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2018年3月号
   =====☆                    ☆=====
  =====★   月 刊  児 童 文 学 翻 訳   ★=====
   =====☆   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ☆=====
         Yamaneko Honyaku Club 20th Anniversary
                                No.183
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児童文学翻訳学習者による、児童文学翻訳学習者のための、電子メール版情報誌
http://www.yamaneko.org                         
編集部:mgzn@yamaneko.org     2018年3月15日発行 配信数 2570 無料
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●2018年3月号もくじ●
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◎賞情報:2018年国際アンデルセン賞ショートリスト発表
◎注目の本(邦訳読み物):『カラヴァル 深紅色の少女』
                   ステファニー・ガーバー作/西本かおる訳
◎賞速報
◎イベント速報
◎映像化された児童文学:第1回 『ふたつの名前を持つ少年』
◎読者の広場

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●賞情報●2018年国際アンデルセン賞ショートリスト発表
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 1月17日、2018年国際アンデルセン賞のショートリストが発表された。この賞は、
児童文学に貢献してきた作家/画家の全業績を称え、国際児童図書評議会(IBBY)
が2年に1度、西暦偶数年に発表するものである。2017年4月に、各国から推薦され
た候補者(作家賞33名、画家賞28名)が公表された後、国際選考委員会による審査が
行われ、11名の候補者がショートリストに選ばれた。受賞者の発表は、3月26日の予
定。
 また、今回新たに、世界中の子どもたちに読んでほしい、翻訳出版を期待する本と
して、全候補者の作品の中から国際選考委員会が推薦図書15冊を選び、発表した。シ
ョートリストに選ばれた候補者の作品も5冊挙げられている。
 本号では、ショートリストに選出された5名の作家および6名の画家を紹介する。

※候補者の日本語読みは、日本国際児童図書評議会(JBBY)の発表に準ずる。

▼国際児童図書評議会(IBBY)公式ウェブサイト
http://www.ibby.org/

▼上記ウェブサイト内、2018年国際アンデルセン賞のページ
http://www.ibby.org/awards-activities/awards/hans-christian-andersen-awards/
hcaa-2018/?L=0

▼2018年国際アンデルセン賞ショートリスト紹介動画掲載ページ
                         (JBBYウェブサイト内)
http://jbby.org/news/index02.html#post-541

▼2018年国際アンデルセン賞国際選考委員会推薦図書リスト
                         (IBBYウェブサイト内)
http://www.ibby.org/fileadmin/user_upload/HCA_2018_recommended_books.pdf

▽国際アンデルセン賞について(本誌1999年10月号情報編「世界の児童文学賞」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/1999/10a.htm#a1bungaku

▽国際アンデルセン賞受賞者リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/award/andersen/index.htm

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■作家賞ショートリスト■
      〜 Shortlist for the Hans Christian Andersen Author Award 2018 〜

 ・Marie-Aude Murail マリー・オード・ミュライユ (フランス)
 ・Farhad Hassanzadeh ファハド・ハッサンザデ (イラン)
 ・Eiko Kadono 角野栄子 (日本)
 ・Joy Cowley ジョイ・カウリー (ニュージーランド)
 ・Ulf Stark ウルフ・スタルク (スウェーデン)

 フランスのマリー・オード・ミュライユ(マリー=オード・ミュライユ)は、1954
年生まれ。大人向けの小説でデビューしたのち、1987年以降は子ども向けの作品を中
心に、精力的に執筆を続けている。近年では、今を生きる子どもたちを取り巻く、社
会的な問題をテーマにすることも多い。2004年にはその功績が称えられ、フランスの
最高勲章である「レジオン・ドヌール勲章」を受章した。邦訳には、妹のエルヴィー
ルとの共作『サンタの最後のおくりもの』(クェンティン・ブレイク絵/横山和江訳
/徳間書店 ※本誌2006年11月号「特集」のレビュー参照)などがある。

 ファハド・ハッサンザデは、現在イランで最も注目されている作家の1人である。
イラクとの国境に近いアーバーダーンで生まれ育ち、イラン・イラク戦争を経験。80
を超える作品の中には、それを反映するように、戦争の影響を描き平和への思いを打
ち出したものもある。YA向けの作品でタブー視されがちなテーマに切り込む一方、
ユーモアあふれる絵本の物語を手掛けるなど、その作風は幅広い。残念ながら邦訳は
まだないが、代表作である "Ghesehaye Kooti Kooti" は、複数の言語に翻訳されて
いる。

 日本の候補者、角野栄子は、2016年に続く2度目のノミネートで初のショートリス
ト入り。1970年の作家デビュー以来、出版された著書は200冊以上。代表作『魔女の
宅急便』(福音館書店/角川書店)ほか多くの作品が翻訳され、世界各国で読まれて
いる。最近の作品に、戦争体験をもとに綴った『トンネルの森 1945』(角川書
店)、言葉遊び絵本『いろはにほほほ』(アリエスブックス)などがある。語学力を
生かし、海外絵本の翻訳家としても活躍。『わたしをわすれないで』(ナンシー・ヴ
ァン・ラーン文/ステファニー・グラエギン絵/マイクロマガジン社)が刊行された
ばかり。

 ニュージーランドのジョイ・カウリーは、2017年末に、国内最高の勲章である「ニ
ュージーランド勲章」を受章。半世紀にわたる作家活動が高く評価されてのことだ。
市販される本のほか、学習教材としての物語を書き続けており、英語圏の国々で識字
教育に貢献してきた。詳しいプロフィールは、本誌2015年9月号の「特別企画:2016
年国際アンデルセン賞の候補者たち その1」で紹介している。

 スウェーデンを代表する児童文学作家ウルフ・スタルクは、ノミネート発表2か月
後の2017年6月にこの世を去ってしまった。訃報を聞いて私たちも悲嘆に暮れたが、
それだけに、ショートリスト入りは感慨深い。スタルクは、今回のショートリストの
中で最も邦訳作品の多い作家である。本誌2017年7月号掲載の追悼記事でプロフィー
ルを紹介しているので、ご覧いただきたい。

【参考】
▼マリー・オード・ミュライユ公式ウェブサイト(フランス語)
http://marieaude.murail.pagesperso-orange.fr/index.html

▼ファハド・ハッサンザデ公式ウェブサイト(ペルシャ語、英語、一部フランス語)
http://farhadhasanzadeh.com/

▼角野栄子公式ウェブサイト
http://kiki-jiji.com/

▼ジョイ・カウリー公式ウェブサイト
http://www.joycowley.com/

▼ウルフ・スタルク紹介ページ(Bonnier Rights ウェブサイト内、英語)
http://www.bonnierrights.se/Author/Ulf-Stark/12701/

▽『サンタの最後のおくりもの』レビュー(本誌2006年11月号「特集」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2006/11.htm#hyomi

▽角野栄子関連記事(本誌2017年3月号「やまねこカフェ:第12回」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2017/03.htm#cafe

▽ジョイ・カウリー紹介記事(本誌2015年9月号
        「特別企画:2016年国際アンデルセン賞の候補者たち その1」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2015/09.htm#kikaku

▽ウルフ・スタルク追悼記事(本誌2017年7月号
          「追悼:スウェーデンの児童文学作家 ウルフ・スタルク」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/dtp/2017/07.htm#tuitou

▽ウルフ・スタルク邦訳作品リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/author/s/ustark.htm

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■画家賞ショートリスト■
   〜 Shortlist for the Hans Christian Andersen Illustrator Award 2018 〜

 ・Pablo Bernasconi パブロ・ベルナスコーニ (アルゼンチン)
 ・Linda Wolfsgruber リンダ・ヴォルフスグルーベル (オーストリア)
 ・Xiong Liang 熊亮(ション・リャン) (中国)
 ・Iwona Chmielewska イヴォナ・フミェレフスカ (ポーランド)
 ・Igor Oleynikov イーゴリ・オレイニコフ (ロシア)
 ・Albertine アルバータイン (スイス)

 アルゼンチンのパブロ・ベルナスコーニは、1973年生まれ。ブエノスアイレス大学
にてグラフィックデザインを学び、大手新聞社のイラストレーターとして画業をスタ
ート。国内外の新聞・雑誌で活躍する。子ども向けの本に、自らが文章も手掛けた
"Mentiras y moretones"、"El diario del Capitan Arsenio" などがある。メタファ
ーとして用いられる独創的なコラージュが特徴。数多くの賞を受賞し、アルゼンチン
を代表するイラストレーターとして2012年にも本賞候補に挙げられた。

 オーストリアのリンダ・ヴォルフスグルーベル(ヴォルフスグルーバー)は1961年、
イタリアの南チロル地方に生まれる。イタリアやドイツで美術、組版、グラフィック
デザインを学んだのち、1986年より子どもの本に携わり、これまでに60冊を超える作
品を発表している。多彩な表現技法を操り、その画風は常に新しい。秩序に対抗する
ユーモアや、抽象的世界観は一貫。本賞7回目のノミネートにて初のショートリスト
入りとなった。邦訳に『どうする? ビアンカ』(いずみちほこ訳/フレーベル館)
などがある。ウィーン在住。

 熊亮(ション・リャン)は、1975年、浙江省嘉興生まれ。Kim Xiong(キム・シオ
ン)のペンネームでも知られる。幼い頃から水墨画に親しみ、中国の美術と文学を独
学。中国を代表する絵本作家であり、絵のみならず文も手掛ける。中国の伝統文化、
伝説、自然を題材にすることが多く、伝統的な画法と現代美術を融合した作品を発表
し続けている。『小石獅』(『ちいさなこまいぬ』長田弘訳/コンセル ※作者名表
記:キム・シオン)は中国、台湾で数々の賞を受賞。中国の画家として初のショート
リスト入りを果たした。北京在住。

 イヴォナ・フミェレフスカ(フミエレフスカ)は、1960年ポーランドのパビャニツ
ェ生まれ。大学でグラフィックデザインを学び、1990年に韓国でデビュー。作品のほ
とんどが韓国、ドイツで出版されている。印象的なコラージュと静寂な色調で独自の
世界を描く。"Eyes" で2013年ボローニャ・ラガッツィ賞フィクション部門を受賞。
『ブルムカの日記 コルチャック先生と12人の子どもたち』(田村和子、松方路子訳
/石風社)などの邦訳作品もある。

 ロシアのイーゴリ・オレイニコフ(イゴール・オライノコフ)は、1953年モスクワ
州のリュベルツィに生まれる。独学で絵を学び、アニメーション映画のアートディレ
クターを経て、その後、絵本作家、イラストレーターに。奥行きのある構図と、光を
取り入れた鮮明な色彩を用いて、よりリアルなファンタジーの世界を描き、これまで
に80冊を超える作品を手掛けてきた。邦訳作品では『ねむれないよう!』(もきかず
こ訳/学習研究社)などがある。

 スイスのアルバータインは、1967年生まれ。夫である作家のゲルマノ・ズロとの共
作で、ブラティスラヴァ世界絵本原画展「金のりんご賞」、ニューヨークタイムズ・
ベストイラスト賞を受賞するなど、国際的に活躍してきた。最近の作品では、ページ
をめくると絵が動いて見えるフリップブックの形式で親子の愛を描いた "Mon tout
petit" が、2016年ボローニャ・ラガッツィ賞フィクション部門を受賞。邦訳に絵本
「マルタのぼうけん」シリーズ(ゲルマノ・ズロ文/イシグロケン訳/トランスワー
ルドジャパン)がある。

【参考】
▼パブロ・ベルナスコーニ公式ウェブサイト(スペイン語、英語)
http://www.pbernasconi.com.ar/

▼リンダ・ヴォルフスグルーベル公式ウェブサイト(ドイツ語)
http://www.lindawolfsgruber.at/

▼熊亮紹介ページ(Meridian ウェブサイト内、英語)
http://www.meridian-online.com/meridian-products/artist_representation/

▼イヴォナ・フミェレフスカ紹介ページ(Culture.pl ウェブサイト内、英語)
http://culture.pl/en/artist/iwona-chmielewska

▼イーゴリ・オレイニコフ紹介ページ(Bibliogid ウェブサイト内、ロシア語)
http://bibliogid.ru/khudozhniki/735-olejnikov-igor-yu

▼アルバータイン公式ウェブサイト(フランス語)
http://www.albertine.ch/

【特殊文字】
「El diario del Capitan Arsenio」:「Capitan」の2つめの「a」の上に(´)が
つく

           (大作道子/小島明子/中井川玲子/増山麻美/三好美香)

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●注目の本(邦訳読み物)●偽りの世界で試される、真実の愛と勇気
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『カラヴァル 深紅色の少女』 ステファニー・ガーバー作/西本かおる訳
キノブックス 定価1,800円(本体) 2017.08 407ページ ISBN 978-4908059773
"Caraval" by Stephanie Garber
Flatiron Books, 2017
Amazonで検索する:ISBN  Amazonで検索する:書名と作者名

 年に1度、世界のどこかで開かれる魔法のゲーム“カラヴァル”。勝者は願いを1
つ叶えてもらえるという。トリスダ島総督の娘である17歳のスカーレットは、ゲーム
マスターのレジェンドから、特別招待客としてカラヴァルに招かれた。政略結婚を数
日後に控えていたため、父親の怒りに触れることを恐れて参加をあきらめるが、1歳
下の妹ドナテラと、謎めいた船乗りジュリアンの計略でゲームに参加することに。と
ころが始まって間もないうちに、ドナテラが何者かにさらわれてしまう。
 カラヴァルは謎解きのゲームだ。始めにヒントを与えられ、5夜の間に残り4つの
ヒントを見つけ、答えを導き出す。会場にはさまざまな店が並び、不思議な魔法のア
イテムを買ったり、ゲームを演出するキャストから情報を得たりすることもできる。
ただし、その対価はお金ではない。過去、願望、恐れなど、自分の秘密を問う相手の
質問に答えるか、自分の時間を渡して取引をする。スカーレットは嘘とまやかしに満
ちた世界で翻弄されながらも、必死にドナテラを探しつづける。ジュリアンはいつも
そばにいて助けてくれるが、何か秘密を抱えているようで……。
 冒頭で、父親がドナテラに暴力を振るう場面が描かれる。娘を力と恐怖で支配しよ
うとする狂気に衝撃を受けたが、身をていして互いをかばい合う姉妹の絆に胸を打た
れ、一気に物語に引き込まれた。また、婚約者がいながらジュリアンに惹かれてしま
うスカーレットの内面が繊細に描写され、身を焦がすような恋心に魅了されてしまう。
次第に明かされるカラヴァルの過去やレジェンドの真の目的。おとぎの国のように魅
惑的な会場で行われる危険なゲームは、予想もつかないラストへと展開していく。
 カラヴァルの世界では、自分の秘密に価値があるという設定も面白い。ゲームにの
めり込んで身を滅ぼす者がいる一方、スカーレットは押さえつけてきた本当の思いに
気がつき、自分で決断することの尊さを知る。極限の状態で愛と犠牲の選択を迫られ
るスカーレットが最後に見つける真実に、胸を打たれた。

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【作】ステファニー・ガーバー(Stephanie Garber):米国北カリフォルニア育ち。
私立大学で創作を教える傍ら執筆を続け、2017年に本書で作家デビュー。30か国以上
で翻訳出版され、大手映画会社が映画化権を取得する人気作となった。今年5月に出
版が予定されている続編 "Legendary: A Caraval Novel" では、カラヴァルでレジェ
ンドに挑むドナテラの姿が描かれている。

【訳】西本かおる(にしもと かおる):東京外国語大学フランス語学科卒。2002年、
『アリスの眠り』(マギー・オファーレル作/世界文化社)で翻訳家デビュー。訳書
の『ルーシー変奏曲』(サラ・ザール作/小学館)が2014年やまねこ賞読み物部門大
賞、『レイン 雨を抱きしめて』(アン・M・マーティン作/小峰書店)が2017年や
まねこ賞読み物部門2位に選ばれている。

【参考】
▼ステファニー・ガーバー公式ウェブサイト
http://stephaniegarberauthor.com

▽西本かおるさんインタビュー(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/int/knishimo.htm

▽西本かおる訳書リスト(やまねこ翻訳クラブ資料室)
http://www.yamaneko.org/bookdb/int/ls/knishimo.htm

                               (山本真奈美)

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●賞速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★2018年カーネギー賞ロングリスト発表
★2018年ケイト・グリーナウェイ賞ロングリスト発表
(カーネギー賞およびケイト・グリーナウェイ賞ショートリストの発表は3月15日、
                      受賞作品の発表は6月18日の予定)
★2017年度アガサ賞児童書及びヤングアダルト部門候補作品発表
                     (受賞作品の発表は4月28日の予定)
★2017年度アンドレ・ノートン賞最終候補作品発表
                     (受賞作品の発表は5月19日の予定)
★2017年度ローカス賞ヤングアダルト部門推薦作品発表
        (最終候補作品の発表は5月、受賞作品の発表は6月23日の予定)
★2018年チルドレンズ・ブック賞ショートリスト発表
                     (受賞作品の発表は6月9日の予定)
★2018年度IBBYオナーリスト発表

 海外児童文学賞の書誌情報を随時掲載しています。「速報(海外児童文学賞)」を
ご覧ください。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=award

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●イベント速報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★展示会情報
 国立国会図書館国際子ども図書館「オランダの金の筆と銀の筆―子どもの本の世界」
 福岡アジア美術館「生誕60周年記念 くまのパディントン (TM) 展」 など

★講演会情報
 京都文教大学・京都文教短期大学サテライトキャンパス伏見大手筋
 「連続トークイベント 子どもの本のひみつ 第3回―子どもの日常を描く視座―」
 梅田 蔦屋書店「翻訳者と話そう 長友恵子さん『レイミー・ナイチンゲール』」
                                    など

★イベント情報
 ゲートシティホール
 「国際子どもの本の日記念 子どもの本の日フェスティバル2018」 など

 詳細やその他のイベント情報は、「速報(イベント情報)」をご覧ください。なお、
空席状況については各自ご確認願います。
http://www.yamaneko.org/cgi-bin/sc-board/c-board.cgi?id=event

                          (山本真奈美/冬木恵子)

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●映像化された児童文学●第1回 『ふたつの名前を持つ少年』
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 今月から新コーナー「映像化された児童文学」がスタートします。ここ10数年、児
童文学を原作とする映像作品がぐんと増えてきました。ファンタジーブームによる牽
引もあったと思いますが、優れた児童書は映画やドラマの素材としても、非常に魅力
があるということでしょう。このコーナーでは海外の児童書を原作とした、おすすめ
の映画やドラマをご紹介していきます。原作と併せて、これら映像作品もどうぞお楽
しみください。もちろん、このコーナーも!
 第1回は、国際アンデルセン賞作家ウーリー・オルレブ原作の『ふたつの名前を持
つ少年』を取り上げます。

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★文部科学省特別選定作品

『ふたつの名前を持つ少年』(原題 "Run Boy Run")
監督:ペペ・ダンカート
出演:アンジェイ・トカチ、カミル・トカチ、エリザベス・デューダ、
                  ジャネット・ハイン、ライナー・ボックほか
2013年制作/ドイツ・フランス合作
日本劇場公開2015年/配給:東北新社/字幕翻訳:川又勝利
原作:『走れ、走って逃げろ』ウーリー・オルレブ作/母袋夏生訳/岩波書店

【DVD】
『ふたつの名前を持つ少年』
発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン/発売日:2017年8月/本編:約108分

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

          〜生き抜く力をくれた、ふたつの名前〜

 1942年、冬――第2次世界大戦下のポーランド。吹雪の森の中で、少年がひとり寒
さに凍えている。頭の中で父の声がこだまする。「スルリック、勇気を持て。生き延
びるんだ。絶対に生きろ」。

 本作は、実話をもとにした児童書『走れ、走って逃げろ』を映画化したものだ。ホ
ロコースト(ナチス・ドイツによるユダヤ人絶滅政策)の魔の手が迫る中、家族とは
ぐれた8歳のユダヤ人の少年スルリックは、ワルシャワのゲットー(ユダヤ人強制居
住区)から脱出を果たし、恐怖と飢えと寒さに耐えて逃げ続ける。「絶対に生きろ」
という父の言葉だけを支えに、ユダヤ人の名を捨て、ポーランド人の名〈ユレク〉と
名乗り、キリスト教徒として振る舞って身を守った。でも、「自分の正体を隠しても、
ユダヤ人であることは忘れるな」という父との約束は常に心に刻んでいた。
 ゲシュタポ(ナチスの国家秘密警察)に追われ、命の危険にさらされながら、ユレ
クは農家で働いては食べものをもらい、ユダヤ人だとばれれば必死に逃げた。大ケガ
で運ばれた病院ではユダヤ人と見破られ、医者に手術を拒まれる。どんな目に遭って
も、ユレクは知恵と勇気で乗り越えていくが、彼を生へ導いたのはそれだけではない。
あきらめない強さ、人の心を動かす笑顔と純粋さがユレクにあったからこそ、救いの
手を引き寄せ、生き延びることができたのだと思う。

 映画でユレク役にキャスティングされたのは、原作のイメージ通りの、愛くるしい
笑顔を持つ少年だ。ドイツのペペ・ダンカート監督は、1年以上かけて700人を超え
る子どもをオーディションしたという。選ばれた少年が偶然にも双子だったことから、
ダブルキャストになった。実は、監督自身も一卵性双生児。双子の心理がよくわかる
監督は、それぞれの性格を見極め、シーンによって2人を使い分けたとのことだ。場
面場面でユレクが見せる表情にわたしは引きつけられ、心を揺さぶられっぱなしだっ
た。とくにとろけそうな笑顔と、強い眼差しは忘れられない。
 撮影は全編、実話の舞台となったワルシャワ近辺で行われている。ほとんどが野外
での撮影で、冬のシーンでは雪が降るまで5か月も待ったそうだ。自然の厳しさと美
しさを併せ持つポーランドの風景や、ナチス・ドイツに支配される人々の様子などが
実にリアルに描かれていて、ドキュメンタリー映画の名手らしい、監督の強い思いが
感じられる。原作の内容にも忠実で、一部カットやアレンジされているところはある
ものの、まさに本を読んで受けた印象そのまま。映画では、回想シーンや記憶がフラ
ッシュバックするシーンがはさまれているため、ユレクの悲しみや恐怖がよりインパ
クトを持って観る者の心に突き刺さる。
 この作品は、反ユダヤ政策の事実を冷静な目で伝えている。つらい場面も多いが、
ユレクの笑顔に心がなごみ、くじけない強さに勇気づけられた。エンディングに織り
込まれた映像にとてもほっとして、涙が止まらなかった。子どもから大人まで、すべ
ての人に観てほしい作品だ。きっと皆の記憶にずっと残ることだろう。

【参考】
▼ペペ・ダンカート監督インタビュー&作品予告動画
                (YouTube 内、MOVIE Collection のチャンネル)
https://www.youtube.com/watch?v=BPgS_f-laAo

▼川又勝利さん(字幕翻訳者)の本作品インタビュー記事
                  (映像テクノアカデミア ウェブサイト内)
https://www.vta.tfc.co.jp/senior/2015/07/no6-1.html

▽原作『走れ、走って逃げろ』レビュー
              (本誌増刊号 No.7「ウーリー・オルレブ特集号」)
http://www.yamaneko.org/mgzn/plus/html/z07/index.htm#hashire

▽本誌増刊号 No.5「映像化された児童文学 魔女編」
http://www.yamaneko.org/mgzn/plus/html/z05/index.htm

                                (蒲池由佳)

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●読者の広場● 海外児童文学や翻訳にまつわるお話をどうぞ!
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 このコーナーでは、本誌に対するご感想・ご質問をはじめ、海外児童書にまつわる
お話、ご質問、ご意見等を募集しています。mgzn@yamaneko.org までお気軽にお寄せ
ください。

※メールはなるべく400字以内で、ペンネームをつけてお送りください。
※タイトルには必ず「読者の広場」とお入れください。
※掲載時には、趣旨を変えない範囲で文章を改変させていただく場合があります。
※質問に対するお返事は、こちらに掲載させていただくことがあります。原則的に編
集部からメールでの回答はいたしませんので、ご了承ください。

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●お知らせ●

 本誌でご紹介した本を、各種のインターネット書店で簡単に参照していただけます。
こちらの「やまねこ翻訳クラブ オンライン書店」よりお入りください。
http://www.yamaneko.org/info/order.htm
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           ・☆・〜 次 号 予 告 〜・☆・

 詳細は10日頃、出版翻訳ネットワーク内「やまねこ翻訳クラブ情報」のページに掲
載します。どうぞお楽しみに!
          http://litrans.g.hatena.ne.jp/yamaneko1/

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▽▲▽▲▽   海外児童書のシノプシス作成・書評執筆を承ります   ▽▲▽▲▽

  やまねこ翻訳クラブ( yagisan@yamaneko.org )までお気軽にご相談ください。

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    ☆☆ FOSSIL 〜 Made in USA のライフスタイルブランド ☆☆
 独創的なデザインで世界120ヶ国以上で愛用されているフォッシルはアメリカを代
表するライフスタイルブランドです。1984年、時計メーカーとして始まったフォッシ
ルは時計をファッションアクセサリーのひとつと考え、カジュアルでポップなライン
からフォーマルなシーンにも使えるアイテムまで、年間300種類以上のモデルを発売
し続けています。またフォッシル直営店では、時計以外にもレザーバッグや革小物な
どのラインを展開しています。
TEL 03-5992-4611
http://www.fossil.com/     (株)フォッシルジャパン:やまねこ賞協賛会社
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編集者の方々へのインタビューもあります!    〈フーダニット翻訳倶楽部〉
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●編集後記●新コーナー「映像化された児童文学」がスタートしました。記念すべき
第1回に登場した映画の原作者ウーリー・オルレブは、1996年の国際アンデルセン賞
受賞作家です。本号では2018年の同賞ショートリストの顔ぶれをご紹介しましたが、
栄えある受賞者の発表はもうまもなく! 楽しみに待ちたいと思います。(ひ)
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発 行 やまねこ翻訳クラブ
編集人 平野麻紗/三好美香(やまねこ翻訳クラブ スタッフ)
企 画 赤塚きょう子 市中芳江 大作道子 尾被ほっぽ 加賀田睦美
    かまだゆうこ 蒲池由佳 小島明子 手嶋由美子 中井川玲子 冬木恵子
    増山麻美 森井理沙 山本真奈美
協 力 出版翻訳ネットワーク 管理人 小野仙内
    くらら つー ながさわくにお モーモー ゆま
    html版担当 ぐりぐら
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