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2011年11月号
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  =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====
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                                No.135
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児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌
http://www.yamaneko.org                         
編集部:mgzn@yamaneko.org     2011年11月15日発行 配信数2360  無料 
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●2011年11月号もくじ●
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◎特別企画:2012年国際アンデルセン賞の候補者たち その1
  "Ascolta il mio cuore" ビアンカ・ピッツォルノ作
◎注目の本(邦訳絵本):『ニコとねずみのすてきなせかい』
        マンフレート・マイ文/ヨッヘン・シュトゥーアマン絵/斉藤洋訳
◎賞速報
◎イベント速報
◎世界のお祭り:第26回 死者の日(メキシコなど)
◎読者の広場

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●特別企画●2012年国際アンデルセン賞の候補者たち その1
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 今年5月、国際アンデルセン賞の2012年候補者が発表された。
 数ある児童文学賞の中で、もっとも名誉あるもののひとつとされる本賞の候補には、
国際児童図書評議会(IBBY)に加盟する国から推薦された作家、画家が名を連ね
る。多数の候補者の全業績や作品などが時間をかけて慎重に検討、審査され、西暦偶
数年に受賞者の発表および賞の授与式がとり行われる。次回は2012年3月の予定だ。
 本誌では、2年前の2009年9月号で2010年の候補者2名を特集した。今回も来年3
月の発表を前に、2012年の候補者の未訳作品を何号かに分けてご紹介する。1回目は
イタリアの作家、ビアンカ・ピッツォルノ。

【参考】
▼国際児童図書評議会(IBBY)公式ウェブサイト
http://www.ibby.org/

▼2012年国際アンデルセン賞候補者リスト(IBBY内)
http://www.ibby.org./index.php?id=1186&L=0.html

▽国際アンデルセン賞について(本誌1999年10月号情報編)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/1999/10a.htm#a1bungaku

▽国際アンデルセン賞受賞者リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/andersen/index.htm

▽本誌2009年9月号「特別企画:2010年国際アンデルセン賞の候補者たち」
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2009/09.htm#kikaku

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〜ビアンカ・ピッツォルノ(イタリア)〜

『あたしの〈クオーレ〉を聴いて』(仮題) ビアンカ・ピッツォルノ作
"Ascolta il mio cuore" text by Bianca Pitzorno
Oscar Mondadori, 1991 ISBN 978-8804530220(Italy)
305pp.
(このレビューは、2004年に出版された版を参照して書かれています)
Amazonで詳細を見る

 第2次大戦の面影が色濃く残るイタリア、サルデーニャ島の小さな町を舞台に、小
学校4年生のプリスカとその親友2人の学校生活を描く。
 新学期、プリスカたち4年D組の担任となったのは、上流階級の子どもが通う私立
校から来たアルジア・スフォルツァ先生。優秀な生徒を送り出すことに定評があり、
体罰も辞さない厳しさで有名だった。それだけでなく、名簿に生徒の父親の職業まで
書き込んで、家庭環境によって露骨に差別をした。貴族で大地主を父に持つ子のこと
はけっしてしからず、テストの点も甘いが、家が裕福でもプリスカのように反抗的な
子や、貧しい家の子どもたちには相応の罰を与える。極貧家庭に育つ落第生2人に対
する仕打ちは全く理不尽で、適当な理由をつけて鞭で打ったり、停学処分にしたり、
何とかして自分のクラスから追い出そうとする。その横暴ぶりに憤ったプリスカは、
弁護士である父に助けを求めるが、「自分で解決しなさい。それを学ぶために学校は
あるのだよ」と諭された。大人は当てにできないと悟り、プリスカは怒りを創作意欲
にぶつけ、先生をモデルにした人物が登場する物語を書き、話の中で懲らしめてやる。
 ピッツォルノがこの作品を書いたのは、「子どものころ、どんな学校生活を送って
いたの?」という読者からの質問にまとめて答えるためだったという。9月から翌年
6月までの10か月間の学校生活が月ごとにまとめられ、毎月最後にプリスカのお話が
添えられている。そのスタイルはエドモンド・デ・アミーチスの『クオーレ』に似て
いるが、それもそのはず、『クオーレ』が10歳の少年エンリーコを書き手としながら、
大人の目線で書かれていることに不満を感じたピッツォルノの、「あの『クオーレ』
を読んだのなら、次はこの『クオーレ』を読んで」という思いが込められているのだ。
 後半、スフォルツァ先生は保護者を集め、クラス丸ごと最終学年である5年生を飛
び級して中学校に入学させることを提案する。印象的なのは、「1年得をする」と大
半の保護者が歓迎する中、「子ども時代を1年失う。むしろ損をするのでは」と異議
を唱える者もいることである。結局、圧倒的多数で飛び級をめざすことが決まり、子
どもたちは、1年半かけて学ぶべき内容をたった半年間でひたすら詰め込んでいく。
その姿は、今の日本の子どもたちの姿と少し重なるかもしれない。
 物語本編は、邦訳出版されているピッツォルノの4作品と比べ、きわめてリアリス
ティックに描かれている。一方、間にはさまれるプリスカの書くお話は、現実離れし
ていて面白おかしく、箸休め的に楽しめる。
 1991年に最初に出版されたこの本は、版を変え、再版され、今も売れ続けている。
1994年には、新たな登場人物の目でプリスカたちの2年後を描いた "Diana, Cupido
e il Commendatore" が出版されている。

【ビアンカ・ピッツォルノ(Bianca Pitzorno)について】
 1942年、イタリア、サルデーニャ島サッサリに生まれる。地元の公立小学校から高
校まで通ったのち、カリャリ大学で古典文学を学ぶ。卒業後サッサリに戻り、数年間
高校でラテン語とギリシャ語を教え、その後サルデーニャ島を離れてミラノに移り、
映画とテレビについて学ぶ。1970年よりイタリア国営放送にて子ども番組の制作に携
わる。同じ年、出版社のコンクールに応募して入選し、最初の本が出版される。1977
年にテレビ局を辞め、専業作家となる。
 女の子のための児童文学の先駆者といわれ、主人公は常に女の子。ナンセンスなほ
ら話やファンタジーから写実的な物語まで、小さな子ども向けからヤングアダルト向
けまでと作風は幅広く、著作は40冊以上。代表作に "Extraterrestre alla pari"、
『ラビーニアとおかしな魔法のお話』(長野徹訳/小峰書店)、『ポリッセーナの冒
険』(長野徹訳/徳間書店)、"La bambina col falcone"、"Tornatras" などがあり、
中世サルデーニャ島の女性統治者の伝記 "Vita di Eleonora d'Arborea" のような一
般向け作品も書いている。日本では前述2作のほか、『木の上の家』(長野徹訳/汐
文社)、『赤ちゃんは魔女』(杉本あり訳/徳間書店)が紹介されている。
 イタリアで権威ある児童文学賞、イタリア・アンデルセン賞やチェント賞を何度も
受賞しており、今回紹介した "Ascolta il mio cuore" は1992年イタリア・アンデル
セン賞の9歳〜12歳部門を受賞し、チェント賞中学生向け部門の次点に選ばれた。ま
た、2002年より、ユニセフ・イタリア委員会親善大使を務めている。

【『クオーレ』について】
 クオーレとはイタリア語で心を意味し、イタリアが統一されてまもない19世紀末、
子どもたちに愛国精神を説くために書かれた本。1年間の学校生活を10歳の少年エン
リーコが書く日記の形で描いている。「毎月のお話」として、先生の紹介する物語が
挿入されており、5月のお話「アペニン山脈からアンデス山脈まで」は、日本では
『母をたずねて三千里』の題名で独立した物語として読まれ、同名アニメでも有名。

【参考】
▽イタリア・アンデルセン賞について(本誌2006年9月号「世界の本棚」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2006/09.htm#sekai

▽チェント賞受賞作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/it/cento/index.htm

【特殊文字】
「Tornatras」の2つめの「a」の上にアクセント記号(`)がつく

                              (赤塚きょう子)

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●注目の本(邦訳絵本)●ねことねずみが出会えば物語は始まる
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『ニコとねずみのすてきなせかい』
マンフレート・マイ文/ヨッヘン・シュトゥーアマン絵/斉藤洋訳
フレーベル館 定価1,260円(税込) 2011.09 28ページ ISBN 978-4577039526
"Nikodemus und das Mausewunder"
text by Manfred Mai, illustrations by Jochen Stuhrmann
Tulipan Verlag, 2010
Amazonで詳細を見る  bk1で詳細を見る
Amazonで原書の詳細を見る

 天敵! いますか? 思わぬ場所で天敵に会い絶体絶命の危機! となったらどう
しましょう。もしもこの絵本のねずみのように「すてきなせかい」を知っていたら、
窮地を脱することができるかもしれません。登場人物はねことねずみです。いわずと
知れた昔からの敵同士。しかも物語への出場回数も多く、主役をこなした回数だって
両者ともかなりのものです。もう目新しさがないぐらい。でもこのお話では……。
 ねぐらの前で待ち伏せしていたとらねこに、びっくり仰天のねずみ。震える声で
「ぼくをたべなければ、きっといいことがありますよ」と言います。とらねこは食べ
る気満々だったのですが、毛並みをほめられていい気分になり、ねずみのいう「すて
きなせかい」を味わうことにしました。しかしその「すてきなせかい」は、スリルと
サスペンスいっぱい、心臓が縮み上がるなんて経験の連続。それでいて全力疾走した
あとのような充実感で満たされるものだったのです。ねずみルツィーリはとらねこニ
コデムスをニコと呼び、ニコはお礼に「もっとすてきなもの」を見せてやろうといい
ます。その場所がまたとてもすてき。感激したルツィーリが次に目指す場所は、また
またとんでもないところなのです。
 ヨッヘン・シュトゥーアマンの描くとらねこは、大きくてごつくて、ちょっと見に
は怖そうですがキュートなやつです。ニコの鼻先で長いしっぽを振り回し、2本足で
歩くルツィーリは、いささか一癖ありそうな輩。2匹の住む町は南米にも、中東にも、
イタリアにも見える町並みで、世界のどこかにありそうだけど、どこにもない変てこ
ワールド。2匹がめぐる「すてきなせかい」と天敵同士の思わぬ友情のてんまつをど
うぞお楽しみください。

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【文】マンフレート・マイ(Manfred Mai):1949年ドイツ南部の村で生まれる。教
師として勤めつつ、物語を書き始め、1984年より執筆に専念する。歴史家・文学者・
作家として知られる。ドイツの歴史や文学史などの本、絵本、児童書、大人向け小説
など著作は多方面にわたる。児童書の邦訳では「知りたいことがいっぱいあるの」シ
リーズ(たかやなぎえいこ訳/リブリオ出版)など。絵本では本作品が初めての邦訳。

【絵】ヨッヘン・シュトゥーアマン(Jochen Stuhrmann):1976年生まれ。イラスト
レーター、絵本作家。邦訳作品は『エルネスト たびするいぬのものがたり』(関口
裕昭訳/フレーベル館)についで2作目。2008年にボローニャ国際絵本原画展入賞。
本作品で2011年ブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)賞において金牌を受賞し
ている。ハンブルク在住。

【訳】斉藤洋(さいとう ひろし):1952年生まれ。ドイツ文学者、児童文学作家。
「ルドルフ」シリーズ、「ペンギン」シリーズ(いずれも講談社)など、児童書の著
作多数。最近の作品に『どんどんもるもくん』(江田ななえ絵/偕成社)、『もぐら
のおまわりさん』(たかいよしかず絵/講談社)など。翻訳では『ドアがあいて…』
(エルンスト・ヤンドゥル文/ノルマン・ユンゲ絵/ほるぷ出版)などがある。

【参考】
▼マンフレート・マイ公式ウェブサイト(ドイツ語)
http://www.manfred-mai.de/

▼ヨッヘン・シュトゥーアマン公式ウェブサイト(ドイツ語)
http://www.illustrato.de/

【特殊文字】
「Mausewunder」:「a」の上にウムラウト(¨)がつく

                               (尾被ほっぽ)

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●賞速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★2011年度ドイツ児童文学賞発表
★2012年度アストリッド・リンドグレーン記念文学賞候補者発表
                  (受賞者の発表は、2012年3月20日の予定)
★2011年スペイン国民イラスト賞発表
★2012年カーネギー賞ロングリスト発表
★2012年ケイト・グリーナウェイ賞ロングリスト発表
(カーネギー賞および、ケイト・グリーナウェイ賞ショートリストの発表は
                2012年3月下旬、受賞作品の発表は6月の予定)
★2011年度ニューヨークタイムズ・ベストイラスト賞発表
★2011年ガーディアン賞発表

 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を
ご覧ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

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●イベント速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★展示会情報
 軽井沢絵本の森美術館「四季のえほん展〜自然を愛した絵本画家たち〜」
 石川県七尾美術館「2011イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」 など

★シンポジウム・講演会情報
 日本ペンクラブ シンポジウム「世界と日本の子どもの本から」
 国立国会図書館 国際子ども図書館
 「占領期の児童図書:プランゲ文庫児童書コレクション」 など

 詳細やその他のイベント情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、
空席状況については各自ご確認願います。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event

                           (笹山裕子/冬木恵子)

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●世界のお祭り●第26回 死者の日(メキシコなど) 11月1日、2日
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 日本でもハロウィーンが知られるようになり、今年も街角で大きなカボチャを見か
けました。仮装パーティーを楽しんだ方もいらっしゃったのではないでしょうか?
ハロウィーンについては2005年のこのコーナーで取り上げましたが、今回はハロウィ
ーンと同じような起源を持ち、メキシコなどで祝われている「死者の日」を紹介した
いと思います。
 ハロウィーンが、死者の霊が家族を訪ねる日とされているように、死者の日には死
んだ人の魂が家に戻ってくるといわれています。アステカ神話では、人は死んでも魂
は死なず、ミクトランと呼ばれる安らぎの地へ行くと考えられていました。そして年
に1度、7月から8月の間に家族に会いにくると信じられていたのです。その後、ス
ペインからもたらされたキリスト教で11月1日に祝われる「諸聖人の日」と融合し、
死者の日は11月1日と2日に定着しました。そして1日には子どもの魂を、2日には
大人の魂を迎えるようになったといわれています。
 先祖の魂を迎える日と聞くと、日本のお盆のようなものを思い浮かべますが、祝い
方はメキシコらしく、陽気でにぎやかです。多くの家や商店でマリーゴールドの花を
飾り、町中が華やかに彩られます。マリーゴールドの香りは、先祖の魂を招くと考え
られているからです。家にオフレンダと呼ばれる祭壇を作って、ロウソクを立て、遺
影を飾り、亡くなった人の好物やお菓子などを供えることもあります。死者の日独特
の食べ物といえば、骸骨の形をしたチョコレート菓子や砂糖菓子、「死者のパン」と
呼ばれる甘いパンなどです。街角に屋台が並び、骸骨や棺桶の形のお菓子に色砂糖で
名前を書いてくれるので、自分の名前を書いてもらって飾ったり、友人の名前を書い
てもらってプレゼントしあったりします。骸骨はこのお祭りのシンボルのようなもの
で、アステカ神話の死の女神が起源だといわれる「死者の貴婦人」カトリーナなど、
骸骨をモチーフにした小物や飾りが町にあふれます。骸骨の仮装をした人たちがパレ
ードをすることもあります。
 夜になると、中央高原地帯の湖に浮かぶハニツィオ島など、伝統的なしきたりを守
っている地域では、ロウソクを灯して墓地に行き、オレンジ色のマリーゴールドの花
をまいてお供えをし、明け方のミサまで一晩過ごします。中には墓地でそのまま眠り
こんでしまう人たちもいるそうです。
 死や骸骨など、恐ろしげなものと明るく向き合い、陽気に祝うメキシコの人たちの
お祭りは、子どもにも魅力的なものでしょう。レイ・ブラッドベリは、少年たちが過
去を旅するファンタジー『ハロウィーンがやってきた』(伊藤典夫訳/晶文社)の中
で、主人公たちに死者の日を体験させています。
 また、親しい人を亡くしたばかりの子どもには、死者が帰ってくるというこのお祭
りが救いになることもあります。絵本『おばあちゃんのちょうちょ』(バーバラ・M
・ヨース文/ジゼル・ポター絵/ふくもとゆきこ訳/BL出版)では、優しいおばあ
ちゃんが亡くなってから初めての死者の日を迎える女の子の様子が描かれています。

*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*
朝になって、墓地にいった。近所のひとたちもみんな来ていた。そせんのおはかをき
れいにおそうじ。わたしは、おばあちゃんのおはかに花をまき、チョコレートとおさ
とうでできた、ドクロのおかしを食べた。みんな、ピクニックのかごやお花をもって、
あつまっている。おしゃべりや音楽がきこえる。だれかが、おばあちゃんの好きだっ
た歌を歌った。
*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*

 しきたりは異なっても、死者を思い近くに感じることが、残された人たちの慰めに
なるのは、万国共通なのかもしれません。

★参考文献
『極彩色メキシコ巡礼』(小野一郎著/晶文社)
『メヒコ・マヒコ』(利根山光人著/筑摩書房)
"Day of the Dead" ウェブサイト
http://www.dayofthedead.com/

▽本誌2005年10月号「世界のお祭り:第5回 ハロウィーン」
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2005/10.htm#matsuri

                           (笹山裕子/村上利佳)

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●読者の広場●海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!
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 このコーナーでは、本誌に対するご感想・ご質問をはじめ、海外児童書にまつわる
お話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せ
ください。

※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
※タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。
※掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。
※質問に対するお返事は、こちらに掲載させていただくことがあります。原則的に編
集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。

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●お知らせ●

 本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。
こちらの「やまねこ翻訳クラブ オンライン書店」よりお入りください。
http://www.yamaneko.org/info/order.htm
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           ・☆・〜 次 号 予 告 〜・☆・

 12月号では、第14回やまねこ賞の発表を行います。
 詳細は10日頃、やまねこ翻訳クラブHPメニューページに掲載します。
          http://www.yamaneko.org/info/index.htm
 どうぞお楽しみに!

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▽▲▽▲▽   海外児童書のシノプシス作成・書評執筆を承ります   ▽▲▽▲▽

  やまねこ翻訳クラブ(yagisan@yamaneko.org)までお気軽にご相談ください。

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 独創的なデザインで世界100ヶ国以上で愛用されているフォッシルはアメリカを代
表するライフスタイルブランドです。1984年、時計メーカーとして始まったフォッシ
ルは時計をファッションアクセサリーの一つと考え、カジュアルな「TREND」ライン
からフォーマルなシーンにも使える「CERAMIC」など、年間300種類以上のモデルを発
売し続けています。またフォッシル直営店では、時計以外にもレザーバッグ、革小物、
ファッションサングラスなどのラインも展開しています。
TEL 03-5992-4611
http://www.fossil.co.jp/     (株)フォッシルジャパン:やまねこ賞協賛会社
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             「子どもの本だより」
     http://www.litrans.net/maplestreet/kodomo/info/index.htm
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新刊情報・イベント情報などを掲載いたします。詳細はmaple2003@litrans.netまで。

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                 http://www.yamaneko.org/mgzn/acti/index.htm

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●編集後記●国際アンデルセン賞の候補者が発表されると、多言語の翻訳を目指す会
員も多い当クラブでは、受賞してほしい作家・画家の話題が目白押し。今回も「特別
企画」でお気に入りの候補者について熱く語っていきたいと思います。2年前のよう
に、その中から受賞者が出るかもしれません。(う)
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発行人 平野麻紗(やまねこ翻訳クラブ 会長)
編集人 植村わらび/井原美穂/大作道子(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画 赤塚きょう子 尾被ほっぽ 加賀田睦美 かまだゆうこ 児玉敦子
    笹山裕子 冬木恵子 村上利佳 森井理沙
協 力 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
    ながさわくにお
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