungaku

▽ガーディアン賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/uk/guardian/


 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」をご覧ください。



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●注目の本(邦訳絵本)●

―― なつかしい時代の、人のぬくみを感じさせる仕事 ――

『メアリー・スミス』  アンドレア・ユーレン文・絵/千葉茂樹訳
光村教育図書 定価1,470円(税込) 2004.07.25 32ページ ISBN:4895726401
"Mary Smith" by Andrea U'Ren
Farrar, Straus & Giroux, 2003

 星がまだまたたく夜明け前、町はずれの家から女の人がでてきて、ずんずん歩きだす。カーディガンの右のポケットには緑の豆粒がこぼれおちるほどぎっしりつまり、頭の後ろからはなにやら白い棒がつきでている。その人は立ちどまると棒を手にした。棒と思われたのは細いチューブ。緑の豆をチューブにこめると、彼女は口にはさんで吹いた。プッ! カチン! みごとパン屋の窓に命中。窓の向こう側には、口を大きくあけて寝ているパン屋――。この女の人、いい年をして、なんていたずらをするんだろう?と思いきや、目覚めて窓をあけたパン屋は、怒るどころか「ありがとよ」。さらに彼女はずんずん歩き、あちこちの家の窓に向かって豆を飛ばす。いったい、なにをしているの?――実は、これが、この女の人、メアリー・スミスの仕事なのだ!
 メアリー・スミスは、ロンドンに実在した女性だ。絵本の裏表紙には、1927年当時の彼女の白黒写真が載っている。石畳のうえで右手を腰に当て、くわえたチューブを吹く姿は貫禄たっぷり。ページをあければ、写真そのままのメアリー・スミスがしっかり地に足をつけて動き回り、陽気な笑顔を見せている。
 冗談みたいだけれど本当の、興味深いお話だ。ラストに加えられた、メアリー・スミスと娘のエピソードも楽しい。だが、お話をいちだんと魅力的にしているのは、渋めの色調と動きのある力強い輪郭で描かれた、どっしりと落ちついた絵だろう。少し古い時代とその時代に生きた人々のあたたかさ、たくましさがあふれでている。
 薄墨色の空が少しずつバラ色に染まり、とうとう、一面がだいだい色に覆われる。それにともない、町にやわらかな光が穏やかにふりそそいで青空が広がり、人々が動きだす。そんな町の風景の変化も、光のあたる具合までみごとに映しだしている。メアリー・スミスをはじめ、寝起きのパン屋、車掌などの表情も豊かでユーモアたっぷりだ。
 さて、メアリー・スミスの仕事は? 巻末には、その仕事の解説とさらに興味をひく、もう1枚の白黒写真がある。原始的でなんだか滑稽だけれど、人のぬくみを感じさせる仕事。すてきだなと思う。

(三緒由紀)

 

【文・絵】 アンドレア・ユーレン(Andrea U'Ren)

米国のオレゴン州で5人の兄弟と育つ。ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン、クーパー・ユニオン、ホイットニー美術館のインディペンデント・スタディ・プログラムで学ぶ。2001年にはじめての絵本 "Pugdog" を出版し、本書は2冊目。現在は、オレゴン州ポートランドで夫、息子とともに暮らしている。

【訳】千葉茂樹(ちば しげき)

1959年生まれ。国際基督大学を卒業したあと、児童書編集者として出版社に勤務し、現在は翻訳家として活躍している。『ミルクウィード 天使の羽根のように』(ジェリー・スピネッリ作/理論社)、『ウエズレーの国』(ポール・フライシュマン文/ケビン・ホークス絵/あすなろ書店)など多数の訳書がある。北海道当別町在住。

【参考】
▼アンドレア・ユーレンの公式サイト
http://www.andreauren.com

 

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●注目の本(未訳絵本)●

―― 一風変わった自分探しの旅 ――

『オーン村のみつばちじいさん』(仮題)
 フランク・R・ストックトン文/P・J・リンチ絵
"The Bee-Man of Orn" text by Frank R. Stockton, illustrations by P. J. Lynch
Walker Books 2003, ISBN 0744596122 (UK 版)
Candlewick Press 2004, ISBN 0763622397 (US 版 DVD 付)
48pp.

★2003年度ケイト・グリーナウェイ賞ロングリスト作品
(このレビューは、US 版を参照して書かれています)

 むかし、オーンという村に蜂とともに暮らす老人がいた。無数の蜂が飛び交う家は、まるで蜂の巣そのもの。老人は、ハチミツを常食にし、蜂だけを友とするという孤独な生活に満足していた。ところがある日、訪ねてきた若い魔法使いから、おまえは魔法で姿を変えられたのだと告げられる。では、元の姿に戻してくれというと、自分で元の姿を探し出しなさい、そうすればその姿にしてあげよう、といわれた。
 さっそく老人は自分探しの旅に出る。最初に立ち寄ったのは王様の宮殿。自分は高貴な身分の出なのかもしれないと老人は思うが、王様に気づかれて追い出されてしまう。次に向かったのは、だれも寄り付かない山。山のほら穴には、得体の知れない怪物たちが住んでいた。ほら穴を進みながら、老人は、自分の元の姿は怪物かもしれないと思う。ほら穴の一番奥までいくと、ドラゴンが今まさに赤ん坊を食べようとしているところに出くわした。老人は持っていた蜂の巣をドラゴンに投げつけ、赤ん坊を助ける。ほら穴から逃げだし、赤ん坊を母親に送り届けた老人は……。
 元の姿に戻してもらった老人が、時を経て魔法使いと再会する場面では、老人の滑稽さに思わず笑ってしまう。単なるハッピーエンドでは終わらないところに、自分の運命は自分で作るものだという作者のメッセージを感じる。
 この絵本の最大の特長は、P・J・リンチによる水彩で描かれた細密で迫力のある絵。ブンブンうなるみつばちの羽音やハチミツのとろりとした感触がリアルに感じられ、恐ろしげなドラゴンが火を吹く場面では、リンチの絵に特有な、映画のワンシーンのような臨場感を味わえる。また、付録の DVD では絵の制作過程が見られ、手仕事の積み重ねのように思われた作品が、実はコンピューターを駆使していたことが分かる。物語は、1883年に雑誌に発表後、絵本として出版され、邦訳(『みつばちじいさんの旅』モーリス・センダック絵/光吉夏弥訳/童話館出版)も出ている。だが、文章に少し手が加えられ、サイズも倍以上になったことで、昔話風のストーリーがより立体的なものになったといえる。絵本にしては文章もページ数も多いが、絵を楽しみながら読めるので、読み物への架け橋となる作品ではないだろうか。

(横山和江)

 

【文】Frank R. Stockton(フランク・R・ストックトン)

1834年、米国ペンシルバニア州フィラデルフィア生まれ。アメリカの児童雑誌「セントニコラス」の副編集長をつとめるかたわら、児童文学のほかファンタジー、風刺小説などを数多く書いた。ミステリでは "The Lady or the Tiger"(『37の短篇』に「女か虎か」として収録/早川書房)が有名。1902年没。

【絵】P. J. Lynch(P・J・リンチ)

1962年、北アイルランドの首都ベルファスト生まれ。18歳のときにイギリス本土へ渡り、ブライトン美術学校へ入学。1996年に "The Christmas Miracle of Jonathan Toomey"、1998年に "When Jessie Came Across the Sea" でケイト・グリーナウェイ賞を受賞した。ほかにも、数々の賞を受賞している。絵本『おじいちゃんと森へ』(ダグラス・ウッド作/加藤則芳訳/平凡社)が今年邦訳出版されたばかり。


【参考】
▽P・J・リンチ作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/l/pjlynch.htm

 

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●展示会・セミナー・講演会情報●

★展示会情報

国際子ども図書館「本にえがかれた動物展II――十二支を手がかりに」他
 

★セミナー・講演会情報

城北市民学習センター「平成16年度 おおさかシティカレッジ事業大学連携講座『ファンタジーの生まれる〈時空〉』(全4回)」他
 
 
  詳細やその他の展示会・セミナー・講演会情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、空席状況については各自ご確認願います。

(清水陽子/井原美穂/笹山裕子)



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●お菓子の旅●第29回 天使のように白いケーキ
 〜エンジェル・ケーキ〜

 "Cake for a bad person" was easy. Devil's Food. And of course "a heavenly cake" would be Angel Food. But when Alyce called "A cake for a Banker," Angel was stumped.
Judy Delton
"Angel's Mother's Wedding" Houghton Mifflin Company(1987)
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

 「うら庭のエンジェル」シリーズには、小学生のエンジェルが日常のささいな出来事に悩んだり、喜んだりしながら成長する姿が描かれてきました。日本ではシリーズ最終となる6巻が、今年の4月に出版されました(作者逝去のため、原作は7巻で終了)。
 今回は、4巻の "Angel's Mother's Wedding"(『エンジェルとお母さんの結婚』/ジュディ・デルトン作/岡本浜江訳/朔北社)からの引用です。お母さんの結婚を祝おうと、友人のエイリスが開いたパーティ。そこでケーキの名前をあてるクイズが行われました。エンジェルは答えに「エンジェル・ケーキ」と書きました。
 エンジェル・ケーキは、Angel food または Angel cake とも呼ばれます。起源は定かではありませんが、19世紀ころからアメリカでは Snow-drift cake や Silver cake とも呼ばれていました。19世紀後半にはアメリカの料理の本に Angel cake として作り方が登場してきます。卵白だけを使って、まっ白に仕上げるふわふわの軽いケーキであることから、"food of the angels" という意味の名前がついたようです。このケーキの名前をつけたリング型や、たくさんの卵白を泡立てるための、ハンドル式ホイッパーが発明されたのも、同じ時期だといわれています。
 味も形もシンプルで切り分けやすく、クリームをぬったり、フルーツを添えたりとアレンジしやすいところが魅力ですね。今回は粉砂糖で飾るレシピをご紹介します。

*-* エンジェル・ケーキの作り方 *-*

画像はこちら(やまねこ翻訳クラブ喫茶室)

材料:(直径18cmのエンジェル・ケーキ型1個分)

  • 卵白  3個分
  • 砂糖  70g
  • レモン汁  少々
  • 薄力粉  60g
  • 粉末アーモンド  20g
  • ベーキングパウダー  小さじ1
  • 無塩バター  30g
  • 粉砂糖 適量
  1. 薄力粉、粉末アーモンド、ベーキングパウダーをあわせて、ふるっておく。エンジェル・ケーキ型にバター(分量外)をぬっておく。
  2. 卵白に砂糖3分の1とレモン汁をいれ、泡立て、もったりしてきたら、残りの砂糖を2回に分けていれ、角が立つまでしっかりと泡立てる。
  3. 2に、1の粉類をいれ、さっくりと混ぜ、とかしたバターも加えて混ぜあわせる。
  4. 1の型に3を流しいれ、180度のオーブンで20〜30分焼く。焼きあがったらすぐ逆さにしてさます。
  5. 仕上げに粉砂糖を振りかけて、飾る。
★参考文献・ウエブサイト
『おかしなお菓子・3』(今田美奈子著/文溪堂)
"History of Cakes" http://whatscookingamerica.net/History/CakeHistory.htm
A Baking Resource "Baking History" http://www.joyofbaking.com/History.html

「やまねこ翻訳クラブお菓子掲示板」
(竹内みどり/早川有加)


『エンジェルとお母さんの結婚』の情報をオンライン書店でみる

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"Angel's Mother's Wedding" の情報をオンライン書店でみる

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●読者の広場●海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!

このコーナーでは、海外児童書にまつわるお話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せください。
  • メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
  • タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。
  • 掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。
  • 回答も読者のみなさまから募集し、こちらに掲載させていただきます。編集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。


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●編集後記●

リニューアル第1号はいかがでしたか? みなさまからのご意見・ご感想をお待ちしております。(あ)

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発行人: 杉本詠美(やまねこ翻訳クラブ 会長)
編集人: 赤塚きょう子/竹内みどり(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画: 井原美穂 蒲池由佳 笹山裕子 清水陽子 早川有加 三緒由紀 横山和江
協 力: 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
内藤文子 ながさわくにお 吉井一美
html版担当 ワラビ

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